340 手引
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
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「くっそぉおお はっ はっ んんのぉおあぁぁ」
「あの、自分は あのぉ大丈夫なんでっ!」
「良いからもっと急いで~」
女子達の手を握り
三十路が全力ダッシュをする
のだが
ここの主人公は知っての通り凡人
急に都合良く覚醒なんかする筈も無い
本人も(この人よりもか!?)と思う程に残念な状況
なんせ
運動音痴っぽい魔女よりも足が遅く
もう片方の手には拒否する様にもたもたとマイペースなアイドル
しかも急ぐ様子なんか無いもんだから引っ張る手首も重い重い
挙句
「大丈夫、焦らないで良いわ」
目の前をスキップ感覚で何倍ものスピードで進み
「まだまだ余裕あるから ほら!頑張るのよ~」
後方の様子を伺ってから後ろへと回り
尻を押してくれているのは吸血鬼の幼女だ
何でこうなった?
いやいやいやいや、何でこうなったかなんて考える時間あったか!?
しょうがないだろ
咄嗟だった
勝手に動いちまったんだからしょうがないじゃないk
言訳半分、頭の中だけでこっちの連中との違い そもそもの作り?みたいなものを改めて実感しつつ
一般人はぬたぬたっとした顔面を服で拭、、えずに勢い良く首を振る(ってかコレ大丈夫なんだよなぁ!?)
まず
ロゼのパンチがヤツの腹を貫通した時
殺しちまったのかと焦った
だが、それは違う
そもそもだ
そもそもヤツらの『傷』が治っていなかったってだけの事
飛び蹴りをくらった一号が遠目で起き上がり、再びゆらゆらとした速度で向かって来た
それを目の前で対峙してみてから初めて確信したんだが
「顔 が 無い」
グルグル巻きだった包帯が破れ
所々が見え隠れしているその顔面
『無い』 部分
抉られた様な隙間、首から上って表現で正しいのかも分からないのだが その部分が
機械だ
腹に穴が開いてた二号なんか移植もクソも無い
傷部分だってそのまんま
中身が出ない様にとだけ、焼いたんだか押さえてんだか なんだか、、
要するにバイオ〇ザードとなんら変わらないグロテスクな造りとなっている訳だ
その穴へと向かったロゼの拳は素通りとなったが勢い死なずに偶然タックルの様な形となった
まぁ正確には頭突きで胸元へと突っ込んだだけの事故みたいなモノなのだがやっぱり流石の高火力
ぶち飛んだ翼人は狂乱状態の観客へとダイブした
正直、そいつらが今の今まで大立ち回りしているこちらに気付かなかった事に腹も立てたい所なのだが
一気に覚醒した
男女関係無しにキャーキャーワーワーと
我先に
分かり易い感じに足を滑らせ、急がせ
力一杯に 押す者 転ぶ者 そして 踏み付ける者
こんなん
どうにもならないし
だから咄嗟だよ
咄嗟に少女の手を掴んで走った
(聖堂に向かったらなんとかしてくれるんじゃね?)
と思った
安全第一とか言った自分を責めながら
「ケーイーもうこの時間なのだ、そろそろ良いんじゃないか?」
「え?お夕飯にはちょっと早くないですか? ジンさんが作ってくれてるので温めるだけですけど~、どうします?食べるなら皆さんの分まとめt」
「あーあーあ↑そう、おご飯! そうだな、食べよう食べよう」
エルフの朝は早い、、からと言う訳では無く
「姫様はどうせお酒を飲みたいんでしょ? 色々突っ込みたいけど間抜けな「あ↑」だけはもうちょっとなんとかなんないんです?」
「あ、ケイちゃん、俺ら何か手伝おうか?」
エルフの双子はブレず
しっかり土塗れの顔を洗ってから厨房へと顔を出す
「あ~いえ、こっちは大丈夫なんですけど、、え~っと~、少し早いとは思いますけど皆さん頑張ってますもんね? 飲みます?」
その言葉に長の眼が光る
「うんそう! うんうんそうなんだぁ!ケイもそう思うだろう?」
一人ロックフェスが開催され 首が千切れそうな程、、以下略
「え、えぇ凄いと思いますよ」
「だろぉ?皆働き者でな!? ではいちに~さん、、五個! まずはお酒を全部で五個お願い出来るか?」
「あぁ皆さんの分ですね? はい、では『従業員』なので~ ごさんじゅうごで~1500円ですね」
・・・
「え?」
「 え?」
大きな瞳を真ん丸にしたエルフは二三度瞬きをしてから
「え?」
今一度確認をしてみる
「ん?え?えっと?ラフィさん? どの部分で?」
「だ、駄目なのか?」
「え?だからどの部分の!? もう一回、もう一回ヒント下さい」
「え?」
今度は双子に向かい「何か駄目だっただろうか?」と言いたげな疑問形を投げかける
が
「え?どうしました?ケイちゃん困ってるじゃないですか、早くお金払ってあげて下さいよ」
勿論助けるつもりも無ければ
「あ、夕飯の分も姫様から貰っておいてね」
別方向へと導く
「ええええー」
真面目な新人従業員と収拾のつかない自分達のリーダーに
全エルフがほくそ笑む
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