339 雄飛
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
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(なんだ? なんでこいつ等生きてん、、!?)
三十路が思考するよりも早く
今一度こちらへと向かって来るバードマン
の後ろから
足元目掛け何かが飛んで来た
カランッ!やらコロンと 高い音がしたと思ったら
バジャジャァッ
と中身が勢い良く巻き散らかる
「ロゼちゃん!ジン君! 逃げるよっ」
魔女がもう一本とばかりに小瓶の蓋を開け
放る
のだが
「ちょっ え、なんでこっち投げんすわあっっぷ!?」
こんな時なのでわざとでは無い筈だ
こちらを向いて逃走の判断を促(うなが)した為、自然と手が動いたのだろう
勢いそのままに
「あーあーあーごめーん!」
と謝罪された時には目の前
逃げの体勢からカウンターの様に飛んで来た瓶がギリギリ顔を防御した肘部分に当たった
「 っ に、逃げるよー」
やった本人は緊急時なのに若干ツボった様子
声を押し殺しつつ向きを変える
「え、あ、お、おぉん」
(若干掛かったけどコレ大丈夫なの?)
緊張感が薄れた流れの中
空からは次の一手が繰り出される
それは魔法では無く一体目の奇襲同様
猛スピードでの突進
翼を折り畳み一直線に降下するとあっという間にジンとムラサの背後まで迫り来る
横から
「やああ!」
弾丸の様に飛んで来た幼女の飛び蹴り?が決まった
短い脚からのソレは見る角度によっては体当たりにしか見えないのだが流石の威力
翼人は別の方角へと吹っ飛び植木や花壇を薙ぎ倒してから転がる
「うおおすげぇナイスぅ!」
そんな声援いざ知らず
吸血鬼は着地と同時にステップを踏み
そのままもたついている方へと拳を振り上げ飛び掛かる
「あちょー」
こちらも一回目は普通だったしヘンテコな技名を叫んでいないあたりわざとでは無いのだろう
緊張感の抜ける掛け声を上げ
振り向いた腹部へと叩きこんだ
筈なのだが
「へ?」
「えええぇぇ!?」
その小さな拳に感覚は無く
翼人の腹を貫通した
「なんだなんだ?」 「方角、恐らく東地区」
王都の城付近
「どうやら聖堂方面らしいぞ」 「再度魔族の襲来か!?」 「各位!武器の準備をっ!」
まだ宴会を始めていない騎士達がバタバタと状況の確認を行っている
「煙の上がり方が激しくなっている、警備班は火消しへ回れ ある程度人数の集まった隊から先発で迎い被害状況及び敵味方の人員把握を行う事!」
中には的確な指示を送る者や
「怪我人や死者の数は想定しながら動くぞ? 聖堂にいるのなら現地にそのまま向かってくれているだろうが念の為巫女へと伝達も送れ! 拠点としている例の喫茶店にもだ」
救護や『別の』事を頭に入れて檄(げき)を飛ばす者
それと
「どけどけぇ、がっはっは魔族なんぞ吾輩(わがはい)が一番乗りで向かい退治してくれるわぁ!」
恐らく隊長格
一般兵とは風貌の違う初老の男が馬場末 (ばばすえ)から現れた
王都内でも自慢である早馬の手綱を引き
甲冑のまま細めの槍を片手に飛び乗った
のだが
重さ十分な板金鎧、所謂プレートアーマーの肩当(かたあて)部分を剥ぎ取るが如く
横から掴まれ ポイっと放られた
一瞬、何が起きたのか分からなかったがそこは歴戦の戦士
地に着く瞬間体を丸め、ごろんと綺麗に受け身を取る
「 っ! 待て! な、何者d」
勿論そんな言葉に耳を貸す暇は無い
台詞が言い終わるよりも早く
「すまんが急ぎでのっ! 戻ったらレッドナイトの称号でも詫び証文でもくれてやる 借りてくぞ!」
他の騎士達から見ても颯爽(さっそう)としたその態度は勇ましく
実力共に止める者等居よう筈も無い
何人かが敬礼を表す中
赤毛のポニーテールが揺れる
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