338 情動
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
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(え?ナニアレ 踊ってみた的なやつ?流石にこの時期にあの格好は寒くね?)
三十路は見えやすい位置へ少しズレると角度を変え
凝視する
そんな駄目な大人に
「こらこら~ロゼちゃん居るんだからそういう目付きはちょっとどうかと思うな~」
欠かす事無くしっかりした?大人がツッコミをくれる
「あ!あっあ、違くてこれはソノ エロいなぁとは思ったけどそういうんじゃなくて!単純に可愛いな~みたいな!? ん、う˝ん チエさんアレって何?アイドルかなんか?」
目を擦り、言訳をするつもりだったが素直な台詞が先に出た
「え~アイドル? 踊り子ちゃんでしょ~?楽器隊が居ない子はあ~やって自分で歌ったりもするんだよ~」
歓声であまり聞こえないのだが
確かによくよく見ると当人は歌っている様に見えなくも無い
「踊り子、踊り子~? そういうやつなんすね~」
(実質会える地下アイドルみたいなもんか)
とか思いながら
制止されている訳でも無いので
「へ~なるほど~?へ~ほ~初めて見るな~」
表情筋を整えてから知らない振りで近づいてみる事にする
まぁ先程よりも寧(むし)ろ凝(こ)らされ、わざとらしい顔付きになっていたので魔女は呆れ顔ではありましたが
身長をいうならツインテールの従業員と変わらないくらい
本来ならばダンスをするのには不向き、と言うか鬱陶しいだろうに
綺麗に多少盛られた桃色髪の少女は周囲に眩しい笑顔を振り撒き、本気で楽しそうに口を開け閉めしている
しかしその姿、見た目だけならうちの神様や族長さんの方がモデル体型だ
なんせデカい、、何がとは言わないが確実に『デカい』ので負ける気はしない(何様)
のだが
何故だろう
目が離せなくなる
この距離からでもキレッキレに舞っているのが分かる程に俊敏な動き
音自体はほぼ掻き消されてはいるものの胸に響く声
見るものを虜にすると言うのはこういう事なのだろうと感じた
それは突如
ピタリと止まった
いや違う
止まった所(どころ)か、途端に画面が傾いた
と思った矢先
コマ送りの様だった感覚、視野角が一気に激しく回転を始める
「ジーン!」
って声が聞こえたので原因は理解出来ていた
脇腹に痛みもあるのでお嬢が突っ込んで来たのだろう
だがそれは
何時(いつ)もの容赦無いハグとは訳が違った
「っっぶっ! ぐぇあ」
高校だか中学くらいに撥ねられた
その時の衝撃を思い出した
そんな感覚
周りはスローに流れているのだが観客は誰一人コチラを見ていない
いや、多分後ろにいるシャーマンは悲鳴を上げてくれている筈だ
それと
横スクロールする状況でも確認を取ろうとしたので突き飛ばした原因とは瞳が合った
瞬間
幼女との間を何かが通過した
、、くらいでこちらの体も地に着いた
受け身は取れず
だが咄嗟に頭は守りながら石畳の上をゴロゴロと転がる
衝撃が逃げ切った頃合いで香港スターの様に勢い良く跳ね 根性を入れる
多分絵としては小鹿が如く、なんとか姿勢を保っている程度
手の甲は深めに削られ
脇腹やら胸、腰骨もかなり打ったので折れてなくても打撲や打ち身パラダイスだろう
あと若干鼻も擦(す)った
だがそんな事など今は気にしてられる筈も無い
なんせ目の前には
見覚えのある
怒りと恐怖の体験をさせた
翼人
そして立て続けでもう一つ
空から熱が振って来た
炎だ
火の塊みたいな火球とは違う
火炎放射器が火を噴く様に激しく、轟々(ごうごう)と響きながら渦を巻く
狙いは
こちらでは無い
「っ!? ロゼぇぇえ!!」
無論何が出来るでも無く、名前だけを叫んだ
それに応える様
「大丈夫なのよ」
冷静な声が聞こえた
降りかかる直前
幼女は地へと手をつける
「高く上がれ!」
意外だった
魔法使いなのは聞いていたがまさかの土魔法
詠唱?が無いのか、それともシエルとは違いそういったもの自体必要無いのか
、、と言うかソコじゃない
なんと言うか
(そこは魔法名とか言わないんかい) と
折角魔法を使うのに台詞自体が普通だった事の方が意外だった
しかしながら効果としては抜群
一瞬にしてロゼの前へと石壁が盛り上がり
炎は大盾に弾かれたかの様に分散しながら脇へと流れた
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