334 犬猿
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
3/4 22:00
時刻は少し遡(さかのぼ)り
まだギルドメンバーの編成が固まる前の話
丁度店で会議が行われ、新しい制服が生まれようとしていた頃
こちら側でも話し合いが行われていた
「同胞が愚かな口を叩いたそうで、事について一応は代表として詫びよう だが、勘違いしないでほしい」
長身痩軀(ちょうしんそうく)の男が座に着く者へと腰を折り、周囲の者達へと視線を動かす
「我々は貴殿らと違い主従関係(しゅじゅうかんけい)がある訳では無いのだ、言わば同盟であり個々での話 それをまさかこれだけの為に呼び出された訳ではあるまい?」
物言いが終わるタイミング
しっかりと目線が重なった先から返事が届く
「はぁ、だから統制はおろかクライアントへのマナーすら覚束(おぼつか)ない輩もいる、と そういう解釈で宜しいでしょうか? 少数精鋭が聞いて呆れますね」
やれやれと軽く目を瞑り
再び強く、その真っ赤な瞳に合わせ直す
「ふむ、軍師レイよ 本日は些(いささ)か挑発的に思えるが何か気に障る事項でもあったと言うのか?」
「決してそういうつもりでは無かったのですが言い訳に聞こえてしまったのも事実 ついつい本音が出てしまいました、、いや、どうもイメージと違い過ぎたとでも言いましょうか?」
「どういう事だ」
「いえね?何分私が知る『物語上』では礼儀を重んじる存在だった筈ですので」
「ほう、ならばこのまま無礼を承知で言わせて頂いても構わんだろうか?」
「どうぞ 話は聞く方です、関係のある話であれば」
「焦りが見え隠れしているぞ?」
言葉を被せ
にやりとした口元を隠す様にしてから続ける
「珍しく上手くいかない事でもあったか、天才軍師であっても全てを見通せる訳では無いのだな」
「ふっ、何を言い出すかと思えばこれまた滑稽(こっけい)な バミー侯ともあろう御方でも随分小者的な言い回しをするのですね?」
・・・
若干の沈黙
重苦しい空気の中
「ふふ、あっはっはっはっは あー可笑しい!馬鹿みたい ナニコレ え、何見せられてるの? 殺し合いでも始める訳?」
大きめの白衣に身を包んだ少女
では無く
悪魔が足をバタつかせ手を叩く
周囲の目など気にもせず
愉快(ゆかい)そうに指を差し、部屋中にわざとらしい高い声が響く
「、、すまない、私はディーン王が同胞に対し『部下』と呼んだそうなので訂正しただけの事、虫の居所でも悪かったのだろう?」
細身の男は軍師を見る
「我々も長い事隠れ住んでいる為か世間には疎(うと)い 賢き者からの発言だ、戯(たわむ)れの類(たぐい)だと思ったまでよ」
「えぇ、引きこもりの吸血鬼達はこれからも愚直(ぐちょく)に想像しえる事を並べてもらうだけで構いませんが今は王の御前です 立場くらい弁(わきま)えてはいかがでしょうか」
「はっ、立場と来たか 我々が何時何時(いつなんどき)下に付くと言った!」
「あららら ららら? あ~うんうんはいはい はーいはいはい!ダメっスよぉ」
埒(らち)の明かない二人を前に 今度こそ
「折角の顔合わせなのにな~にやってんスか~ レイ様もらしくないですよ?」
『少女』が割って入る
「あっはは、部下に庇われてやんの! あ~でも確かにレイがこんな事くらいで噛み付くなんて珍しいね? バミーの言った通り上手くいって無いから?あ、それともあれかな? 元々バミーの事が嫌いとか!?」
「ちょっ、ぷふウケるっ! キドナっちもうちょいオブラートってのに包まないと」
止めに入ったのか茶化したいのか
少女?達がキャッキャと騒ぎ出した頃合い
メインである
ディーン大王が口を開く
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