333 寄贈
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
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「あら~ロゼちゃん良いね~、可愛らしいエプロンしちゃって~」
「でしょ~ ジンが買ってくれたのよ!?」
決して今から料理をする訳でも無いのだが
購入早々に私服の上から着せてもらった幼女はルンルンである
「うんうん可愛い! すっごく可愛いよ!?」
一回転、二回転する吸血鬼にシャーマンが興奮している
まぁ、分からなくも無い
何分お嬢の私服はヒラヒラとしたゴスロリ系の物
なので制服として発注したメイド服とはまた違った感じの、言うなれば『狙ってる感』のあるメイドが完成したのである
それを見た瞬間
(留守番エルフや赤鬼あたりにこういうの着せたら良い広告になるんじゃね!?)
とか考えてしまったのだが今回は我慢、、じゃなく 「いやいやいや、うちは普通の喫茶店だし!!」と自分の中の天使が勝利した
、、うん、嘘です
制服を着々と増やしてしまっているあたりでもう方向性は十分危ういのは分かっておりますとも
なんなら
「チエさんに作ってもらっても良かったんだけど今回は買ってやるって言っちゃった手前ね あ!そこでなんですけど生地さえあったらもっと色々作れたりとか~出来ません?」
三十路は先程購入したばかりの紙袋を差し出す
(ソコ!ズルいとか言うんじゃありません しっかりしたのは意外に高いの!だからこそ必殺の手作り作戦って訳だよ!)
「え~どうかなぁ? お店帰ったらやってみよっか!」
謙虚(けんきょ)ながらも紙袋を覗き込むあたりやる気はまんまんだ
(よし来たぁ!)
「ん?でも奥に入ってるコレは~? 綿?」
「あ!あぁそうそう、店に置いてある兎のぬいぐるみあるじゃないですか? あれをもう一個作って欲しいんですよ」
「あ~あれね、うん別に良いけど、、」
魔女は少しだけ考えるとすぐに亭主の考えを読み取ったらしく
「ふっあっはは はっはぁ~ん!そっかそっかそういう事かぁ、こっちはケイちゃんのか~なるほどね~」
隣でにししと笑う神様と同じ表情をする
俺らは先程目ぼしかった買物を済ませ終えた、ので幼女との約束を守る為パン屋の前まで来た所
ソコでタイミング良くこの二人と鉢合わせたって訳だ
赤鬼の方は酒を買い与えられたので付いて来ただけなのだがシャーマンもこのパン屋に用事があるんだとか
巫女だけは用事を済ませた後
「ロリコンと合流しておく」
と吐き捨てたのだが、、聖堂とは別方向に向かったらしい
「カカカカ、そういう所は良い男なんじゃがな~」
「常に良い男だっつの」
「でっかい寸胴を幼女に持たせといてどの口が言う」
勿論ロゼの筋力を知った上での弄(いじ)りなのだが
「ち、違うんだっ これは、、ってかなんなら最初は俺持ってたし! いや、そうじゃなくて 違う、ロゼが入って遊んでたんだよ~」
「お~お~言い訳も酷いが焦ってちんぷんかんぷんになっとるぞ?」
折角ソコソコ良い提案をしたのにコレですよ
そして
「私が自分で持ちたいって言ったのよ~」
楽々入れるサイズの寸胴に大きな中華鍋まで入れ
それを頭の上で抱えている幼女に庇(かば)われる所までがオチである
「あ! ああああー!!」
丁度入口を綺麗に掃き終えた少年が大声を上げ
箒(ほうき)と塵取(ちりと)りが手から離れた
「うっせぇぞ」
「だ! え、だって! ええ?!なんで えええ!?」
口を広げたまま
再び汚れてしまった店の前など気にもならない程に目を輝かせ
歓喜の声が止まない
のだが
「うっせぇつってんだろが、殺すぞ?」
この御方には関係無いらしい
無論、無表情にやる気の無い声量なので相手を選んではいる様子だ
「あ、す、すいません え、どうしたんですか? 旦那さんなら」
「あ~違う違う、そっちはもう片付いてんだ これだけ姉に渡しとけ」
「え? あ、はぁ」
「まぁなんだ? お前も適当にやれ じゃあな」
それだけ
ただそれだけを呟き
紙袋を放り投げ
少女?は来た道を戻る
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