332 稀代
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
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「魔女とジンを帰すとして むぐむぐ 護衛どうすっか」
銀髪の少女?が先程与えられた物を食べ終え
後方へと適当に放る
「ちょちょちょシエルちゃん! よっあっとっ、、あらら も~駄目だよ~?ゴミはちゃんと決まった所に捨てないと~」
よたよたと宙を舞う串をキャッチ 出来ず
シャーマンが地に落ちた使い捨て用のソレを拾い上げた辺りで
冴えない声が聞こえる
「あ~う~あ~その事なんじゃがのぉ」
珍しく赤鬼が落ち着かない素振りでモジモジとしている
「ぁ?なんだらしくねぇ声出して」
「ん~あ~その~、、ん~」
その様子にシャーマンは顔を覗き込むのだが
「漏らしたのか?」
「え~返答が酷い!」
心配顔が崩れ、慌てる様にツッコミを入れる
一連の流れに苦笑いを浮かべ
赤鬼はゆっくりと口を緩める
「あ~、なんっちゅうかのぉ~なんとかかんとかについてなんじゃが」
「、、いや、一つくらいヒントよこせよ」
「あっはっは、そうだね! カセンちゃん流石にそれじゃ分かんないよ~」
恐らく今はハズレポジションなのだが楽しそうに見えなくも無い
だがこちらもキャラとしては珍しく、本筋へと戻すワードを吐き出す
「殺生石の事で良いのかな?」
「お~お~それじゃそれ、その事なんじゃが~」
「ジンも連れてくんじゃ駄目かの」
思い切って言葉に出した
と言うよりも
確定事項なのだろう
巫女はいつもの溜息を溢さず
真っ直ぐと向き合う
「まぁお前の近くに置いとくのが一番安全かもだが、足手まといだろ?」
「あってるかもだけど酷いっ」
空気は読みつつ一人だけ半笑いを噛み締める
「それでものぉ、詳細はまだあっしも分からんから何とも言えんのじゃが ちと会わせたい者がおるんじゃよ」
「オサキっつぅ奴か?」
「じゃな」
「ソイツは何者なんだ? とか、、正直、聞きたい事はあるんだがテメェには貸しが腐る程あるからな 好きにしろ」
少女?はしっしと手を振り近くのベンチへと腰を下ろす
「カカカすまんのぉ 一応ロゼにでも伝えたらすぐ戻る」
神は少しだけ気まずそうに微笑むと来た道を一度引き返す
「え~なんか息ぴったりで羨ましいな~ あれでしょ! つうかあ?阿吽の呼吸ってやつ、だよね?」
やっぱり
アレの親なのである
「・・・で皆を守る時に化物に噛まれちゃったんだけど~、コレが腕の部分でこっちが多分付け根かな?」
身を乗り出し、大きめの作業台を陣取りながらツインテールが揺れる
「足は綺麗なんだけど この辺、お腹あたりがバラバラで~ あ!そっちは背中の部分」
パズルの様に四肢、胴体、とパーツを丁寧に並べ
真剣な表情で指を差す
のだが
「おいこらアル! 流石に敬語使え」
その先端を折り畳ませ
代わりに少女の首を傾け
「あ、あぁうぇああ ご、ごめんなさい です」
「すいません、ちょっと感情的になるとすぐこうなっちゃうんで」
共に頭を下げる
その前では職人が何とも言えない複雑な表情を浮かべている
「あ、あぁ うん」
この道は縦社会、少なからず敬語がどうこう気にはなるのだろう
だが、今は別の理由だ
コレハ ナンダ?
そして最悪のタイミングで
「あら? おはよう、、で あっているのかしら」
ドールの瞳が開いた
「エバ!?」
「エバー!!」
「それともおそようなのかしら? 今が何時なのか分かr」
仰天する工房の主を余所に少女が生首へと飛びつく
「心配したんだから~!大丈夫?大丈夫なの? 覚えてる?」
「アル、苦しいとかは無いのだけれど前が見えないわ? 現在どういう事になっているのか状況把握がしたいの、離してもらえるかしら?」
この状況でも変わらずの言い回し
だからこそ
「良かった、はぁ~良かった」
素直にこの言葉だけが出た
こっちに来て何度目だろうか
深く息を整え
「マジで 熱でやられちゃってたらどうしようかと思ってたんだかんね」
足から力が抜けるのをギュッと堪えた
その後
三十路の方からダンクへと説明がされた
勿論、一般人が分かる限りで当たり障りの無い事だけだ
最初はとにかくエバに対して驚いてはいたものの、当人の提案で二人を預ける形となった
とりあえず今はオーバーヒートした原因は聞かず
深く頭を下げ
幼女の元へと戻った
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