332 稀代

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい



3/6 11:20


「魔女とジンを帰すとして むぐむぐ  護衛どうすっか」

銀髪の少女?が先程与えられた物を食べ終え

後方へと適当に放る


「ちょちょちょシエルちゃん! よっあっとっ、、あらら も~駄目だよ~?ゴミはちゃんと決まった所に捨てないと~」

よたよたと宙を舞う串をキャッチ   出来ず

シャーマンが地に落ちた使い捨て用のソレを拾い上げた辺りで


冴えない声が聞こえる


「あ~う~あ~その事なんじゃがのぉ」

珍しく赤鬼が落ち着かない素振りでモジモジとしている


「ぁ?なんだらしくねぇ声出して」


「ん~あ~その~、、ん~」


その様子にシャーマンは顔を覗き込むのだが


「漏らしたのか?」


「え~返答が酷い!」

心配顔が崩れ、慌てる様にツッコミを入れる



一連の流れに苦笑いを浮かべ


赤鬼はゆっくりと口を緩める


「あ~、なんっちゅうかのぉ~なんとかかんとかについてなんじゃが」


「、、いや、一つくらいヒントよこせよ」


「あっはっは、そうだね! カセンちゃん流石にそれじゃ分かんないよ~」

恐らく今はハズレポジションなのだが楽しそうに見えなくも無い

だがこちらもキャラとしては珍しく、本筋へと戻すワードを吐き出す


「殺生石の事で良いのかな?」


「お~お~それじゃそれ、その事なんじゃが~」



「ジンも連れてくんじゃ駄目かの」



思い切って言葉に出した

と言うよりも



確定事項なのだろう



巫女はいつもの溜息を溢さず


真っ直ぐと向き合う


「まぁお前の近くに置いとくのが一番安全かもだが、足手まといだろ?」


「あってるかもだけど酷いっ」

空気は読みつつ一人だけ半笑いを噛み締める


「それでものぉ、詳細はまだあっしも分からんから何とも言えんのじゃが  ちと会わせたい者がおるんじゃよ」


「オサキっつぅ奴か?」


「じゃな」


「ソイツは何者なんだ? とか、、正直、聞きたい事はあるんだがテメェには貸しが腐る程あるからな   好きにしろ」

少女?はしっしと手を振り近くのベンチへと腰を下ろす


「カカカすまんのぉ 一応ロゼにでも伝えたらすぐ戻る」

神は少しだけ気まずそうに微笑むと来た道を一度引き返す



「え~なんか息ぴったりで羨ましいな~ あれでしょ! つうかあ?阿吽の呼吸ってやつ、だよね?」



やっぱり


アレの親なのである

















「・・・で皆を守る時に化物に噛まれちゃったんだけど~、コレが腕の部分でこっちが多分付け根かな?」

身を乗り出し、大きめの作業台を陣取りながらツインテールが揺れる

「足は綺麗なんだけど この辺、お腹あたりがバラバラで~ あ!そっちは背中の部分」


パズルの様に四肢、胴体、とパーツを丁寧に並べ

真剣な表情で指を差す


のだが


「おいこらアル! 流石に敬語使え」

その先端を折り畳ませ

代わりに少女の首を傾け


「あ、あぁうぇああ ご、ごめんなさい です」


「すいません、ちょっと感情的になるとすぐこうなっちゃうんで」

共に頭を下げる


その前では職人が何とも言えない複雑な表情を浮かべている


「あ、あぁ うん」


この道は縦社会、少なからず敬語がどうこう気にはなるのだろう



だが、今は別の理由だ




コレハ  ナンダ?




そして最悪のタイミングで



「あら? おはよう、、で あっているのかしら」


ドールの瞳が開いた


「エバ!?」


「エバー!!」


「それともおそようなのかしら? 今が何時なのか分かr」

仰天する工房の主を余所に少女が生首へと飛びつく

「心配したんだから~!大丈夫?大丈夫なの? 覚えてる?」


「アル、苦しいとかは無いのだけれど前が見えないわ? 現在どういう事になっているのか状況把握がしたいの、離してもらえるかしら?」


この状況でも変わらずの言い回し


だからこそ


「良かった、はぁ~良かった」


素直にこの言葉だけが出た



こっちに来て何度目だろうか



深く息を整え

「マジで 熱でやられちゃってたらどうしようかと思ってたんだかんね」

足から力が抜けるのをギュッと堪えた




その後

三十路の方からダンクへと説明がされた

勿論、一般人が分かる限りで当たり障りの無い事だけだ

最初はとにかくエバに対して驚いてはいたものの、当人の提案で二人を預ける形となった


とりあえず今はオーバーヒートした原因は聞かず


深く頭を下げ


幼女の元へと戻った


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