302 羅針
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
2/25 20:20
「っつかもう顔死んでんじゃねぇか 可哀そうに」
絶対にそんな事を思っていない少女?は縄の先、ドワーフの元へと近寄る
「で? 色々あんだがよ、とりあえずてめぇは殺されない以外の未来を足りない頭で考えて羅列して見ろ」
いつも通りヤ、、聖人様は口悪く
手持ちの松明(たいまつ)に篝火(かがりび)から火を移し、男の手元、筒へと近付ける
「う、うわああな、ななな!何でも 何でも させて頂きます!!」
「いやいやいやシエル様、この距離じゃみんなドカンしちゃうのでその手法はぐぁ」
巫女に注意を促し、松明を取り上げた従者はもちろん八つ当たりを食らった
「何でもって事はアレだな、一生牢にでも籠って魔宝具の大量生産でもしてもらおうか、作れるんだろ?」
「作ります、作らせて頂きます」
「ほう、良いじゃね~か っつ~とその指じゃ支障出るか、しょうがねぇ治してやるか」
汚い物に触れるかの様な表情を浮かべながら詠唱を行い
発光が始まる
「カカカカ あ~っちゅう事はドワーフ王に監視を頼まんとなぁ、良い機会じゃからお前さんも含めて話し合いするってのはどうじゃ?」
赤鬼は龍を見る
「でもこのサイズじゃ無理じゃないです? あ、どこかの犬耳っこみたいに大きさ調整とか出来たり?」
青年も帰りの支度を整えながらドラゴンを見上げる
「そんな事は出来ぬ」
「あ、うん ですよね~、だとすると王様側を連れて来ないとって事ですよね?」
「お~?ほんなら連れて来たらえぇじゃないか んっくんっくんっく くあああああ 魔物ももうおらんのじゃから何の問題も無いじゃろ」
予想はしていたが、何か問題でも?と
自称神様は最後の一本を開封し、惜し気も無く一気に飲み干す
「、、間違って無いしそういう考え方は嫌いじゃないですけど、巫女様の意見を待ちましょうか?」
(王様相手でも容赦しないですもんね)
「す、凄い」
おかっぱ頭は爪先を眺め まだ深爪の様にジンジンとする先端を震わせている
「いっつつ、くっそが 終わったから続けて聞いておくか」
巫女は目頭を擦り眉間に皺(しわ)を寄せる
「シエル様、情報は大抵吸ってあるので今日は一旦戻りましょう」
肩、背中を擦る従者にふざける様子は無く おぶる体勢で待っている
のだが
空気を読まずに
「あの~すいませんが、こっちも無くなってて、み、耳なんですけど」
自らの片耳を拾って来た訳では無いので切断面を巫女の前に見せつける
その図々しい態度に
「何言ってるんですか? 今後の生活に必要無いでしょう?」
もう片方の耳たぶからチリチリと温かみを感じた
「ははっはぁああ ふぅわあああ!すすま、すいませんでしぁ」
「止めとけよ? 聞こえないとかんなったら指示すんの面倒だろうが、帰ったら消毒くらいはしてやるから一生悔いるんだな」
銀髪の少女?は珍しく従者の裾を引き
軽く頭を叩(はた)いてからぐでっとおぶさる
その状態のまま
「とりあえずトカゲの尻尾だけ切断してそれを土産に帰るぞ、、そんぐらいは覚悟してんだろ?」
「無論だ、なんならこの首」
「いーいーいーいー、めんどくせぇ事言い出すんじゃねぇ 適当にやってやっから大人しくしてろ爬虫類」
「しかし!」
「マジで矢ぁ飛ばすぞコラ」
おぶられているにも関わらず
声のトーン
それと前に出した掌には確かに光が集まっている
・・・
「すまない、折角の心遣いを無下にする所であった」
少し間を取った後に一度だけぺこりと頭を下げ
「持って行ってくれ」
ドラゴンは自らの尾を噛み千切る
「まぁ騒動の落としどころにゃ妥当じゃのぉ、しゃあないしゃあない」
赤鬼はずっしりとした先端を掴み
「んでも途中狭かったが 通れるんかの~?」
早々に帰路へと向かう
「不謹慎?かもですけど高く売れそうですよね」
続いてバル
「んで? 魔宝具ってのはなんだ? 詳しく知ってる限りを喋れボケ」
続いて背中でうるさい巫女とひんひん別の意味でうるさいドワーフを牽引(けんいん)する従者が最後尾を務める
「全く」
「不思議な連中だ」
残された龍から独り言が零れる
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