278 商魂
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
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「そうそう、ジンさん!そういえばまたこの前いたんですよ」
行商人の青年が裏口から入って早々に「そうそう」言っている
「へ? 何、なんかあったっけ おばけ?」
「いえいえそういうんじゃなくて、前も話したじゃないですか~小さい女の子ですよ~」
「あ~、、あ、あぁ!なんか結構前に言ってたやつ? んでもさ、うちにいる小さい子なん、、でも無いです」
向いた方向の銀髪少女?に睨まれた
けど一応
(待って、今だとソコに吸血鬼もいるでしょうが!)
無言で従者と戯れているロリを指差す
そんな事は気にもせず、商人は続ける
「ジンさんみたいな黒髪の猫族でしたよ?珍しいですよね~」
「黒髪? へぇ、転生者以外にもいんだ?」
「転生者?」
「え? ぁ~ 、、って!そうだ!! あのさ、リッツもさ~増築すんのは別に良いんだけど(無料だし)今後はちゃんと俺に相談入れてからにしてよ? 景色が変わるだけでもやっぱ造りとか結構気になるんだよね」
話を逸(そ)らしながらも今だとばかりに言っておきたかった事を羅列する
(俺の店なので正当な意見の筈)
なのだが
「ふふふふふ、ジンさんそんな事言って~今取り掛かってるお風呂場とか見ました~? あれ見たらそんな事言えなくなっちゃいますよ~?」
(あれリッツもそんな感じなの?すいませんとかもないの?)
「風呂~? ん~いや、そっちとか店内より先にさ~宿舎欲しいんだけど いい加減みんなちゃんとした布団で寝たいでしょうし」
(主に俺とか)
「まぁまぁまぁ、それは後(のち)に沢山作りますから! 良いからこっち、ちょっと来て下さいって」
若者に手を引かれ何故か外へと連れ出された
「同性に手ぇ引かれんのなんて何時ぶりだ~? って!? なんだこりゃあ」
そして単純に
たまげた
「まだまだ完成には遠いんですけどね、前にジンさんから話聞いた時にピンと来たんですよ~」
少し誇らしげに腕を組む青年
これも、ダイナマイトと同じだ
酒を交えながらこっちの世界と自分が居た世界の情報を照らしつつ、他愛無い会話をしていただけ
飲みの席でも頭を回し、可能性を求めていたのは俺だけじゃなかったって事だ
裏口から出てすぐの倉庫を通り越し、一度は異形にめちゃめちゃにされてしまった換気庫の方へと向かう
辺りには何も無く、だだっ広い為もうこの段階で見え始めた
確認出来たのはまず、カセンが戸愚〇パンチでもして空けたのだろうか
大きめの穴だ
それと、何か囲われた小屋
その小屋からちょっと先
換気庫とは別の方角、エルフ達の住まう森側から流れている川があるそっち側、、いつも水汲み労働している所だ
貴重な水源の方へと向かう箇所箇所には土が盛られ軽く山が出来ている
そしてもう一つ大穴
今度のやつの方が中々に深そうである
池でも作るのか、着々と建設工事が進んでいる感じだ
「、、はは、リッツ お前やっぱすげぇな」
実業家とはこういうヤツの事を言うのだろうと改めて認識させられた
池は池でもこれは
貯水池だ
「加熱をどうするかですよ、専門家とかがいればもっと上手くこう、時短?とか出来ると思うんですけどね~」
そして
最初の穴にいずれ通じる
って事は
これは
露天風呂だ
「これが出来れば夜に来るお客さん、きっと増えますよ~」
この青年はコレを目玉に宿泊施設でも作るつもりなのだろうか
本当に、商魂逞(しょうこんたくま)しい
(ん? 待てよ? って事は)
こうして新たな事業を立ち上げるべく、エルフ達は建築業務に手を出す事となった
生首監督の指示の下で
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