266 必殺

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい



【どうせ死なない】



痛い  痛い 



【細切れにしたらどうなるだろう】



痛い  痛いよう    痛い? 分からない



【まだ意識があるのか!?】



分からない 分かんない 分かんない



【化物め、燃やせ!燃やしてしまえ!!】



熱い? なんだっけ    寒い? 分かんない



【成分としても記録しろ】



此処 どこだっけ



【まさかの結果だ】



帰りたい



【ユドラとは違う使い方が出来る】



お家に帰りたい




あれ?


なんだっけ


分かんない




分かんない分かんない分かんない分かんない分かんない分かんない分かんない分かんない分かんない分かんない?分かんない分かんない分かんない分かんない分かんない分かんない分かんない分かんない分かんない分かんない分かんない分かんない分かんない分かんない分かんない分かんない分かんない分かんない分かんない






お家に






帰ろうね?






2/25 15:25


「ロゼ!今だやっちまえ」


とか


言ってから気づいた



登山なんかへっちゃらで体力もある

自分で吸血鬼だとか言うし、腕とか捻(ひね)られたら超痛い

攻撃方法とか知らないけどさっきも爪が~とか言ってた

館を脱出した時の事だってロゼの魔法で~って聞いてる、、から魔法だって使える筈だし



でも



でもさ






(ロゼって    戦えんの?)


「あ」と開いた口をゆっくり閉じながら目線を変え


(魔法さえ使わせなければ、もしかしたらなんとかなるかもしれない)


下げていた鉄鍋を強く握り直す



そんな少し活躍した冴えない主人公の思考など彼女に伝わる筈も無く


「え、あっ、うん!?   ふ、フハハハハ貴様らの罪を裁き!断罪してくれるわぁ!」

某大臣の様な頭痛が痛い台詞を吐くとスカートのポケットに手を突っ込み

「あ、あれ? ちょっと待ってね?   、、よし!良いよ~これで断罪するから!」

カラカラと音を鳴らしながら二本の木材? 棒状の物を取り出す


(え)


「なんだ?」


悶えている方、以外からの視線を受けながら幼女は得意げにソレを振り回す


「クックック、これはだな黄金の黄昏と言ってな、今から数世紀半前の、、」

「おまっ、ヌンチャクって!?」

幼女の長ったらしそうな嘘くさいウンチクは三十路に即解雇された


「んなもん使えんのかよ?」

(ってか黄金の黄昏ってなんだよ、、夕暮れ超綺麗!みたいな意味になっちゃってるから、似てるの字の雰囲気だけだから)


「ほ~う、この古の武器を知っているとは流石だな、、ジンっ!」


またも嫌な予感しかしないのだが

吸血鬼の身体能力を活かし高く飛ぶ


「無様(ぶざま)に~いみじくっ!足掻くが良い~」




意外だった




ごっこ遊びの様な台詞やら間抜け過ぎる茶番劇

本来ならそのちゃちな手作りヌンチャクで自分の頭でも叩(はた)くのかとも思ったのだが





ドゴオオオオオオン!





耳を塞ぎたくなる地鳴り


土煙が上がり、衝撃が走った


「ぇ、はっ、はぁ?」


派手に大きく、高く飛んだからこそ避ける時間があった、のでバードマン達は無事だ

穴の空いた地面が足元付近まで来ているのでギリギリっぽいのだが粉微塵、鶏のミンチにはならずに済んだらしい


(え~戸愚〇じゃん、戸〇呂弟じゃん、、ってかカセンと変わんね~のかよ)

あくまで素人目線での感想だと大差無く感じる


「ヌハハハハ!見たか我が必殺の破壊撃!デストロイ、、ズ、ブレイク? ブレイカークラッシュ? クラッカー?アタッ「もう良いもう良いもう良いお腹いっぱいだっつの、なんでガチの戦闘シーンでこんなふざけれんだよ」

呆れた様に、だが半分はニヤケながらジンは首を振る


自分の台詞でさえ、もうどこかぶっ壊れている様にも思うのだがこれは安堵感(あんどかん)から来るものだ


こんなの勝ち確ってもんだろ

こんだけ怪力なんだったら片手で取り押さえられるでしょ?

ってかヌンチャク要らなかったじゃん


粉々になり、一瞬で出番を無くしたヌンチャクの紐部分を今も振り回す小さな体





その小さな体





その胸部



左胸辺りが






プシュッ






小さく



穴を開けた





「ぇ?」


胸から、口から血を飛ばし

見開いた瞳で俺を見た


「急げ!回収して撤退だ!!」


知らない声が遠くから聞こえた


「ぁ、あぁ、助かった!申し訳ない!」

二体のバードマンが羽を広げ


こちらへと加速して来る


「ぇ、、え?」


一瞬の出来事過ぎて脳が追い付かない


小さな体を抱く事が出来ず、倒れ行く姿を目だけで追いながら


分かった事は一つだけだ













狙われてるのは俺だったんだ



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