265 怒号

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい



2/25 15:23


「なんだ、何を言っているのか分からないが動揺している様子が無い、、流石吸血鬼の末裔と言った所か」


「あぁ、幼子に見えてもアレはヤバイ」


お嬢様の間抜けな台詞はどうやら幸運にも理解されなかったらしい

バードマン達は後ろのジンには目もくれず様子を伺っている


「クックック空の民よ怯えているのか?クククククックゥ、クックック?」


正体なのか情報なのか、ロゼッタを『知る』彼らには可愛らしいその姿が不気味に見えたらしい





のだが





(どうしよう、何も考えてないのに出て来ちゃった)


当の本人はコレであり、助けを求める様にちらりと見る先

相手にされていない三十路も


(え、ナニソレ クックゥって 鳥? なんだっけ?モン〇ンにそんなんいなかったっけ)


ポカンとした表情を浮かべている



「あ、じゃあえっと、お洋服」


!?


閃いたかの様に再度喋り出した幼女に残念な予感しかしないのだが

注目はまたも集まった


「クックッ洋服を~  じゃない 服ヲ!  服を真っ赤にコーデね~としたいらしいにゃぁ、、我の、この両腕(りょううで)の~両腕(りょうわん)の~両方の爪の~え~っと~    爪が鳴るわぁ!」

吸血鬼は両の掌(てのひら)をワキワキと動かすと不敵に笑みを浮かべ


八重歯を見せる



流石である


 

(うん、爪は鳴らないし前半育ちの良さが見えたのにすぐ隠れちゃったね、、何の本に影響されたんだよ、ってかにゃぁって言っちゃったし、、可愛いけど今はダメだろ)



期待を裏切らない幼女は何処か自慢気なのだが



「そ、そこから動くな!」



意外に効果があったのかそれとも防衛本能で動いたのか

家主の後部にいた方が刃物の様な物を腰元から抜き、首元へと向ける


「え、ちょっと!駄目!そんなのズルいじゃない!」

幼女はニギニギしていた手を膝元に移し、自らのスカートを握る


「ぷはっ、ロゼちゃん!彼らは!うっ  くっぁ!」

「お前も喋るな!」


口を塞いでいた方が意識を失わせる為に漫画やアニメでの所謂(いわゆる)首トン

、、なんかでは無く



強く首を絞める



「ぐっ う ぅ˝  ぁぁ˝」


「や、駄目、やめてよ~」


「今だ、すぐに燃やせ容赦するな!ソイツはどうせ殺せない」


その声に体勢を構え直し凶器を戻すとロゼに向け詠唱を始める



(魔法使い!?コイツら、、そもそも目的はなんだ?)


【おい、聞いてた話と違うぞ!?】


様子的にロゼの事を知っている?


【殺さないから静かにしろ!】


って事は?




なんて




考えが定まる前に


大きく振りかぶっていた






「化物がぁ!」


その声と同時に火の玉が大気中に現れるのだが


ドシンッ


「うおっ」

後ろからの衝撃を受け


狙っていた前方のロゼには命中せず、不発に終わった


「なんっ !?」


「いっぅ  あががが」


飛んで来たのはもう片割れだ

片腕で頬を押さえもう片腕はふるふると痙攣(けいれん)している


「ごっほ、こほこほ   はぁ はぁ、、ジン、く?わあ」


「大丈夫っすか?すませんがちょっと失礼!」

離された家主を軽く擦(さす)り、余裕がある訳では無いので雑に後ろへと滑らせる


「お、お前!」

「お前、じゃねえよ馬鹿っ!ふざけんな!!」

バードマンの声に被せ、出来る限り大声で罵倒する


これは作戦や威圧などでは無く


思った通りの言葉が勝手に出ただけだ


「謝れ!!誰が化物だ、誰に言ってんだコノヤロォ!  化物はてめぇらだろが鶏肉野郎共がぁ!」

慣れない怒号で叫ぶ のだが頭の中は案外冷静だ



全力でのワン、ツー

家主の首を掴んでいた方の手首、そのまま横っ面!と いつもの使い方とは別の意味で鉄鍋を振った

別に剛腕という程でも無いしこちらを見ていなかったのでその手はあっさりと放れた

どこぞのツインテールの様なキックなど出来ないのだがおまけの一撃とばかりに体重を乗せた前蹴りを腹にくれてやった


それが思いの外クリーンヒットしたらしくよたついたまま相方の方へと倒れ込んだ


最後の一撃! と奴らの元へ家主を引いた時に拾った石を投げつけ



、、情けないのだが



「ロゼ!今だやっちまえ」


どこか嬉しそうな顔の幼女へと委ねた

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