264 翼人

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい



2/25 15:20


一人になりたいから?

それでいて、みんなも喜んで食べてくれるし

一石二鳥だよ、一石二鳥だ


友人であり頼りになるドール・エバからのお言葉もあり、やる事は決まった

コレは『決めた』って言っても良い物なのか定かでは無い、だが、ただ何となくにでも背中を押された様なそんな清々しい気分だ


分かってる、彼女は機械人形だ、でもプログラムされているモノだとも思えなくて

いや、例えシステムでも、、そんな事関係無い


適当な呑みの場とか

それこそ相談したいだけのメール

近くに居ないでも繋がれる様な某アプリでの流れみたいな感じじゃない


そんなのじゃなくて


そんな慰めみたいなもんじゃなくて


・・・


(うん、、長いしみみっちぃな)


三十路は温まった鉄鍋の中へと豪快に昨日の残り肉を塊のままぶち込む


元々はとんでもない大きさだった獲物をラフィが寝る前に1キロから5、600グラムくらいに細かくしてくれた物だ

残りは狭い畑の横、道具入れの所に雑な調味料と共に漬けられている


(そもそも守るとかそんな偉そうな事、俺には出来ないし)


整えるだけ、そう自分の中の考えとか問題点なんかをみんなの気持ちとかも含めて、大人として

皆よりもちょっとだけ歳を食ってんだ、一歩下がった位置で、もしもの時を考えての保険とか痛い所に気付いてやれれば良いかな~くらいだ


(十分だ、悪くないっしょそんなんでも)

引っ掛かりはある、が無力な自分にそう言い聞かせ

手を動かす


ジュージュージュワジュワと良い音を鳴らす鍋を傾け、一旦別鍋へと謎肉から流れ出た油だけを移す

そのまま火が強くなりすぎない様に軽く薪(まき)の位置を調節し、換気の為に開けた戸を覗く


(兎にも角にも犬っ子が復活したらみんなで店戻って~ちょっとゆっくりしたら瘴気んとこ行って~、、ってか  話長くね?)


少し遠いが位置的に入口が見える


今もその場所で立ち話をしているのは空から降りて来たバードマン達と家主だ

扉が叩かれたので「はいはいは~い、なんだなんだ~?珍しくお客さんが多い事~」とか口遊(くちずさ)みながらぱたぱたとスリッパを鳴らして出てからしばらく経つ


(家ん中入れば良いのに?ライアと似たポジションとかじゃないのかな  にしてはアイツより普通の格好、いや普通に考えたらライアの格好が浮いてんだよなきっと)

失礼ながら間違ってはいない筈だ

白装束に下駄を履き、長物背負って天狗の面だ、寧(むし)ろ隠密には向いていないと思う


(今度聞いてみるかな)




って




なんか揉めてね?




「     じゃない!      帰ってちょうだ!!?  」

温厚そうな家主が何か声を上げた




のだが



(おいおい)



「んんんんぅ!  んーーーー!!!」

すぐに口を押さえられ



(おいおい、、)



「殺さないから静かにしろ!」

もう片方が動かない様にと羽交い絞めにした




「おいおいおいおい!」

ジンは火の元とその中身なんて気にしていられず鉄鍋を握り


後先など考えられずに走った


ダサい軍手で手元は熱くない、が飛び散る肉と油が撥ねて恐らく右後ろ太股辺りが火傷した



どうでも良い!



走れば走るほどに足が縺(もつ)れるが転びはしない


綺麗だった床を盛大に汚し、よたつき


少しもたもたとしてから



バーン!



勢い良く入口の扉を開ける



「や  はぁ、や、やめrれろy!!?」



熱した油や鉄鍋での一撃


少しくらい利くんじゃないかと微かに思っていた





のだが





「な?なんだお前、、まさか!」


「おい、聞いてた話と違うぞ!?」


おずおずと躊躇(ためら)う様にバードマン達が仰け反っている


「ちょ、ちょ  ふぅ、ちょっと はぁ、おまっ  何してんだ」


ジンは目の前の不思議な光景に眉を寄せ

もう軽く冷めてしまった鍋をゆっくりと下げ、息を整える











「クックック、クックックック、クックックックック」


「まだ晩ごh、、、う˝うん、まだ満月も出ていない、漆黒の時には少し早いと言うのに騒がしい!我を目覚めさせたれ、させられたのは貴様らなのだろう?   此処の、、ぁの  ソコの、その人、武人?には世話になっているので    」




・・・




「良いからその手放しなさいよ!」



「、、婦人な」


(台無しにも程があんだろ)




ポージングの割に格好付けられなかった



お嬢様の参戦である


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