258 勲章

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい



2/24 15:00


「いっつつぅ」


「ごめんね~切れてはいないみたいだけどたんこぶになっちゃうね~」

淡い色の女性が少し重みのあるひんやりした物を三十路に乗せる


「あ、あぁいえこちらこそアルがお世話になってるみたいで、うぉ!ちめて」


「み、みんなわざとじゃないんだし、ってかなんでジンがこんな所にいんのよ?」

直撃直後は焦った様に心配していたツインテールの少女

なのだが相手が分かり、患部の具合を確認した途端不思議そうに、そして適当な扱いに、、変わった様な気がする


現在は家主の戻った家の中


エバのダイビングヘッドを食らったのでベットに寝かされ額の上にスライムの様な何かを乗せられた所だ

皮膚部分?は人間とあまり変わらないのだが中身は流石の鉄以上

デコからちょっと上辺りが熱を持ち、物凄く痛い!


「マスタージン、何だかお久しぶりね?そちらは変わり無いかしら?」


「お気楽か!今この状態で聞く?ってかエバが聞く?」

痛いけどツッコんじゃうのはもはや特技と言うか性(さが)ってもんだ


「うぅ生首が喋ってる、、ジン知り合いなの、よね?」


お嬢の目線は生首の方を向いており、いつぞやと同じく掴んだジンの腕をそのまま『違う』方向へと抱く


「マテマテマテ曲がらないって!肘はそっちにはまがんないってばぁ!!」


分からない、身体の柔らかい人なら曲がるのかも知れないけど俺には無理だ

ってか寝かされてて痛みも逃がせないのでマジ勘弁



「ってて、えっと色々説明したいし聞きたいんだけどさ~」

三十路は腕を振りながら一度上体を起こす


「うん、あたしも色々聞きたいし話したい」


「ラフィが多分もうちょいで帰って来るからまとめはそれからしよっか、けどさ、えっと~」

ひんやりとしたスライム?を押さえながら隣のベットに目を向ける

「そっちの子なんだけど、もしかして旧都に居た子だったりしない?」


ジンの記憶上では雑に抱えられている姿だけでしかない

だが周りと情報共有した時に一般人のジンでも流れや絵面(えづら)は見えた、全ては理解出来ていないのだがポイントは押さえている

店を持つ者、いや、無茶苦茶な連中の上司?になったからか


危機予測と言うやつだ


苦しそうにしている犬耳の子


(バルやエルフ達に会わせる前で良かった)


「うんそうなの、確かに旧都で逃がしちゃった子なんだよね、あたしが運ばれる前にライアさんが此処に連れて来たんだって」


「ライアが?」

(え?そこ知り合いとか?)


「あ、えっとね~ライア君は知り合いだからとかじゃなくて治療の為に連れて来たみたいなのよ~」

反応で読み取ってくれたのか人数分のカップを持って家主が戻って来た


「何から何まですいません」


「あっはっはアルちゃんのお兄ちゃんって感じ?ジン君、だっけ?そんなに固くならないで良いんだよ~」

「お兄ちゃんじゃないです!保護者!保護者です!」

ツインテールが協調する理由は分からないのだが間違ってはいない


「じゃあ少し砕けさせてもらいますけど、治療って事はあれッスか?ライアはこの子を敵として見てない、、と」

(あれ?ってかこの人何処かで会わなかったっけ)


「うん、多分そういう事だと思うけど~、とにかく可哀想よね、、こんな傷だらけで」

カップを台に置いてから犬耳の近くへ寄る

「今も身体中の毒が抜け切れていないの、普通なら生きているのが不思議なくらい」


包帯越しでも分かる、犬耳っ子の首や腕は酷く腫れている

本来の華奢な体格には似合わない程、特に手首部分は固定しているのか二倍、三倍に覆われている


清潔な物に変えているのかこちらからは見えないのだが



「うわグッロ」



ちょろちょろと覗きに行ったマナーの無いお嬢様から声が上がる


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