255 地底

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい



2/24 12:30


「な~んも無い時は本当に起きんのぉこのロリわ」


赤鬼が胡坐(あぐら)をかき太股の上に乗せている少女?の額や頬をぺしぺし、ぷにぷにと弄っている


「はは、今日は暖かいですしね~お腹空いたら自然と起きると思うのでわざわざ不機嫌にさせないで下さいね」

運転席では跳ねた髪の従者が振り向かずに声を上げる


「確かにお腹いっぱいになってからのこの日差し、二度寝に入っちゃうのも分かりますね」

金髪の青年も隣の寝顔をちらりと見る


当の本人はよだれを垂らし気持ち良さそうに、、

とかそういう無邪気な様子は特に無く、ただ静かに寝息をたてている



晴天

本日は見事なくらい晴れ晴れとし、雲一つない快晴である

冬としては非常に暖かく過ごしやすい気温、きっと洗濯物は良く乾き、イベント事ならばピクニックなんかがうってつけだろう


そんな中、巫女様御一行は王都から西へ、喫茶ギルドからさらに西へと向かい港町を目指している

目的地としては港町からさらに南下した場所にある炭鉱、ドワーフ達の住処へと向かう予定だ

本来ならばギルドから南西(なんせい)に直接向かうのが早いのだが距離も距離なので本日は港町で宿を取る事にしている


これは二日前、宴会に混ざって来たルク王からの提案である


【友人のドワーフ王へ紹介状を書いた、それと多少の財宝を持たせよう、これらを届け穴の状況を報告してみてくれ、きっと彼らなら何か適した物を作れる筈だ】


手先が器用で高度な鍛冶、工芸技能を持つドワーフ族

様々な魔宝具を生み出したのもこの一族と言われている

吸血鬼の様に太陽を浴びると灰になるやら石になる等言われいるのだが実際は眩しいと感じる程度で他の種族とそれ程変わりは無い、何せ王都に店を構えている者もいる

基本は地下を掘り進みながらモグラの様に暮らしている者が多く、金や宝石の採取、それらを加工して生計を立てている

しかし本来これは資金源と言うより『習性』に近いものなんだとか



「あ~ラフィらの方でなんとか出来んかった場合の策が取れて良いとは思うのじゃが、やっぱりあの王はどうも性に合わんのぉ」


「随分遠くに席ズラしてましたもんね」


いつもは小事に拘(こだわ)らない酒豪なのだがあの時は珍しく、分かり易い程嫌な顔を浮かべると早々に端の方へと移動していた

合う合わないはあれど宴会を始めたのはこの鬼な訳で、あれ程空気を読まない赤鬼の行動は知る者からしたら少し目立っていた


「あれで賢人なんじゃろ?納得出来んのぉ、バルの件には我関せずってのが特に気に食わん」


「いやしょうがないですよ、むしろルク王が国盗りしたい様な人だったら内輪揉めは本来チャンスですし、興味無いのが分かっただけで十分、余計な揉め事生まずに済んだとしましょう」


ディーン王国が何かをしようとしていたとして、実際王都が被害を生んだのは神父ゼブラの死、くらいな訳で、、

ルク王からしたら寿命と変わらないのだろう

王はハッキリ「すまないがバル王子の件は関与出来ない」と言っていた


まぁ


カセンの思う所の所謂(いわゆる)相性と呼ぶものはコレだけでは無いのだが



「でも宴会時もそうだったけどバル、、「前向きに善処する方向で検討します」って、大臣の影響受けすぎでしょう」

従者がケラケラと前で笑っている


「なんか一度そういうキャラクターで行くと戻るに戻れなくないですか? 多少王子と共に教養は学んでるんですがシフ程上手く色々こなせるのって凄く器用だと思う」


「カカカカ、アレじゃろ?シフはシエル以外に対して敬意を重んじておらんのじゃよ」

「言い方!」


「事実じゃろ?」


「いえいえ何を言いますか、ゼブラ様にお嬢様、ジルバ様に対しても重々と」


「そうか敬意では無いか、あ~なんじゃったか~、、まぁ器用とかそういうのでは無く多分何分割化に決めとるんじゃろ」



・・・



「カセンさんの説明ってやっぱり話が飛び過ぎてて分かりにくいですよね」


「おおおお!?」


しっかり言う事を言う

と言うのは仲間内において良い事だ



赤鬼はもう一度丁寧に説明を始める事とする

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