252 凱旋
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
2/22 6:00
「ふあぁ、、ぁ、え!?シエル様?」
「あれ?お、おはようございます」
「な~んじゃシエル、シフ無しでもちゃんと起きれるんか」
「、、てめぇらは私をどういう目で見てんだ」
昨晩
王都の大臣であった『フォメット』と言う魔族の扱いを王に任せ、一行は大聖堂へと帰路についた
到着後は日を跨いだ辺りで早々に切り上げ、すぐに身体を休めた
商人組は各自の予定で動くと言うことだったのだが巫女シエルの助言?で(もしもの襲撃時にリッツだけは対抗する術(すべ)を持たない為)コウの店へと向かった
念の為シフが駆り出されたのだがあちら側からの動きは無く、従者だけが眠らずに先程戻った所だ
大きなテーブルでシフ、バルが安物のコーヒーを
赤鬼は城から拝借(はいしゃく)して来たアルコールを摂取している
「あの、昨日の連中、、解放しちゃって良かったんです?」
バルは昨日無駄になってしまった自分の役割を念の為確認しておく
一日時間を置いたので失礼にはならないだろうと配慮ありきの判断だ
「ん、コウがあ~言ってんだアイツがなんとかすんだろ、残りは気にしなくて良い」
「え、そんな感じで良いんです?」
バルは巫女の分のコーヒーを渡し席へと戻る
「まぁ一応信頼は出来る」
「はぁ、了解です」
少しだけ納得はいかないのだがこの巫女が言うのなら大丈夫なのだろう、確認はせず飲み込む事とする
「あ~じゃあどうするかの?シフが平気なら続けてすり合わせでも始めるか?」
赤鬼は皆の顔色を伺いながら酒瓶を振る
「えぇ平気です、がお酒は大丈夫です、今後の動きと言いますか自分も皆さんの考えが気になりますし、、あ、ちょっとだけ待ってて下さい?」
従者は一杯目を飲み干すと自ら二杯目の準備に湯を沸かし、貰って来たであろう軽食のサンドイッチをテーブルへと置く
「お~流石、気が利くのぉ」
「じゃあもう一つ、まず自分から良いですか?」
バルが小さく手を挙げ、続ける
「思ったのですがあの大臣の台詞、きっと軍師レイだけじゃなく、もしかしたらなんですが大王自身が王子を狙っていたのではないかと思うのですが」
「実の息子を、か、、まぁ~たきな臭いのぉ」
「えぇ、大王とはそれ程接点が無いのでどういう考えを持っているのかは分からないのですが、、あ、それとシエル様を欲しがっていると言う事の意味合いも気になりましたね」
「あぁ、あのおっさんに『そういう趣味』は無いと思うがジジィの事も言ってたし気になるな」
少女?の台詞と表情は至って真剣だ、が両手に持ったサンドイッチで台無しである
「あ~、なんじゃったか?」
【私としてはディーンらとの繋がりを作ってくれたゼブラ神父、王都の希望であったゼブラ神父にはこれでも感謝していたんですよ?】
「とか言っとったのぉ」
「ちっ、回りくどい言い回しだ、どいつもこいつも古い連中は直じゃねぇ」
巫女は舌打ちをしながら次はコーヒーに口を付ける
「いあいあ、シエルも大概じゃと思うがの」
赤鬼は半分にやけ顔で煽る
「繋がり、感謝、、単純に考えればゼブラ神父はディーン大王と繋がりがあって大臣フォメットにも関りを持たせた、って事ですよね」
「あぁ多分合ってる、顔が広かったのもあるが会合なんかじゃルク王との間も取り持ってたからな」
「でもフォメットは巫女様の殺害を考えていた、と」
・・・
「あ~単純にあれなんじゃないんかのぉ?」
一行が思考を潜らせる中、赤鬼が指を立てる
「ディーンもフォメットもゼブラの爺様も皆して別々の思惑があったって事じゃろ、んで真ん中のキーマンであるシエルが~フォメットには邪魔でディーンには必要でゼブラは、、なんじゃろ守りたかった?とかそんなんか?」
「それだと分かり易いですね、狙い~他には無い物や事となるとなんだろう、、あ!巫女様の能力、とかですかね?」
「ロリコンで無きゃそれじゃろな」
「王子が殺された理由にはならねぇがその辺っぽいな、直接乗り込む前にルク王とも打ち合わせか、、めんどくせぇ」
「ぁ、そういえば何か褒美をくれるって言ってましたからお昼前にでも一回向かいましょうか」
黙って話を聞いていた従者が皆の器におかわりを注ぐ
「あんの王はあっしもなんか好きになれそうにないからやり取りは任せたぞ?」
「えぇ、怪力同士で拗(こじ)れるとか最悪ですしね~、、褒美は、お酒の補充の件だけで良いですか?」
苦笑いを浮かべながらシエルの方も一度確認する
「分かってる、めんどくせぇが私はちゃんと話すさ クソが」
少女?は残りの一枚を味わう様にゆっくりと噛み締め
小さく悪態と溜息を吐く
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