248 国王

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい



2/21 21:20


「巫女様、とりあえず残ってた兵は逃がさずに一塊にしておきました」

バルが念の為に抜剣(ばっけん)した状態でシエルの元へと駆けて来る


「ん、了解」


「逃げた兵は良かったんですか?」

行商人リッツは馬車を巫女の近くに寄せ、道具やら武器の整理をしている


「あぁ、逃げたやつは普通の兵って事だろうからね、消去法だけど残ってる中にいるだろうって巫女様が」

シエルが説明をしなさそうなので代わりにバルが横から説明を入れてくれる


「はぁ~なるほどですね~流石だな~」


「、、おい、あ~まぁ来なくても何とかなったが一応、リッツ、、タイミング良く、あれだ」

巫女の方から小さな声が上がる


「え?なんでしょう」

(あれ、名前)


「、、助かった」



・・・



「えええふええおお!いえいえ!あぁ!あ、でもアレなんですよ、コレはあのたまたまと言いますか偶然も重なりまして!」


「ちっ、ぁんだよ」

リッツのオーバーリアクションに巫女は舌打ちをしながら視線を逸らす




「ジンさんからの依頼なんですよね」




「、、は?」


「あはは、提案と言いますか、お願いされていた事がありまして」


「その危険物をか?」


「えっと正式には『火薬と言うものがあるっぽいんだけど』と言われてたので、手に入るのなら今後を考えて何とか取得出来ないものかと、、私もコウさんがドワーフさん達とやりとりしていた物がソレだとは最近知ったのですけどね」



「あいつ」


「ジンさん、自分が戦えないからって、やっぱりあの人は凄いなぁ   あ、それもそうですけど巫女様良かったんですか?」

横で聞いていたバルがシエルの顔を覗く


「ぁ?」


「シフ、向かわせてしまっても」


「何?あいつの事嫌い? 無駄に立ててやんなよ」


「いやいやいや、死亡フラグとかそういうつもりじゃ」

「いや、ゾンビだからもう死んでんのか?」


互いに物騒な発言をするが勿論わざとでは無い


「、、ん、まぁ問題ねぇよ、もうあっちは話がメインみたいなもんだからな」


「え?」


「なんならこっちの方はまだ何者か分からね~分不安だっつの」


巫女は自らのブラウスの下から手を突っ込み


さらしを巻き直す
















「あ~お~さて~どうしたもんかの?」


「意外、ですね、、」



赤鬼と従者は正門を通ると全力疾走で城内の『ある場所』へと向かった

共に同じ考えだった、なんせ情報量は同じだ


とある天然エルフの話だったか、、今は長(おさ)を務めている若いエルフの過去話

それとエバの居たモニターで見た蛙男(かえるおとこ)


【巨大な魔力、一度爆破させたが怪物となり追って来た驚異的な再生能力について】





魔族は人を食う

魔族には再生能力がある



遺跡で見た無残な仏の事が一番に浮かんだ



ヤツは


大臣であったフォメットは



補給に向かったのではないかと





『ある場所』、、それは人が集まる所


先程までの戦闘、主に城外でカセンが投擲したせいではあるのだが、その衝撃や音

その騒ぎで城内に住まいを構えている者達、それと  王族  が一ヶ所に集まっていると踏んだ

大きな城、大勢が一ヶ所に集まれる場所



二人は大広間に到着した





のだが





「ああああ˝ぁ˝ぁ˝ぁあ! そんな˝ぁ˝ぁあああ˝!!」





「うぅ、私は悲しいぞ、やはり怪しい者だったとは、、勿体無い」


赤鬼と従者が大広間で目にした  者


「国の為にと、それはそれは懸命に動いてくれていたので些細な事は目を瞑っていた、、ふふ、だがどうやら不発に終わった様だな」


それは


「本性を現したからには貴様ぁ!生きては返さぬぞ!!」


「あがががあああああ」



王の前で化物が平伏している



メキメキと音が鳴った



怪物に残っていた左腕からだ


そしてベキンと音が変ったと同時に



身体から離された

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