243 嘘吐
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
2/21 20:30
「くっそがやっぱりこっち側が魔族だったってか」
少女?は右へ左へと駆けながら城から遠ざかる
(いやどうなんだ?あのみてくれ、、魔族で合ってるのか?それともキマイラってやつか?)
「何してるんですか!巻き添え喰らいます、貴方達も早く此処から離れて!」
金髪の青年が周りの兵達へと檄(げき)を飛ばしながら誘導する
(くっ、出来るだけ邪魔な標的は遠ざけないと、数が多い分紛れやすい)
「借りますよ」
「返せるかは分からんがな」
中性的な顔立ちの従者は弓兵から弓を奪い、空へと放ち
和装姿の赤鬼は槍やら剣、斧等ありとあらゆる物を片っ端から投擲(とうてき)する
ビュン ビュン ビュン
ボッ! ビュン!
ボッ!
ブン! ブン! ブン!
ドカン
ドゴン
ドカン!
ドン! ドン! ドン!
様々な武器、凶器は空を切り
中々に対象へは命中しない
時に矢は掴まれ、地へと落ち
鉄で出来た系統の物は塀、城へと突き刺さる
しかし
「小賢しい、邪魔くさい!忌々しい!!」
猛攻を躱す一方で反攻には回れないらしく
怪物は汚い言葉を垂れ流しながら飛び回る
その怪物には大きな翼があり、頭部には立派にそそり立つ角がある
山羊の様な、悪魔の様な、、
ブン! ブン! ブン!
ブン! ブン! ブン!
「困ったのぉ」
ドン! ドン! ドン!
ドン! ドン! ドン!
投げる投げる投げる
投げる投げる投げる、、物の物量が減っていく
「あ~お前ら、逃げるついでに甲冑(かっちゅう)は脱いでってくれんか~」
贅沢言ってられないとばかりの言葉が響く
確かに鉄の塊として使えなくは無いだろうがその戦い方?は少し歪(いびつ)である
「くそっ!反抗、するなっ、に ぐあぁっ!」
当たった、命中した
いや
赤鬼の強肩(きょうけん)でぶん投げた細めのピルムはいなされ躱された
だが
それに重なり、超スピードで放たれていた光の矢が怪物の左掌を貫通した
「ちっ、流石に距離があるな、軽症ってとこか」
少し離れた位置、巫女の魔法だ
「ぐぅ、き、貴様らァアアアア˝ァ˝ッ!」
「うっせぇよ」
巫女シエルは小さく悪態を吐くと両手を前に掲げ
詠唱を始める
空気が変わる
ひりつく
ビリビリとした風が周囲を巻き
その足元からは衝撃が走り、地が割れる
「シエル様? まさか、ジンさんに渡した帯はフェイク!?」
「あんのアホ巫女、さらしにでもしとるんか?必要ないじゃろが」
「ほんっとにあの人は嘘吐きなんだから!それにあの状態、詠唱中は後ろががら空きになる、此処、お願いしますね」
(バルが誘導してくれている、が奇襲されたらアウト、間に合うか?)
従者は弓を放り後方へと走る
「カカカお願いもなんもきっつい事言うのぉ、もう投げるもんないじゃろが、、さぁてどうするか~」
珍しく困った様に眉を下げ周囲を見渡し、地へと目をやり
石畳を剥がす
「シエル様!待って、両腕吹っ飛ばす気ですか!? やめ、、て下さい?」
叫ぶ従者の声は近づくにつれ徐々に小さくなり
巫女の後方の存在に気付くと疑問形へと変わった
「ま~た無茶しようとしてんだって!?」
軽い巫女の身体は地から離れ、向きを変えられる
「なっ?コウてめぇ、なんでお前が、離せ」
詠唱を解いたシエルの肘が顔面に直撃した
「おおわああいってぇ、加勢しに来たのにそりゃね~よ」
コウと呼ばれたしっかりした体格の、、元騎士
現、水商売の経営者と
「カセンさ~ん!コレ使って下さ~い」
声と共に馬車が一台到着した
茶髪の若い行商人の参戦である
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