241 末裔

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい



2/21 20:30


「クックックッやっぱり最高ね、寒い時に飲むこの温かい」








「血液は」








「いやいやいやドヤ顔してる所悪いけどそれ味噌汁だから、具の無い味噌汁だから!」


持って来たカップに味噌を溶いただけ

とりあえず一番に渡した幼女から独り言が聞こえたので我慢出来ずにツッコんでしまった


「なんで今更吸血鬼らしさ出してんの?むしろ忘れてたわ」


「ん、う˝ん、この標準な香りと濃厚な、、えっと、このー、味」


「芳醇(ほうじゅん) な?香りが高くて味の良い事な?なんだよ標準な香りって! 普通じゃん、普通の匂いじゃん!?」

(あともう格好付けようとしても「味」とか言っちゃってっからなーーー)


乱舞の様なツッコミをし過ぎて後半を逃したのは仕方が無いとして、、

先程火を焚き終えた俺達はラフィがどこかから持って来た謎の肉とキノコを炙りながら簡易的に作った汁で身体を温めている所だ


「ラフィ、さん?肉はまぁ良いとしてさ、キノコ、、大丈夫なんだよね?」

目の前の美女に向かい念の為の確認をする


「あぁこれに毒は無い、焼いても良いしこの味噌汁に入れても良いと思う、、ので味噌汁にいれるか?」


「そっ、かぁ、でも本当に大丈夫なんだよね?、、うん、もうすぐ焼けるしこのままでも良いんじゃん?」

キノコだしね、もう一度だけ軽く確認するさ

(ラフィだしね)



「ジン!ジン!!」


右手にカップ左手に焼きたての肉を持つ幼女がやって来た


「はい、あ~ん」


「いや、いいってロゼから食べなよ」


「あ~~~~ん!!」


「あ~わ~かった、分かったよ  はい、あ~んっておまっ むがむごごもおmぉ、、むぐむぐ   一回の量が多いんだよ!」


「ふふふ、美味し~ね~」


「、、うん、美味い、美味いよ」

ストレート過ぎる台詞と笑顔が何故か眩しく、つい照れ隠しに目線を逃がしてしまう


ロリコンとか関係無しにこういう所は本当に単純に可愛いと思ってしまう



「むっぐむぐ、あ!そうだ、そういえばなのだが」

エルフが豪快に大きめの肉を頬張りながら幼女の方を向く


「ん? はい、ラフィも味噌汁どうぞ」


「む?もぐ、いや大丈夫だ、先にジン殿が飲むと良い」


「え、そう?」


「ずっと気になってい ひっく!   、、気になる事があったんだっひっく」


(ほら~しゃっくり出ちゃってんじゃん)

三十路はそっとエルフの足元にカップを置く


「っ、丁度聞く機会が無かったのだが、ロゼは ひっく  ロゼはいくつなんだ?」

間の抜けた音を間に挟みながらも表情は特に変化させず「何か?」みたいな顔をしている

「と言うか、本当に吸血鬼なのか?」



そう!



「ひっく   ひっく」


ちょっと馬鹿みたいだけど結構良い所をついた!天然エルフ

女性の年齢を聞くのはやっぱりちょっと抵抗があったのだよ

なんせ未だにそういうのを気にしなさそうな飲兵衛にすら聞けていない


こんな世界だ、全体的に年齢なんてものを気にしていた訳では無いのだがロゼに関しては別だ


しつこいがロリコンとかでは無い

巫女から高齢とは聞いた、、だが、だからこそ?このお嬢様には気になる所がいくつか


一つ、歳を重ねている割に知識量が乏しい様に見える事

これは中二の様なキャラを演じているからと言う訳では無い、、世間知らずなだけなのかとも思ったのだが無知な点が多く見えてしょうがないのだ


二つ、背中に翼と呼べる物が無い

そのうえ早寝早起きって、、俺の知ってる吸血鬼のイメージからあまりにもかけ離れている


三つ目、、血を吸っている、飲んでいる所を見た事が無い


(吸血しない鬼ってもう鬼じゃん、、角とかないけど)



「クックックック教えてやろう我の本当の、姿?正体?  真の!正体をぉ」

幼女がカップを置き、串で天を指しながら立ち上がる


「む、本当の正体、だと?」


「いやそういうのは良いんだけど、、本当の事言ってよ?」

(何、変身とかするの?)


「何を隠そう!私(わたくし)は高貴なる吸血鬼」


「吸血鬼なんだ、、ってか今度はわたくしでいくんだ?」


「あ、えっとあのね?違うの、いや、、大丈夫、違わない!私(わたくし)で大丈夫」


「おん、ごめん続けて?」

(話が進まなそうなのでとりあえずツッコミは後に回そう)


「私(わたくし)は高貴な吸血鬼の一族の末裔、偉大なるフェレス侯爵(こうしゃく)の一人娘、であられられるの、だよ? わよ? なのよ?」



「ひっく   ひっく」



大事な事を言ったっぽいのに


俺の頭には入らずに消えた

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