228 茶番

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい



2/20 20:30


(ちくしょう、ちくしょうめぇ~)

本当になんと言えば良いのか、、面白くないと言うのが一番しっくり来るか?


店の亭主はブツブツと、半分言葉が出ているのではないかと疑う程の表情で芋を揚げ続けている


「お!ナニコレちょ~美味ぇじゃん」


「本当だ美味しい」

「へ~、じゃがいも?なんだよね」


「うんうん、だろう!そうであろう?」

部下達?のリアクションを見てから腕を組み、取れるのではないかと言うくらいに族長が首を縦に振る


「なんでラフィが自慢気なの?」

バルもツインテールがいないのでいつもの二倍忙しそうである



「人間!貴方実は何処かのコックだったりするのかしら?」

幼女が目を丸くしながら芋を片手に寄って来た


「ん、おぉ、やっぱりこんなんも食った事無いわな?けどロゼ、お前さ~その人間!っての止めない?」


「人間、、では無いのか?」

「ちげぇよそういう意味じゃなくてさ、あ~え~っと~?こん中だと~」

一度座敷に目を向け、軽く『人間』を探す


「、、あ!ほらバル!バルも人間だろ?」

(うわっ・・・私の店、人間率低すぎ・・・)

この世界で誰が分かるでも無いのだが某広告の真似は欠かさない


「なるほどそうか、被ってしまう訳か」


「種族の事を被るとか言うのはなんか変だけどまぁほれ、エルフ!って言ったら此処だと四人振り向く訳だし」


「ふむ、一理あるな」


「シエルみたいのはぶっちゃけ何なのか分かんね~けど普通に名前で呼べよ?みんなジンって呼んでるだろ?」

(はい、本当は仁です、すいません、はい)


「にん、、ジン」

「にんって言う必要あった? まぁ、うん、まぁそんな感じ」

(年上らしいし本当は逆に俺が敬語にしないとなのか?ってか奇跡的に昔のあだ名掘り返すとかヤメテ)


「分かった、ジン!  ジン! ジンジン!」



何故か嬉しそうなお嬢と戯れているうちに向こうは真面目な方向に話が戻ったらしい

真ん中で進行役をしてくれているシフが真剣な表情に戻っている



「一度、直接向かいますか」

従者は巫女の意見を伺う


「ぁ~いや、先に聞いてからだ、帳簿くらい付けてんだろ」

巫女は入口の方をちらりと見てからキッチンの亭主に目を向ける

「あの行商人、次はいつ来る?」


「え?リッツの事? あ~え~たしか~明日の昼には来るよ?」



・・・



「え、あれ?」

(やっぱりシカトゥ?)

思いそのままに返答などは返って来ず、当の本人は思考を始めている


「んだよ~お宅の巫女様教育がなってませんよ?良くない、シカトはヨクナイヨー」

ドリンクの追加分と二杯目の大盛りポテチを適当に置き、座敷の端に腰掛ける


「申し訳無いです、中々治るものでもなくて」

微笑む従者から悪びれる様子は一切見えない


「カカカ、シエルもあんな感じに呟きながら考えをまとめれば良いのにのぉ」


「いや、あれはそういうやつじゃないと思うけどね」


「そうなんか? ふむ、どぉれ」

話が進まず、手空きになってしまった為、、と言うか多分おかわりのついでだろう

赤鬼は席を立つと幼女の近くで膝を折る

「ロゼよ、なんじゃそのなんたらかんたらって言うのは、魔法の詠唱か何かなのかの?」


ポージングをとりながら独り言を呟く頭部を撫でる


「えっとこれはね? ぁ、これはな!暗黒の~、、ダ、ダーク、ソウル?  ブ、ブレッドぉオ?ブラッディ~ブラッド!?」


(ナニソレ、途中パンみたいになってるしブレッ『ト』って言いたかったのか?ってかここでも奇跡的にビートルズみたいになってっから)

※オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ


「噛み噛みじゃの」


「暗く暗黒の、、その、黒い 黒い命の、魂の~?    やっぱりダークソウルブラッド!」

(駄目じゃんやっぱりって言っちゃってるじゃん)


「お~お~めんどくさいのぅ」

(絡みに行ったのにこっちはめんどくさいって言っちゃったよ)


「め、めんど、、違うの 聞いて!私、、いや、我って魔法が使えるから魔法少女じゃない?」


(魔法少女は基本『我』とか言わね~だろ!天手古舞(てんてこまい)!もうお前の設定てんやわんやだよ)


「、、ん~む魔法少女と言うよりは魔法幼女じゃがのぉ」

(ソコは良いの、大きなお友達ってその辺曖昧だから)


「少女!語呂が悪いでしょ?」

(語呂はあんま変わってなくね?)


「ん~良く分からんが魔法少女ならシエルの方がしっくり来るんじゃないかの?」

(飛び火しないであげて~やめたげて~)



ポテチと酒を片手に


まだまだ余興が続く

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