226 配膳

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい



2/20 19:30


「知らないって訳じゃないのよ? ただ、ほら私が、、いや我が深くまでを知る必要が無いって事なのよ」

幼女が気まずそうに目線を逸らす


「う~んそうですか、なんとなくはそうじゃないかと思っていましたが、やはりお嬢様まで情報は下りて来ていないのですね?」

従者は一通りの事を幼女から聞き終えるとメモを付け、手帳を閉じる


「だから違うの、聞いて? 知らない訳じゃ、ぁ、、ふふ、ないのよぉ~」

通せんぼの様に前へ出たのだがそのまま少し宙を浮く


要するに雑に退(の)けられたのだがニコニコしているから良しとしようじゃないか


(でもあの幼女、あれで懸賞金5億なんだよな~)



今は客が一人も居ない喫茶店

(まぁ夕方くらいから?いませんでしたけど?)

メンバーが座敷で円卓を囲み、情報の整理を行っている

ので俺はと言うと、子猫を撫でながら全員分のドリンク準備をしている所だ


一人一人の考えやら意見が乱雑に聞こえ出した辺りで応答及び進行役をシフが買って出てくれた

こちらを伺いながら噛み砕いて話してくれるのでとっても助かります先生!


だが、シフの扱いが可哀そうに見えて来た

袖元がちょいちょい伸びてしまっているのは幼女だけのせいでは無い


「はっ、情報一つ出さずに高い高いで大喜びかよ、役立たね~お嬢様だな~ぁ?」

反対側の腕をゲス顔で強く掴むのはロリ巫女である


「シエル!おまっ、貴様それは侮辱しているの、か~?」

巫女の方へと向かおうとする幼女がまたも宙を浮く

「はいはいお嬢様、話が進まないので、、シエル様もお嬢様と遊ぶの一旦止めて下さいね」


「ぁ~はいはい」



何って言うかもう




保父さんなのかな?




「お~?だとすると爺を探すしかないんか、ん?いぁ、あ~何処行ったのかも分からんのか」

赤鬼が馬鹿みたいな言葉でしっかりと話題を戻す


「恐らく痕跡を辿っているのではないだろうか?あの爆発はジン殿が言っていたちゅりゅうだんよりも威力があった、別物の筈だ」

「手榴弾(しゅりゅうだん)ね?ジンさんそんな滑舌(かつぜつ)悪くなかったでしょ」

真剣な表情のエルフにいつもの様にバルがツッコミを入れる


「爆弾的な何か、でしょうが明らかに狙いは『祭壇』、強度もそうですが隠し通路だったりだとか種子の事だったりとか、お嬢様が分かる範囲で良いので何か心当たり等ありませんか?」


「う~、分かん、ない」


「役立たね~お嬢様だな~ぁ?」


(え~二回目!?)


「や、役には立つもん立ってるもん、お昼に可愛いねって言われたし配膳だって頑張ってるんだから! ほら人間!何か運ぶ物は無いのかしら!?」


下履きを履くと逃げる様にカウンターへと駆けて来た


「え、運ぶ物?あぁみんなのドリンク出来たからコレ運ぶ?」


「ふ、ふふふん!仕方ないわね、良いわよ?やってあげるわ」


「自分で来といてなんで上からなんだよ、ちょっと量あるからな?グラつくからな?」


「余裕よこんなもの、片手で持てるわよ」


一本橋を渡るかの様にトレイが小刻みに揺れ、グラスがカタカタと音を鳴らす


「こえ~な~、まぁ片手のがバランス良いんだけどな? ったくシエルもさ~自分より小っちゃい子あんまイジメんなって、それにロゼがいなかったらみんな瓦礫の中だったらしいんでしょ?超役立ってるじゃん」

俺が言えた事では無いのだが、先を歩き、一応フォローを入れる


「でしょう!? ほら役立ってるんだってばぁ」

チョロく、ご機嫌な声が後ろから聞こえる


「ふお~可愛いなぁあの八重歯が何とも言えん、なぁそう思わんか!?」

興奮状態の族長が隣に座る部下?達の太股やら肩を叩く


「姫様太股は痛い」

「主にスティルにやって」


「やられてるわ、ノールックで頬を躊躇(ちゅうちょ)無くやられてるわ」



「、、ロリコンがなんか勘違いしてそうだから一応言っておくけど」

バシバシと叩かれるエルフ達を完全無視して巫女がジンを見る


「ロリコンじゃないけど、、何?」






「ソイツ一番年上らしいぞ?」






「うそぉ!?」


振り返った三十路の不安、いや、期待通りに



宙を舞う酒類が全身を濡らす

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