221 心動

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい



2/20 9:00


とりあえずはこんな感じだ

俺の頭の中は不確定な情報が一気に入って来過ぎてまだ混乱が収まっていない訳で、、、


昨日顔を出した商人リッツから国を挙げて神父様の葬儀が行われた事を聞いた

「え!?そんな風には見えませんでしたけど」

と言うくらい、そこにはきっちりした格好の巫女が居たらしい(見えるか見えないかの距離だった様だが)


心身共に疲弊しているだろうに、、

大勢の前で立礼

決まった台詞では無いシエルらしい、だが綺麗な言葉での精読

気丈に振舞い見事に今後の流れや国としての動かし方を説法していたとの事だ


相変わらず、いや流石と言うべきか『強い人』なんだと感じた


それとは別にリッツからディーン王国の情報も聞けた

「王都での動き次第で~とか物価が~」とか色々言っていたが一番大きな事


研究者キドナが行方不明で大騒ぎになっているとか



もう訳が分からない



どうやら悪役=キドナと言う訳にはいかないらしい


影響力のあるポジジョンであり国の支えなのは神父様以上なのだろうか

こっちは軽い、所謂パラドックス状態になっているらしく施設周辺では国と対立している民も出てるとか何とか




アルやエバの件に関しても『一応』無事と言うのは聞いたのだが流石に一週間が経つ

着替えや食事、それに治療費だって心配だ

ライアに金銭を渡し様子を見に行ってくれと先程お願いしたのだが


「あ~申し訳ないが俺も暇じゃないんでねぇ、まぁ大丈夫だって面倒見良い人だからさ!んな事よりも少女二号はあれからどうなの?」

話を逸らすかの様に倉庫側の窓を見る


「その呼び方はやめい、二日前からやっと食料は口にする様になったが相変わらずだんまりじゃの」


「相当仕込まれてんな?」


「あ~何と言うか、全体的に嫌な方面でじゃがな」


「身のこなしどうのよりも精神面とかか?なんっつうか、うちの部下じゃ考えらんねぇよ」


「、、にゃんですか?」

目線の先の餅肌が朝食を食べ終え、気まずそうに口周りを拭い舐めている



周りの強さと優しさ、それと賑やかさには本当に助けられる


そう、もう一つの問題点だ

アルに良く似た少女


そして


未だに不確定な



キーロの安否



モヤモヤ冴えない頭と役に立たない全身が痛い

ポケットからスマホを取り出す、のだが


最後の動画に残っていた一言


【電池が無くなってしまうのでこの辺で僕の記録は終わりにしておきます、どうかジンさんに渡りますように】

その台詞は所々が途切れる様に弱く、ちらりと見えた青年の顔色は真っ白であった


ジンは電池の残量を考え、再度大事にポケットへと仕舞う



・・・



花火はキーロが打ち上げたものだとばっかり、、


あの時間のデータがあるって事は


グングニルが放たれたって事は



いやまだだ、まだ!

もっと、、みんなの意見を聞かないと、それこそシエルとかが万全な状態の?



ガチャリと乱暴に扉が開いた



いつものドアベルがカラカラと鳴るよりも早く



知った声が二つ



「腹減った、飯よこせ」


「どうもお久しぶりです~」




「え、、ええ? なんだよ、早くね?」

半分にやけながらも歓迎に、痛みを忘れ立ち上がってしまう


「巫女様?」


「っみ!みみこどの!?」


「お~シフも、大丈夫なんか?」


「、、シエル」


少ない客の事など無視して仲間たちが入口付近へと集まり出す

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