209 共戦
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
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「モミジ!カエデ!無事か」
「誰かさんのせいで軽症」
「無事無事、だけど」
エルフ三人の前には首の無い馬と半壊した荷台、それと大量の冷凍イカがぶち撒かれている
「可哀想な事、しちまったな」
「横に付けろとか言うから」
「経費で落ちないよ?馬車代にお土産代はスティル持ちだね」
「お、、おおう!?」
咄嗟、馬の顔が化物に食われた瞬間スティルはハーネスを切り離し積み荷を落とした
自由の利かなくなった車輪は馬の屍骸を轢き、衝撃を減らしながら転倒
アーチ状の屋根部分は無くなった
「ってかあの怪物、姫様いるのあの店だよな?」
「、、急ごう」
「武器は無事だね、亡骸は後で処理してあげよう」
バヂィイン!
破裂音が響くと次に悲鳴の様な音を立て、山羊の部分から血液が噴射する
「え、、ぇ?」
三人は間抜けな声を上げる
喫茶店まで目前、いや、まだ見えるくらいと言った様な距離だ
(どういう状況?)
胸元付近まで腹部を露出したツインテール、それと瓜二つの顔をした少女が対峙している
「あれ、ナイフだよね?、、って!?」
ツインテールの少女が刺され、たのだが刺した方の少女が体勢を崩し
パン!
と音がした
「綺麗に折れたね、容赦無いな」
「仲間割れ?」
「良く分かんね~けど、アレは仕留めないとだ」
スティルは腰元の得物を二本抜きライオンの頭部目掛け走り出す
「俺らは胴を狙うから、変な動きしないでよ?」
「いつも射抜きそうで怖いんだよ」
モミジ、カエデの方を振り向かず、狙うはライオンの頭部
・・・
だったのだが
「尾を切り離して!」
ツインテールの少女から零れた生首が叫んだ
と同時に猫耳少女が二人、凄まじい速度で店から出て来た
猫耳達は化物の尻尾
大型犬の胴回り程の蛇に包丁を突き立てる
「このっ!このぉ!」
「姉ちゃんをっ放せよ!」
滅多刺しの如く何度も同箇所に切れ目を入れ切断を試みるのだが所詮は家庭用
料理に使う刃物に大蛇の口は開かない
それどころか
「ゴォオオン!」
暴れる自らの山羊の部分を押さえつけ、、ライオンの頭部が猫達を見ている
(、、ヤバッ)
「モミカエ!頭!」
スティルは目標を変え
ドズ! ドス!
蛇の付け根から少し先、出来るだけ細身の部分を左右から突き刺す
「ゴギャアアア」
痛みは共有されているのだろう、怯み、猫達から少し離れた
「おらぁあっあ˝ぁあ!」
舵を取る様に刺さった剣をぐるりと回す
ブヂヂ ヅヅ! ブヅ
ボトン、いや、ズシンと落ちた大蛇
これには先端の口元が開いた
(どうだ?やった、、か!?)
大木程ある後ろ足がスティル目掛け斜め下から掬い上がり、直撃するとボギンっと音が鳴った
それもそのはず
標的は痛みの先である尻尾のあった付近へと変更されたのだ
スティルは衝撃を受け、四階建て程の高さまで跳ね上がる
「くっ!あいつ」
「バカ!」
距離的にどうにかなるはずも無く、弓兵のエルフ達は合図の通り頭部目掛け矢を射る
キーン!
キューン!
弓音が二回派手に鳴った
放たれた矢はライオンの頬を貫き、目を射抜いた
それに合わせるかの様に猫忍がアルとエバの頭部を抱え、距離を置く
「ゴオオオギャアア ギャギャィアア!」
中々にボロボロな化物だが、息絶える様子は無い
「あず!散らばって逃げましょう」
とは言うものの身を隠せそうな建物はギルド以外存在しない
「追いつかれちゃう、食べられちゃう、、って!あれ?」
頭部を抱えた猫は空を仰ぐ
(いてぇ、やべぇ)
幸い、、意識はある、が
(受け身でなんとか、、っ 駄目か)
折れたのは腰骨、衝撃で別もいったかもしれない
痛みで身体を捻る事も出来ない
(こんなつまんね~とこで、王子の無念だって晴らせてね~っつうのに)
(姫、、、泣くかな)
宙を舞うエルフは虚空に手を伸ばす
「え~、ヒーローが救うのって普通可愛い女子じゃないの!?」
エルフの手を取るのは天使
いや
そんな言葉が似合わない
大柄の男
大きな翼を持った烏天狗が空を舞う
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