206 意味
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
2/13 15:20
「え、、ぇ?」
ごく普通の人間、平均的な体躯の男
喫茶店のマスターは手元の板をしばらく見つめながらしゃがみ込み、間抜けな声を上げている
先程軽く声をかけた巫女と赤鬼も不思議に思いながら近寄り
共にその小さな板を覗き見ている
合成獣?
なんだそれ
キメラにキマイラ? キドナ?レイ?
なんだそれ
グングニル?賢者の石?
なんだそれ
いや
そんなのどうでも良い
どうだって良い!
多分この画面に映っている女の子は
アルやアイリと『一緒』なんだろう?
考えた事はあった、、でも今じゃない、今じゃない
今じゃない!!
・・・
急に風が強くなった気がした
少し先、王国の方からサイレンの様な音が響く
「ちっ!準備しろ、恐らく、来るぞ」
顔色の悪い巫女が背中を撫でる
「あ?ぁ、あぁ、、」
(そうか、そうだまずは目の前のソノえっと、グングニルを片付けるん?だっけ)
ゆっくりと立ち上がり設置された『砲台』の元へと向かう
そして
使い方の分からないソノ兵器、以前文字の浮かんだ箇所へと手を置く
(早く、終わらせよう、さっさと終わらせないと)
「ジン」
赤鬼が小さく呟く
「カセン」
「うん」
「まだ確定じゃないよな?まだ、分かんない どうなってんのか、それこそどうなるかもわっかんないけどさ?」
「うん」
「この世界、ヘイト高すぎね?」
「、、そうじゃな」
「あ、あぁごめん笑えないよな 変に愚痴ったわ 痛いのはみんな一緒だもん、さっさと終わらせよう?」
「お~支えてやるから ちゃっちゃと終わらせて、、ま~た酒飲まんとなぁ」
少し震える肩を抱く
その手を
優しく二度、三度と撫でる
「終わらせてはっきりさせないと、、ちゃんと確認しないと、キーロ˝んとこ行って んっ!うう˝ん!! ちゃんと 聞かな˝いと だよな!!」
詰まる言葉を強引に払い
目の前に「セーフティロックを解除しますか」と言う文字
そして同じ台詞でエバの声が響く
都合の良い世界にならなかった
「異世界転生ざっけんなああぁあ˝!」
叫ぶ声とは裏腹に
浮かぶ文字「イエス」に触れるその姿は地味であっただろう
だが次の瞬間、砲台の先端から光が発射され声はかき消された
衝撃で砲台共々ジンの身体が後ろへと下がるので圧が掛からないようにカセンが構え直す
のだが
急激な脱力感がジンを襲う
(なん、だ コレ ヤバイ 立ってらんねー)
文字通り身体を支えきれずに膝から崩れ落ちそうになる、所でシエルがジンの腰元へ抱き付く
「目一杯くれてやる、耐えてくれ」
巫女の身体が発光を始め、青白い顔色から一層血の気が引くのが分かる
(あぁ、そうだ 腹は括ったんだ こんな所で!)
生まれたての小鹿の様に震える膝を懸命に傾け、カセンに体重を預ける様に砲台に覆い被さる
合法ロリが腰元に抱き付いている状態から真剣な表情で膝をガタガタと揺らすその姿はとても間抜けで、シリアスな時に主役がして良い格好では無いだろう
「、、なんって格好しとるんじゃ」
赤鬼は笑うのを耐え、光の放つ方へと視線を逸らす
「うっせぇ、手ぇ放しちゃダメなんだろうからしょうがないだろ」
「なんて言うかジンさんは流石ですね」
見ている側のバルがツボって動けなくなってるエルフの横で声を出す
その隣では老紳士に支えられたシフが目を見開いている
「この光、、まさか」
「えぇ、シフの故郷を奪ったのもグングニルでしょう、恐らく証拠隠滅と瘴気の発生が目的といった所ですね」
「くっ、では今回の目的は」
無念の思いで歯を食いしばり、幼女の方へと目を向ける
「そうですね、お嬢様狙いもあるでしょうがどうやらユドラ様の種子を破壊して瘴気を外へと出したい様にも思えます、それと巫女様が此処へ来てしまった事も考えるとタイミングを図っての犯行、、全てまとめて処分するつもりでしょう」
「先程の連中諸共、ですか」
「そういう連中です、、しかし不幸中の幸いヒーローの様にジン様が現れましたから、今は祈るほか無いでしょう」
老紳士は巫女に向かい祈る神父を見てから
足元で不安そうに真似て祈る幼女の頭を撫でる
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます