205 作品
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
2/9 21:20
「キド、ナ?」
分かってはいた
確信や理解と言う様なしっかりとした答えでは無かった
以前の、聡明な上司キドナに子供がいても不思議ではなかったのだが、、目の前に居るソレはそっくりとかそういう類のレベルでは無い
尊敬していた彼女をそのまま幼くしたその容姿
それは、まるで
「そんなに驚く事でも無いでしょ」
青年が答えを導き出すよりも先に少女が話を続ける
「何百年間偉業と呼べる事を達成してると思ってるの?オリジナルが生きてたとして寿命尽きてるでしょ、、あ、でもそっか一号が殆ど壊しちゃったから今はあの子が表でやってる程度なんだっけ」
「あの子、、代表の事ですか?」
「あははは! そう代表、代表ちゃんの事だよ~」
何処か煽る様な口調に嫌気が差したのか、それまで黙っていた者が声を出す
「キドナ、出来ればあまり情報漏洩しないで欲しいのですが」
「情報漏洩?君達の事なんて言ってないよ? 此処の事に関しては全部僕の勝手だろ? でも まぁ 石の事は気づいちゃったみたい」
少女は意地の悪そうな顔で舌を出す
「はぁ、そうですか、、世の中には知らない方が良い事だって沢山あるのですが」
後方の声に焦りは無さそうだ
青年はここから逃げ出してしまいたい気持ちを抑え、冷静に
一度だけ深呼吸をして
今やるべき事を優先する
「すいません、逃げも隠れもしませんからもっと教えて頂けますか?グングニルで、、僕の命で何をするのか 代表は? キドナ、アナタ達は何者なんですか? それと」
青年はぐるりと振り返る
「軍師レイ様!アナタの狙いは何なんですか?」
・・・
「キーロ君、それは君が知る必要の無い事だ」
「え~良いじゃないか! あははは、だって賢い人間が僕に、、僕の技術に興味があるってだけでも嬉しい事なんだよ!?」
天才軍師とは真逆に、少女からは楽しげな声が上がった
キーロはチャンスとばかりに続ける
「代表とアナタは別人、、なんですよね?」
「失礼だな~、あの子は僕が作ったんだよ?一緒にしないでよ」
「え?」
「凄いでしょ!僕よりもウケが良いみたいだからなんかムカつくんだけどね、、本体の脳を使ってるから量産出来ないけどその辺は僕がいるから良いかな~って」
「作っ、、た? 量産?」
またも話が飛び過ぎていて追いつけない
「あれ、分からない?作りとしては君も良く知ってる、、ほら!なんだっけあのコ」
「アイラですか」
レイが間髪入れずにフォローをする
「そうそう、アイラ! あの娘と一緒だよ丁度良いからレイ連れて来てよ」
「まぁ借りて行く予定でしたが、、キーロ君、君はもう石になるまで此処からは出られそうに無いですね」
軍師は軽く溜息を吐いてから奥へと足を向ける
(逃げられるなんて思ってない、、だけど コレを どうしたら)
「レイは意地悪だな~、面白い事を考えてる割にそういう所つまんない!」
キーロの真剣な思いとは別に少女は手持ちの棒を無造作に投げる
(この子、、もしかして いや、まずは代表にコレを渡せればなんとかなるか?)
だとしたらとにかく
出来るだけ、分かりやすく
情報を吸わねば
キーロは作業着ズボン横のポケットに手を伸ばしてからメモを取る
フリをした
・・・・・・
「道徳?え!そんなの科学者なんて者は簡単に通過して行くじゃないか、特にキーロみたいなお利口な奴こそど~せ何も無かったかの様に過ぎて行く問題だよ? 興味無い!違う話題にしよう」
少女は先程から青年の出す『話題』に犬が尻尾を振るかの如く
釘付け状態である
「では次は星を落とす方法、とか アナタならどうしますか?」
「そうだな~僕だったら、、ってあ~残念、帰って来たね」
少女の視線の先、奥の暗がりへと向かった軍師が一人の少女を連れて帰って来た
その姿に青年は息を飲む
いや
寒気が
悪寒が
鳥肌が
二つ結びをしていないその姿に
涙が止まらない
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