204 化物

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい



2/9 21:00


「カッコイイでしょう?それはね、グングニルって言うんだ」


「グングニル、、ですか」


「そう、グングニル  それに書いてあるのは大分前のモデル、今なら素材もあるしもう少しスタイリッシュに軽量化も出来ると思うんだけどね、でもね~使うのに必要な賢者の石がすっごい貴重なんだ、だからまずはこっちの生成方法から見直したいんだよね」


図面だけではとても想像はつかない、のだが『良くない物』と言う事だけは羅列された説明文や重量、大きさで予想出来た

そのグングニルと呼ばれた兵器はキーロの脳を揺さぶった


怖い物


人間が使ってはいけないモノ


兎にも角にも、拒否反応でソレを無くす方法を考える


(原料? まずその使う為に必要だと言う賢者の石と言う物質だ)


「賢者の石とは、その成分は、何から生成するのでしょう」

恐る恐る、次の資料に目を向けながらも少女の顔色を伺う


「ソレなんだよね~、エネルギー体 かな、魔力なのかな? どちらも中身は一緒だとは思うんだよ」

人差し指を立てぐるぐると回す

「でもね、溜まる速度って言えば良いかな、大きな力がかかる時に熱が発するでしょ?それと一緒!」


「 !? それって」


「高エネルギーを溜めるのに一番良い方法だよね、あの狐を手元に置ければな~」


「それは、、死んでも、停滞しますか?」


「あっは、何が?分かっちゃった~?」

少女は背伸びをし、キーロの胸元に耳を付ける

「やっぱり賢いね、その通りだ、キミと一緒」




「転送するんだよ」




青年は少女から逃げる事も、突き飛ばす事もせずにただ、ただ思考する



「良いじゃないか意味のある役回りだよ?僕としては違う使い方をしたいんだけど契約だからね、、話が反れちゃった、そうだ!最新作を見せてあげるよ」

話題に飽きたらしくキーロの腰元を叩くと軽快に奥へと向かう



(代表は、この事を知っているのか?)



「早く!見てごらんよ」

少し向こうから、不気味な空気が漂う扉の方から手招きをする



(そもそもどっちが、、)



次から次へと入って来る情報に考えがまとまらないまま少女を追う


「ほら凄いでしょう」


「、、な!?」



招かれた巨大な部屋の中


少女のすぐ前には二体の化物が蠢(うごめ)いている



「魔族をベースにゾンビパウダーを盛り込んで火の国の神を模してみました、そしてこっちは獣タイプ、虫は飽きちゃったから、、大体の物は噛み千切れるよ」


片方は巨大な塊、、いや、違う、蛇だ

多数の首、頭がある



それをもう片方の化物が



貪っている



どうなっているのか分からない


馬の五倍、いやそれ以上、十頭分程の大きさがあるその怪物はライオンの様な頭部、胴体に、、山羊が、同化している

いや、くっついている、と言うべきか


その化物の動きは素早く、獲物を咥えたと思った矢先に暗闇の奥へと飛ぶ様に去って行く


「あ~、残念もうちょっとやり合うの見たかったのに」


「ぁ、あれ、も? キマイラ、ですか」


「そうそう移動用に丁度良いのが欲しかったからさ、馬人間も今作ってみてるんだけど人間ベースは脆(もろ)くてね~」


「あっちの蛇は、餌、、!?」

キーロは目を疑う


引き千切られた筈の蛇がグズグズと音を鳴らし、再生を始めている


「餌じゃないよ? 兄弟みたいなモノだからじゃれ合うかな~って、あの子の尻尾見えた? この子の首を一本移植してあるんだよ、でも仲良くはならないみたいだね」


もう    理解が追い付かない


そんな事はお構いなしに

まだだと言わんばかりに


知識をひけらかす


「知恵持ちも欲しいから僕なりにキメラも作ってみてるんだよ? 武装させてもそこそこ使いこなすしありなんだけどやっぱり育成が面倒でね、魔力も微弱だしバランスが難しいんだよ、その点フェリスやルイなんかは上手く作ったんだな~って思うね、でも君がいなかったら上手く行かなかった訳だし、やっぱり時短、優秀なのを増やした方が早いよ」

少女は少し声を落とし、爪を噛む



(? やっぱり、別々、、なのか?)



「こんな奥まで来ていたんですか?」



!?



気付かなかった


すぐ後ろ、少し高い位置から肩を叩かれた


「丁度良かった、そのライオン君と調教済みの『アイラの子』を貸してもらえますか?」






「キドナ」




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