201 疑念
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
12/15 11:50
「本当に、本当に!大変申し訳御座いません!!」
咄嗟に、自然に
したことも無い無様な姿勢になった
「キーロ? キーロー」
突然の大きな声、地に頭を付ける青年を心配そうに犬耳が奥から顔を出す
「頭を上げなさい、君のせいじゃない」
「いえ、しかし!」
「王子が、バルが死んだのは、元を辿ればエルフを見損じた私の責任だ!温厚な種族だと甘く見ていた 決して、、君のせいなんかでは 無い」
大王は言葉を殺す様に歯を食いしばり
青年の背を擦るのだが
パチン!
「サワンナッ!」
王の手を弾く様に肉球で払い
「キーロニナニシタ! オマエ コロスゾ!」
歯を剥き出す
「フェr!」
爪を出さなかっただけ良い方だ
鼻元へ皺(しわ)を寄せ
今にも飛び掛かるかの様に目を見開く
「フェリス!違う、違うんだ 申し訳、御座いません」
地から頭を離し覆い被さる様に興奮状態の犬耳を抱く
・・・
「随分と懐かれているのだね 羨ましい限りだよ」
「あ、はは 素直で良い子なんです、偶に周りが見えなくなっちゃって」
フェリスには部屋で留守番をさせ、王には相応しくない近くの給湯室に来た所だ
「あぁ、知っているとも やっと直接会えたのにね、アレはきっと父である私に対しての反抗期、いや同族嫌悪と言うものなのかもしれないね」
「そう、なのでしょうか?」
随分と似ても似つかない同族嫌悪だ
「ふふふ、まぁバル王子の様に賢くは無いだろうがどこかしら読み取る力があるのだろうね」
「読み取る力 ですか?」
キーロは微笑む王にどこか引っ掛かりを感じた
「うむ、まぁ単純に年頃になってくると父を臭いと感じるらしいから一番はソコなのかもしれないがね はっはっは」
王族とは思えない砕けた会話、気を利かせてくれたのだろう
とても心から笑える状態では無いのだが
眉を下げ、懸命に笑いを浮かべた
「しかしあの子の件も、残念だったね まさか暴走してしまうとは」
「ぁ、、えぇ はい」
ルイの事を思い、自然と視線を逸らしてしまう
「分からないよ?まだ生きているかもしれない」
王は青年の肩を掴み奮い立たせる様に少し声を上げてから顔を覗く
「え?」
「不幸中の幸い、あの子の能力は『寄生』だエルフの森は生命力が溢れているからね、同化したのならあり得る話だろう」
「そ、、え?」
キーロは目を見開く
そして
少しヒクつく頬を無理やりに動かしもう一度、精一杯に
愛想笑いをした
その後
大王からは「助力を願いたい」と頭を深々下げられた
聞けばレイ様の部署で人手が足りないらしい
内容としては合成獣(キメラ)関係だと言うので怖がらない僕に声を掛けたのだとか
代表とも話を終え、許可は取っているとの事であとは自分次第
心配だったフェリスも一緒に連れて行くとも言われた
断れる筈も無い
特に引き継ぐ業務などは無く、一週間後に異動が決まった
代表はどこか心配そうにしながらも色々な言葉をくれた
『あまり深入りしないと良いのだけれど』
『アナタは優し過ぎるから、気負い過ぎない様に』
『沢山食べてしっかり眠るのよ?』
『何かあれば、私を頼って来れたら良いのだけれど』
それらは上司だからとか
任命や慰め等の機械的な言葉では無く、温かみのある言葉だった
勿論フェリスに対しても・・・
【あぁ、それとね】
【はい】
【宝玉は返して貰おうと思ってね】
【あ!】
【ん?】
【あれは】
【使いました】
僕は慣れない
嘘を吐いた
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