197 表情
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
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「ご、、ごごごご、ごご ごちそうさまでした」
「あははは、お粗末さまでした~」
長い長い昼食?が今先程やっと終わった所だ
黒猫は早々に自分の分を食すと一つミートボールを咥え足早に退散したのだが
食材を持って来た当人達は逃げられる筈も無く、だがしっかりと独特のソースが塗られた?煮魚を平らげた
「うぅ、あず、大丈夫ですか?」
キジ柄がひっくり返っているもう一匹のお腹を擦る
「加熱はしっかりされていた様だし特殊な材料でも無かったからお腹は壊してなさそうなのだけれど、念の為商人が置いていった薬を持って来るわね?」
ドールは目の色をカシャカシャと変えながらテキパキと食器を片付ける
「ご~めんね~あんまり美味しく出来なくて~、けどほら!食べれなくは無かったでしょ? ね?」
完食された鍋の底を軽く擦るツインテールはご機嫌の様だ
「せめて鱗はガシガシ取って欲しかったです」
「ごめんって~、お魚なんて良く焼くだけでも食べるじゃん?だから煮込んじゃえばいけちゃうかな~って思ったんだけど~」
キジ柄の忠告は今更どうこうなる訳でもないのだがアルの料理スキルは少しだけ前進したのかもしれない
「随分長居してしまったのでそろそろ行かないとです、ほら、あず起きて」
「おうふ~動きたくない~」
「あまり遅いと怒られちゃいます、行きますよ」
「あうあう~分かった~」
駄々はこねるものの座敷から足を下ろし、ゆっくりと立ち上る
「姉ちゃんも今度はしっかりした物作るんだよ?」
「ぐふっ、う、うんそうだね、あ!これ帰りにでも食べて」
完食されたという嬉しさはあるものの彼女本人も馬鹿では無い
美味しくない物を提供してしまった事は分かっている為さらっとお土産のお菓子を自分の棚から出す
「お~」
「あ!ありがとうございます」
ちょろい猫忍達にふふん顔のツインテールだが
「それ、薬では無いわよね?」
常備薬を持って来た無表情のドール、エバの目線に気まずさを覚えた
「あ~んえ~とね違うの、コレは~、違くは無いけど違うの」
目線を逸らしながら念の為の水を注ぐ
特に問い詰められる事は無く、無事猫達に胃薬が渡された
「じゃあね、明日も来る?」
「どうでしょう、帰って隊長に確認しないとです」
「念の為なんか煮込んでおくから!」
「、、煮込み、なんですね」
他愛の無い挨拶をしながら外まで見送りが行われる
のだが
「ねぇ」
「ん?」
「なんかこっちに来るよ?」
あずが土煙の上がる方角を指差す
「ホントだ、あれだけ土煙が上がってるって、急ぎ?とかかな」
ツインテールが目を凝らすがまだ確認できる距離では無い
「馬車、、にしては大きく無いですか?」
キビが身軽にギルドの屋根に飛び乗る
「、、、なんだろうあれ、馬じゃない、、ソレに馬車が横付けして、、え!?」
大きな瞳を一層に、一回り大きく見開く
「馬が」
「齧られた、いえ、食べられたのかしら」
後方にいたエバがアルとあずの前に出る
「かじ、え?」
「咀嚼しながらこちらに向かって来ているわね、アル逃亡の準備をしなさい?アレは危険だわ」
「例の奴らなの!?」
「、、例の奴ら?」
(今じゃない!)
「あああ、あのあれ! 狙ってるじゃん?シエルとかバルとかを」
「誰の事を言っているのかしら?私は安全を優先する様に言われていただけでその例の奴らと言うのは聞いていないのだけれど?もし犯人や容疑者を特定させたいのなら、、、」
今じゃない、、のだが素直に分からないわ?と言う感情と効率的、合理的に考えるならば、と言う講義が始まる
「エバ!待って来ちゃう、来ちゃうから!!」
「、、そう、そうね、この話をするのは今じゃないわよね」
意外!
「エバ?」
腕を組み、ニ回三回と相槌をするその眉間部分が少しだけ動いた様な気がした
「私は」
「ポンコツでは無いのだから」
意外と根に持つドールは不機嫌そうに顔を顰(しか)める
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