196 支援
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
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「無理無理、これ以上は負けらんないよ」
「そこをなんとか、またまとめて買いに来るしさ?」
「いや、無理だってば」
「頼むよ~今日は折角の土産として持ってくんだ、な?俺に免じて!」
いつもは賑やかな通りの出入口
厳密にはとある屋台街
まだ時間的に列なんぞある筈の無い店前でエルフが一人注目を集めている
「う~ん、アンタに免じる理由は無いけどまぁ助かってはいるんだよ?定期的に大量購入してくれてさ、でもこれ以上は利益にならないんだって」
屋台の主は頭を掻き、何枚かの紙に書き殴った計算式を見せる
(ってかなんで問屋と直接やり取りしないのか不思議な量なんだよな~)
「え~この値段は無いだろ~少しくらい色付けてんじゃなふん!」
勢い良く後ろから叩かれたエルフが前方に首を曲げた
「いい加減にしなよ、恥ずかしい」
「ごめんなさい、この価格で大丈夫なので迷惑にならない量をコレで」
「あ、あぁうん毎度あり、なんだよ~最初からモミジさん達が来てくれたら良かったのに」
「コイツが来てるとは知らなかったもので、あ!凍ったままもらえますか?」
瓜二つの顔をした二人のエルフが会計を済ませ叩かれたエルフが箱詰めされた冷凍イカを渋々運ぶ
「なんだか、俺の知ってるエルフって変なのが多い気がするんだよな~」
独り言を呟き、主は屋台の下準備を始める
・・・
「な~んだよ、もう少しで! あれ絶対下げれたぜ?」
木箱を荷台へと詰み終えた男のエルフは手を叩き運転席の二人に声を上げる
「良いんだって付き合いってものがあるんだ、強引に下げても意味なんか無いよ」
「折角溶け込んで上手くやってるんだからさ?邪魔しないでよね」
「へいへい、そうですか~ ったく良かれと思って言ってやったのによ~」
「大きなお世話」
「あんなの交渉にもなってなかったよ」
馬車はディーン王国を後にし八時間程、南西の方角へと向かう
「しかし久しぶりだな~私達はしばらく姫様に会えて無かったから素直に嬉しいよ」
「あぁそっか、そうだよな~モミジもカエデもずっと売り子してたんだもんな?」
「売り子言うな」
「大事な情報担当だ、馬鹿にすんな」
双子のエルフの一人が運転席から弓を引く
「おうおう、やめろそれはシャレにならね~」
「なんで俺達の先導スティルなんだ?」
「本当にね」
「嬉しい癖に~って うぉお~っ!」
木箱だらけの狭い荷台の中、器用に距離を詰め、弦に手を挟む
「うそ やめ、ごめんてウソですって」
「はぁ~まぁ良いや、オルカ達は無事?元気でやってんの?」
「あ~うん、ぜんっぜんよ、あれから異形が出ね~から鍛錬しちゃ~釣りばっかしてる」
「良い事じゃん」
「似合うね」
「まぁ本来ならな~、アイツ頑張り過ぎだし今くらいのんびりしてた方が良いんだよ」
スティルは頭の後ろで手を組み、ぼんやりと外の情景を眺める
(そう、それが本来あるべき姿なんだ俺達エルフの、、)
「カエデ、アイツ全然台詞と表情合って無いけど」
「あれだよ単純馬鹿装ってる癖に影を見せるのがカッコいいと思ってるんでしょ?」
「馬鹿じゃね~しってか装っても無いわ! カエデもそういう言い回しやめてよ~影見せてるつもりも無いって、、の?」
前のめりに双子の間に入り二人の肩を組む、がそれよりも
「なんだ?あの馬車 なんか動き変じゃね?」
少し前を行く馬車に違和感を覚えた
「モミジ、スピード落としてちょっと距離置こうか」
「やってる、どうする?もう着くけど一回止めちゃう?」
「いや待って!モミちゃんむしろスピード上げて横付けて」
「はぁ?あんなのあんまり関わらない方が良くない?」
「良いから!」
エルフは本来賢く争い事を好まない、その為警戒を怠らない性格である
もちろんスティルも例外では無い、いやむしろ目利きは鋭い方だ
「はぁ、良く分からないけど、カエデも準備しておいて」
「うん、もし戦闘になったらスティルを盾にするから」
「おお、怖い怖い」
目的地を目前にしながらも
三人のエルフ達を乗せた馬車に鞭が打たれる
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