198 萌芽
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
2/13 14:35
「ソレは、えっと? なんだろう、大砲とかなのかな?」
喫茶店の亭主が指差すグングニルを不思議そうに神父が見つめている
「え!?ええ?うそぉ ソレグングニルッテイッテタヨ?」
返って来るであろうと思っていた台詞と違い過ぎて、ついマジボイスだったものを誤魔化す様に片言に逃げてしまう
「あ~お~?そうじゃったの、確かにエバがその様な名で呼んでおっt」
「ね! エバそう言ってたよね?」
カセンのフォローに食い気味になる
「あれ?えっと、もしかして別物って事 ですかね?」
少しだけ間を置いた後にバルが核心を突く
「えええええええ、俺が頑張るターンじゃなかったの? なんだよ~折角だから俺、なんかやっちゃいましたかね?って言いたかったのに~」
我ながら恥ずかしいテンションである
昭和のヤ〇ザでも無ければバンジージャンプもやった事が無い
『あの時』腹は括ったのだが、命を懸けるっていうのはどうも潔(いさぎよ)く、一筋縄になんていかない様だ
今も尚、煩い心臓をとにかく鎮めようと軽く胸を叩く
それはそれは気持ちの悪い苦笑いを浮かべながら
「ふふふ、神の思し召しとはこういう事なのかもしれませんね」
察してくれたのか、変な注目から逃がすかの様に、、
いや違う
『エバ』と言う単語を聞いた時に少し表情が変わった気がする
姿勢の良い執事はそのまま躊躇せずに語り始める
「グングニル、、それは本来神を殺す為作られた兵器で御座います」
「ぁ?神だ?」
「えぇ神です、夢物語等とは別の」
巫女の返しを軽く返答し、続ける
「神殺しの為に開発されているモノは他にもありますよ、例えば合成獣(キメラ)や魔剣の類もそうですね」
「まけん!?」
エルフと幼女が別の意味で同じ言葉をハモる
「しかし今語るにも然程(さほど)時間がありません、どうでしょうかゼブラ殿、私(わたくし)ジルバは1つジン様に賭けてみたいと思うのですが」
「ジルバ殿正気ですか?」
「えぇ、アレから逃げるよりは合理的だと思いますよ?」
「し、しかし」
「お~お~!待て待てさっきからくちゃくちゃと、しかしもたわけもあるかぁ」
ずっとへの口をしていた赤鬼が叫ぶ
「ジンを発射するにしてものぉ、使った事無いんじゃぞ?どうなるかも分からんじゃないか」
・・・
「最悪、私が何とかする」
巫女が一番最初に小さく呟いた
「シエルも顔色こそ治っとらんじゃないか」
「平気だ、絶対に、殺しやしない」
「ジンは普通の人間じゃぞ!?」
「治す!」
意外だ!
「まああってよ!また同じ様なさ~ぁ? カセンがくちゃくちゃと~って言ったんじゃんか~、大丈夫だよ! 大丈夫、俺はエバを信じるって、ダイジョウブダイジョウブ」
まさか、俺の事でこんな揉めるとは思わなくてちょっと素に戻ってしまったが後半はわざとらしく片言にしてみた
「ジン、、」
「はは、腕とか飛んじゃったらマジでシエル頼むぜ? 怖いんだからさ~」
「、、骨は拾ってやる」
「いや!?治してね?ホントマジで」
ウケもせず、この後すぐに館の屋上へと皆で向かった
廊下に出た時は見るの (やだな~、恐いな~)と思っていた屍骸や血液等は綺麗さっぱり無くなっていた
どうやらジルバさんが片付けたらしい (凄い! けどいつやったんだ!? 別の意味で怖いな~怖いな~)
とか自分を誤魔化しながら足を進めた
屋上を上がるとまだ全然過ごしやすい、ポカポカした温度と天気だ
ゼブラさんが方角を示す方向にカセンが砲台を置く
「さぁ~ていっちょやりますかな!」みたいな調子の良い台詞なんか出なかった
片手に持って来てしまっていた濃い目の酒をガッと呷るとジルバさんが透かさずグラスを手に取る
手持無沙汰(てもちぶさた)になってしまったので、気を紛らわすかの様に 「そういえば」って先程返って来たスマホの電源を試しに入れてみた
「お!」
(ついた)
心配そうな顔で美人なエルフがこちらを見ている
いや
ラフィだけじゃない、、か
だが、そんな事が即座に頭から飛んだ
「、、、は? え? ナニコレ」
表紙、所謂壁紙だ
すぐに! 続けてフォルダを開いた
写メ、動画、、、
「え? え?」
ぼやけてブレブレだったモノも多かったのだが、信じられない物ばかりが目に映り
頭の中が整理しきれないまま
破滅を迎える事となる
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