187 分隊
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
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「むむぅ、失禁しているのか? 可哀想に」
小言を言いながらもラフィは巫女の撃った男の右腕を止血し始める
男の頭部に穴などは見当たらず
しっかりと頬や首を掠めた弾丸が床にめり込んでいる
「殺しちゃったら聞けないって分かってる辺り流石巫女様だね」
バルは発光するシエルを横目に意識の無い者達を拘束していく
重装備の者、軽装備の者で5人
見えていなかった者達は全部で10人
固めて並べているところだ
そこに
「ラフィ、バル!平気かの!?」
「あぁカセンさん、、とジンさん」
「やめて、そのちょっとした間 と可哀そうな者を見る目!カセン、も、もう下ろしてちょ」
恥ずかしいので少し惚(とぼ)けて見せ、申し訳無さそうな顔をしている亭主は米俵の様に担がれている
「お~、じゃあ運賃は帰ってから請求するかの」
ペシペシと三十路の尻を叩いてから地へと下ろす
「シフが倒れてるけど、、シエルが治してるから大丈夫なんだよね?ってか何そのスナイパーライフル!やっぱり銃声だったの?」
聞きたい事が色々あり過ぎるのだがバルの持つ没収した得物(えもの)に目がいく
「スナイパーライフル?って言うんですか、最初は槍か何かだと思いましたよ あ、じゃあこっちの機械も分かりますか?全部壊れてますけど」
何かの機械が取り付けられた帯状の物、まだ形が残っている物を足で蹴る
「え、ごめん なにそれ」
「コレを壊すまで奴ら透明みたいになっていて、大変でしたよ」
「透明、ねぇ、、!!?」
連中の姿を見て唖然とした
見えていなかった者達の格好、衣類や装備は明らかに異質な物であり
ソレはあまりにもこの世界には似つかわしくないと思ってしまった
ジンはそれらを知っていた
いや、特別知識があったり実物として見た事がある訳でも無いのだが
「スワット?」
言葉に出してみたもののニュースやゲームの中だけの情報でしかない
Special Weapons and Tactics 通称SWAT(スワット)
正しくは特殊部隊と言う意味合いだけでは無い
「あれ?スワッドだっけな?なんか他の名前のとかもいた様な、ってか何?転生者、、では無いか」
戦闘服に身を包んでいる彼らのゴーグルやメットは外されており顔は確認出来るのだが
「お~ゴブリンにしては少し大柄な者が多いのぉ」
巨大という訳では無いのだがゴブリンにしては大きい
通常の成人男性、大なり小なりあれどジンとそれ程変わらない体格だ
「えぇ言葉も達者でしたしこういった機械を扱えるあたり俺らよりも知識があるのかもしれません、なので亜種とかそういう類でも無さそうなんですよね」
バルは腰元に装着していたと言う機械、ライフルを不思議そうに見ている
「え、ゴブリンって喋れないの? 魔物とかと同じジャンルで良いんだよね」
色々な種族は見て来たつもりなのだがいまだに魔物との接触は少ない
「魔物~、ではないですし喋れますよ、育ちによっては無駄に狡猾(こうかつ)なのもいますけどそこまで知能が高くないと言いますか」
「妖精じゃからのぉ」
「妖精なの!?ってか妖精も賢くないんだ? なんか妖精って可愛くて賢い系だと思ってたわ」
「基本は人間と一緒じゃよ、ゴブリンで良い奴もおるしエルフで悪い奴もおるじゃろ、あっしは妖精で賢いのがいても不思議では無いと思うぞ」
「あぁまぁそうだろうけども、なんかイメージしづらいなぁ~、、って思ってたけどあそこのエルフ見てたらそうでもないか」
カセンの話が聞こえていたのかエルフの族長が少し離れた位置、捕虜達の前で首を縦に振っている
激しく同意とばかりに、それはそれは取れてしまうのではないかと心配になる程
(何?そこだけフェスでも開催してるの?あぁ言う所が残念なんだよな~まぁバカ可愛いっちゃ可愛いんだけど、、ん?)
ラフィの後ろで微かに動いているのが気になった
カチン
小さく音が聞こえる
何か、やっていたゲームで聞き覚えのある様な
「ラフィ!」
咄嗟に大きな声が出た
カラン
「む?」
小首を傾げるエルフ
「こっち!」
「あ、え」
カラカラカラ
「飛べぇ!!」
「ええう!?」
ジンの叫び声に訳も分からない顔をしながらも反射で駆け
飛ぶ!
ドボンッ!!
それは思ったよりも狭い範囲の爆発だった
と言うよりも最初からラフィを狙ったとかでは無く
証拠隠滅と言うやつなのだろう
手やら足やら顔、それこそ中身やらが花火の様に撒き散らかった
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