186 光学
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
2/13 10:40
「ぐあ!」
「ああああ」
「うああああ」
ドスン、ガン! ゴシャア
バルが先程までいた場所から複数の音と声がする
(人、なんだよな?)
恐らく落下して来たのだろう
床周辺にはモザイクのかかった様な『背景達』が蠢(うごめ)く
(武器!武器を取り上げないと、いや他の確認出来てないヤツらが先か?)
そうこう考えるよりも
先に
的確に
「斜め左、二歩で振れ」
「音が飛んだ位置まで追って周辺を大きく薙ぎ払え」
「だあああ」
ゴォン!
タタン、タン ズガッ! ドゴ!
ガシャアア! ゴン!! ガチャン
金色の影が飛び回り、ところかしこから破壊音が聞こえた
モニュメントなのか、はたまた飾りとしてなのか
廊下に置かれた棚やら机、花瓶等が吹き飛びバラバラに壊れる
そして
「バル! 足元右斜め、蹴れ」
指示されるがままに、正確な位置は分からないが蠢(うごめ)くソレを思い切り蹴り飛ばす
「ごあっ」
そのまま機転を利かし、隣にあるもう二つ程のモヤモヤに手持ちのナイフを投げつける
「ぎゃ」
「あっぐぁ」
投げたナイフは何も無い筈のソノ位置に刺さると先端から刃先へと血液が流れているのが分かる
バルは瞬時に確認出来る様になったソコを両手で触り『手の部分』を探る
(え、これは! 触れると俺も見えなくなるのか、、あった)
探り当てたソレを掴み逆向きに思い切り捻る
バキン!
高い、良い音がした
武器の方では無い、恐らく指か手首が折れたのだろう
悲鳴を上げ、力の入らなくなった者から武器を取り上げながらもう片方の腕を掴み
壁側へと強く押し付ける
「ぐ、がは」
「言え、目的はなんだ!」
返事は無い
(流石にこんな簡単には口を割らないか、、ん?)
周囲を見回すと崩れた棚周辺に転がる者が姿を現している
腰元部分からは軽く火花を散らし、意識は無さそうだ
(もしかして、あれか?)
押し付けている者の腰元
正確には装着している『何か』を今しがた取り上げた得物で叩くと目の前の男と自らの姿が確認出来る様になった
「腰元だ、腰元の機械を狙え!」
バルは叫び、掴む腕をも本来の向きと逆向きにしてから別の者に狙われない様その場から距離を置く
その後も何度か銃声が響いた
時間としては数秒
血が流れ、声、破壊音が鳴り止む頃
軽装の男が床に転がる自らの右腕を拾う
「うっぐぅ くそぉ、くそが」
もたもたと、自分の指だった部分を剥がし切れずにそのままの状態で短筒を握る
そして
床に倒れているシフへと銃口を向ける
「くそがぁああ」
が
「くそはてめぇだ」
少女?が後ろから飛び掛かる
左手首を掴み床に叩き付け、軽々と武器を取り上げると馬乗りになり制圧
汚い右手首を外し雑に放り投げ、銃口をゴリゴリと後頭部に押し付ける
「ソレは私の従者でな、、よくもまぁここまでやってくれたな」
「ひっあ、ちが!俺じゃないやったのは俺じゃなくて」
「ぁ?」
「たすけ」
タァン! タァン! タァン!
カチカチカチカチカチ
少ない弾数を撃ち終わり、撃鉄が何度も音を鳴らす
「ちっ、うっせぇな」
綺麗な銀髪をかき上げ、舌打ちをしてから既に意識の無い男の背中を思い切り踏みつける
「こうなりたくなかったらてめぇらも妙な動きすんじゃねぇぞ」
動く気は無さそうだがその他の連中を一度ギロリと睨み付けてから従者の元へと急いで駆け寄る
「シ、エ」
「うるせぇ喋んな」
従者を一喝し、腹部を抱きしめ、発光を始める
(間に合え!間に合え!間に合え!間に合え!!)
「大丈 夫 で」
「うるせぇっつってんだろが殺すぞ!」
・・・
巫女の荒げる、少し震えた声に従者は口角を上げ
ゆっくりと眼を閉じる
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