175 呪術
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
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「ほれ、まずはポテチだ! 揚げたて食え」
脱線し続けるエルフの反応にモヤモヤしているのであろう、巫女は何ともめんどくさそうな表情を浮かべている
そのご機嫌を察知した亭主からの粋な計らいだ
「ぁ?なんだこの薄い芋は」
「嘘ぉ!まさかの不評!?」
一枚取って自分の口に入れる
パリパリパリ
(美味いのにな~)
「まぁほら、ちゃんとしたぽていと~も今から揚げてやるから摘まんどけって」
薄く切ったじゃが芋を揚げた物がカウンターに置かれ、従者が運ぶ
「さっさとしろ、腹ペコだ」
「嘘でしょお?」
ポロっと反射で、アルの口から本音が零れた
「お~こりゃ美味いのっ!あっしは普通のよりこっちのが好きじゃな」
「ざけんな パリパリ 全部 むぐむぐ 私んだ」
横から一枚つまむ赤鬼から隠す様に抱え次々と口の中へと運ぶ
「むぅ、けちん坊め」
「はっ、どうとでも言え、そして酒もよこせ」
「お~お~お~なんって奴じゃ、清々しい程にふてぶてしいのぉ」
赤鬼は少女?の頭を撫でくりまわすと豪快に笑いながらいつもの場所へと向かう
きっと自分の分もついでに取りに行ったのだろう
「申し訳ないですね、皆の分もお願いできますか?」
「ん、あぁ大丈夫大丈夫、追加で大量に揚げてるから」
従者が申し訳無さそうに伝えに来たのですかさずドヤ顔で返事をする
(ふふん、ほれ見た事か、次はとっておきの味の方だぜ?)
巫女の手も止まらなさそうなので通常のポテトを後回しにしながら乾物の箱に手を伸ばす
パリパリ パリパリ パリパリ
赤鬼が相性の良いキンキンに冷えたアレを持って来た所で巫女が再び話を続ける
「本題だ、今回お前(ラフィ)にかかっていた呪いは言えば魔法だ 恐らく邪視、イーヴィルアイとも呼ばれてるな」
イーヴィルアイ
相手を睨みつけることにより、対象者に呪いを掛ける魔力
邪眼(じゃがん)、魔眼(まがん)とも言われる
「かけた対象はその者から支配される」
「なにそれ!やりたい放題じゃん」
ツインテールが新しい味の芋をカウンターから運びテーブルへと置く
「そうなるかもな、しかし相手の魔力に介入するものだ、魔力の無い者には発動しない」
「お~?んじゃああっしも危ないんか あ、こっちの方がこれまた美味いのぉ」
赤鬼が揚げたてのソレに手を伸ばす
「、、いや、魔力量が無駄に高いお前は平気だろう、それと対応手段さえ知っていれば回避するのは容易い」
自分の分?をテーブルに置き直し、新しい方へと手を伸ばす
「ふむ?」
シエルの言う方法には2つあった
1、術者の瞳を見ない事
2、精神を強く保つ事
「むむぅ、精神かまだまだ修行が足りんのだな」
「あ~確かにラフィってすっごい目~見て来るよね、近い近い!ってなるし でもさ?結構ブレないって言うか動じない所はあるのにね?」
自分達だけ摘まんでいる背徳感なのか、エルフの口にもポテチを突っ込みながらアルの指も止まらない
「う~ん、確かに浮き沈みは激しいけど芯は通ってて流石族長って所はあるかな?」
「おおおおそそ、そうか? うむ、自慢では無いのだが私は結構その~あのの~族長なのでな」
バルにも褒められ、返しがもうコレである
「対象者が不安に思い動揺なんかした隙を狙って入り込んでくるクズみたいな魔法だ、かけてきた時に何かキッカケがあった筈だ」
また脱線しそうになったのを巫女が立て直す
「あの変態サイコ野郎じゃない?」
亭主が最後に通常のポテトフライを運び、皆の囲む席へと着席する
「馬鹿か?殺された本人な訳あるか」
「あ、あぁそっか」
(美味しいんでしょ?少しは優しく出来ませんか?)
「いや~さ~新しい情報が次々入って来るから一般人の俺には難しいんだよ」
「一般人? はっ、砲台に詰めて飛ばすぞ」
「一般人だよおおおお、いや止めてね?どうなるかは分かんないけど止めてね」
(あぁそうだよエバにその事も詳しく聞かないとな)
ライア隊からの情報、森での一件
兎にも角にもあの国がきな臭いのは分かった、、けど
「あ~も~シフせんせ~今回もまとめお願いしますよ~ってあれ? 大丈夫?飲み過ぎた?」
「ぇ、あ あぁ、はい 少しばかり酔いが回って来ましたので風に当たって来ますね」
「おん、いってら」
従者は立ち上がり外へと向かいながら少しだけ口を開く
「そうですね~キーロ君に早く会えると良いんですけどね、今日のお菓子の為にも」
「ぴっ」
ツインテールがぴくっと反応した
「それと皆さん、特に女性陣はしっかり歯磨きして寝て下さいね では」
扉が閉まり女性陣を見回す
(あぁそうなるよね~)
のり塩ガールズの完成である
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