174 解除

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい



2/10 23:30


「呪い、だな」



・・・



「いや、それは分かってるんじゃね?」


全員分のハンバーグが焼きあがったので亭主は自分の分の酒を開け、子猫を撫でながらツッコミを入れる


「ぷ、くく 確かにそうじゃの」


「ジンさん」


「え、だってみんなシリアスな顔してるもんだからさ~」


もうちょっとやそっとでは驚かなくなってる自分がいる、のは良い事なのだろうか


「俺がどうのこうの言えないんだろうけどさ、それで?その呪いはシエルに治せるの?」


「ぁ?天下の巫女様に何言ってんだ、殺すぞ?」


「ごめんそうじゃない、え~っとそれだけじゃなくてさ、違うの聞いて?」

聞き方が悪かった、鋭い眼光に多少早口になってしまう

「シエルへの負担は大丈夫なの?」

本当は逸(そ)らしたい視線を逃げずに、真正面から見る


巫女は少し驚いたのか照れたのか、一瞬だけ眉がピクリと動いた


「、、追加で、ハンバーグだけじゃ足りねぇ」


「おぉ、お!?ポ、ポテトも付ける!」


「ちっ、しけてんな」


言い終えた所で巫女は再度詠唱を始めた


アメリカンなやり取りには憧れていたのだが咄嗟に出たのは付け合わせ

大盛りなら許されるか?と思い、亭主は急いでドールの手を借りながらジャガイモの皮を剥く


えぇ、言われなくても(もうちょっとセンスのある言い回しあったんじゃね?)って反省はしています


ジャガイモを数十個剥き終え、油を温めた頃合いで巫女の発光が終わった



「おいシフ」


何かを言う前に従者は巫女の肩を支え、後ろに用意した椅子へと誘導する


「横になりますか?」


「良い、水よこせ」


シエルは酒では無く水をゆっくりと飲みながら目を閉じ、深く呼吸をする


「大した事無い、お前(ラフィ)自身の魔力でもうほぼ消え失せてた」



!?



「しかしこの魔力の残り、良く殺されなかったな?  いや用途が違う?、、観察、が本命か?」

巫女は真剣な眼差しで自問自答を始める


「もごもご、あ、あもも ひゃあ?もうわらひはたたかへるのまろうふぁ?」

氷を口の中いっぱいにぶち込まれたエルフが赤面しながら胸元を擦り、間抜けに喋り出す


「は?」

自然な返答だ


「む、むぁ」



ボリボリボリボリ



「う、う˝ん あの、だな じゃあ?剣を自由に抜いても大丈夫なのだろうか?」

氷を噛み砕くもまだ少しモジモジとしている


「剣?」


「うむ、原因はこのダーインスレイヴ?なのだが」


らしい、とでも言いたげに立て掛けてあった大剣を片手で持ち上げシエルの前に出す


「あ~?いやそれ、ちげぇから」

首を擦りながら目線をずらし従者に空のグラスを渡す


「な?違う だと」


「あぁそれじゃねぇ」


巫女の返答にエルフは不思議そうな顔をする


いつもは忙しくしている腕を組み、しばらく考え



!?



閃いた!






「ダーウィン?」






・・・






息を吸う音が聞こえた






「名前の事じゃねえよおおおお!」


誰もがスルーしようとしたがそこはしっかりとツインテールがツッコむ


「もしや? みたいな顔してるけどソコじゃない事はあたしでも分かるから! 何?ダーウィンスレイヴ? ダーインスレイヴ?どっちでも良いよおお」


「え、え!? う? ええ~?」


意味は分かってなさそうだが


エルフは何故か嬉しそうである




少しするとシエルの調子も落ち着いたのか、剣に触れ、何も無かったかの様に話を始める


「剣からは魔力反応を感じない、呪いやら魔法の類ではねぇな、どちらかと言うと  生命反応?に近いか? 後でソコのポンコツロボにでも詳しく見てもらえ」

休止中、座敷の方で静かになっているドールをちらりと見る


「うぇ!ナニソレ生きてるって事?」

後退りながらツインテールが揺れる


「、、そう、か  なるほど、ふむそうか なるほど  なるほどなるほど なるほどなそうかそうか~」


ラフィにはやたらとしっくりときたらしい

しつこく頷きながら軽く微笑み、デコられた大剣を撫でている



こちらとしては



ゲシュタルト崩壊しそうである


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