146 乙女

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい



12/14 10:00


「なんでよおおおおおお」


少女の大きな声が高原に響く


「あ~うるせ~うるせ~最適な仕事だろうが?」

銀髪の少女?が迷惑そうにツインテールの少女を睨み付けている


「あたしだって戦えるってば!」


「ちげぇっつってんだろ、てめぇが一番足速いし、、あの機械オタクに会えるチャンスだろが」


「だっ! あ˝う」


「こっちはここで待機だ、別に戦うとかそういう話じゃねぇ さっさと行って来いめんどくせぇ」


ディーン国内での猟奇殺人、アルへの疑いはシエルと神父ゼブラの働きにより晴れている

気兼ねなくディーン大国へ足を踏み入れられるのだが


「でも~、今じゃないじゃん?」


「知らねぇよ」


「今じゃろ」

赤鬼が荷台に積んである酒瓶を漁りながら声を上げる


「ええええカセンまで~えええええ~じゃあみんなで行こうよ~」


完全な駄々っ子である


「その間にここ通ったら意味ないじゃろ」


「でも~、そうしたら? え~でも~、、もう入っちゃってるかも知れないじゃん?」


「アホか、だったらこの辺くらいまで音するだろが」


「う~」



あ~じゃないこ~じゃない言っているアルと女性陣を余所に

巫女の従者はディーン王国と森を繋ぐ街道、獣道、、森へと入れそうな箇所を念入りに見て回っている


(『全然』無いな)


草木を掻き分け、何度もディーン王国を振り返り位置を確認しては這いつくばり、森沿いの地面の角度をチェックしている


(雪で隠れた? いや、そんな人数で戦争なんかしないだろう)



「シエル様、ちょっと良いですか?」

従者が馬車へと戻り、声を掛けながら荷台の囲いを捲(めく)る

「って、、何やってるんです?」


「あ˝ん?」


「ぇ、ぁ」


「お~こういうののタイミングはジンの特権じゃなかったんか」





「ty☆〇××☆××mbぴ」



「ぴいやああああああああああああああああああああ」


下着姿のアルから投げられた空の酒瓶がシフの顔面目掛けて飛ぶ





・・・・・・





「いや~、普通の人だったら大怪我でしたね~?」

おでこを擦りながらニコニコと平気そうに喋る従者は流石と言うべきか


「あっはっは割れなくて良かったのぉ」


「ご、ごめん」


「んで? あんだよ」

下着を見られようがその辺はもう気にしていないのか普通の反応をする巫女



この二人


アルが「オシャレして来て無いし、、」とか言い出したので

いい加減イラついたシエルが自らの可愛らしい服を交換してやっていた所だ


この日は大きめの防寒着を『着せられて』いたので出来た芸当でもあるのだが


「あぁ、全然大丈夫ですよ? シエル様のパンツとか見慣れてま˝」


巫女の鉄拳がめり込む


「なんで言わなくても良い事言うんじゃ?」





「、、で!?」

顔を顰(しか)め、眉を寄せる巫女が短刀を抜く


「大丈夫でふ、もうふざけまふぇんから! えっと~ですね、、無いんですよね~、団体が通った痕跡が」


「良かったじゃね~か、まだ始まってね~んだろが  ほら見ろ!アルさっさと行け」


「う~」


「ダッシュ!」


「わぁ、あ~もぉ~ も~分かったよ~」

ツインテールの少女は荷台から身軽に飛び降りると一度振り返る

「べ~だ すぐ帰って来てやるんだから」

そう言い残したと思った途端、地を蹴り!

物凄い速度でディーン王国の方へと走り出す



「お~お~はっやいのぉ!」


「あれはあれで便利そうですね~」


「ふん、、で?」

アルの着ていた服の袖を折り、従者を見る







「団体以外はあったのか?」







「えぇ、二箇所程」


「先行部隊って事か?」


「どうでしょう、ただ、、妙な 鉄?では無いのですが風のある時だけですが臭いが漂っている気がします」


「血じゃねぇのか?まぁ良いアイツが帰って来るのなんて運が良くても5~6時間はかかんだろ、行くぞ」



馬車を近くの、作業小屋の様な廃墟に止め



三人は森へと入る

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