145 策略

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい



12/14 11:30


「一日経過しましたね、そろそろ鉢合わせても良い頃合いでしょうか」

青髪のツンツンした騎士が空を仰ぎ、粉雪を迷惑そうに眺める


「うむ、上手く誘導出来ている 順調だ、寒そうに固まっている三人の様子は愛らしく見えたよ」

王はほくそ笑み、馬車へと足を掛ける


ここはディーン王国城下町

大王ディーンが食事を済ませ今から移動を始める所だ


「王、古参を向かわせているのでわざわざ観察しなくても上手くやりますよ? それに肝心な時、万が一があっては困ります」

軍師レイも続けて馬車へと乗り込む


「ふふふ、すまんな『あの子』にもしもの事があってはと思うと覗いてしまうのだよ」


「お気持ちは分かりますが、休んでおいて下さい この天候なのでズレはあれども計算通りであれば今日か明日でしょうから」


「あぁそうだな、アレの魔力のせいだろうが疲労が激しい すまないが移動時間少し休ませてもらうよ」

ディーンはそう言うと目を閉じる


「えぇ、そうして下さい」


「出発します」

従者ニールが馬を走らせる前に小さく一声かける





しばらく走らせ城下町を抜け、南門方面まで来た所で従者が軍師に声をかける


「しかし素人相手なら問題ないでしょうが、フェリスだけは野生の勘と言いますか、中々敏感な所があります、密偵に気付いた場合は戦闘になりませんか?」


「優しいですね~、問題ありませんよ?あくまで彼らにお願いしたのはエルフの誘導です、そこはクリアしていますので」


「いえ、そこそこの手練れなので同士討ちの危険が無いかと」


「あぁ、こちらからは仕掛けない様に重々言ってありますから、気付かれてもキーロ君がいる状態じゃ追えませんよ  それに研究所の連中と違って手柄等考えませんから余計な事はしないでしょう、、そもそもキーロ君が『三人で向かいたい』と言った本当の意味は恐らくあの子達の開放でしょう?」


「と、言いますと?」


「あの子にとってはこの上ない程楽しい、嬉しい状況下ですよ? 多方面に注意を払えるとは思えませんね」


「なるほど」

(相変わらずこの方の分析能力、いや人心把握と言うべきだろうか、、何処までを考えて動いているのだろうか)


「ニールはもう少し柔軟に考える事をお勧めしますよ?  おや?あの娘は    ふむ、ニール一度止めてもらえますか?」

軍師は眼鏡を外し丁寧にケースへとしまう


「、、そうですね」



丁度キドナのラボ近くへ馬を止め



王を起こし



キョロキョロと街を見渡しカチャカチャと足音を鳴らす





ツインテールの娘に声をかける


















「さて、どうしたものかしら」


キドナはキーロの部屋に入ると明かりをつけ、テーブルの上にあるモノ達の処理に頭を悩ませている


「はぁこういうのを無茶ぶりと言うのよね」

メモを読み取り溜息を吐く


「それとも、信頼されているのかしら? でも普通は上司をこんな事に使わないと思うのだけれど」

別に臭いがある訳でも無い


だが、確かに上司に頼む事では無いのかもしれない


籠を手に取り


隣に置かれている鉢植えに目を向ける


「折角なのだから魔力の残り香でも見てあげた方が良いのかしら?それとも、、いえ、悪趣味よね   きっと知ってて買った訳じゃないもの」



この花は金盞花(きんせんか)



花言葉は







「悲嘆」




そして




「失望」





・・・





(あの子自身は大丈夫なのかしら)





キドナは枯れてしまったソレらを抱え





炉へと向かう

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