143 東雲
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
12/14 4:10
ギギギギギィ
宿舎の扉が開くと厚手の防寒具を身に纏ったエルフが外へと出て来る
「むぅ、運が悪いなぁ」
まだ外は暗い、寒い、、それどころか空からはちらりほらりと粉雪が舞っている
白い息を吐きながら一度馬小屋へと向かい
「すまんな、今回は少し近道で急ぐ、シフ殿に色々と頼んであるから良い子にしているんだぞ?」
人間では無い者へ、一通りの挨拶をしてから掃除を行う
「さて、少し早いがどうだろうか」
ちょっとした労働を終え熱くなったのか、上着をばたつかせながらギルドの方へと向かう
「お?」
窓からゆらゆらと灯りが見えたので軽快に、小走りに、、扉を開く
「おっはようジンど、、の?」
何やらカウンターでは巫女と亭主が話している
「そうか、それなら、、大丈夫そうだ」
「オッケーじゃあそっちはアルに任せてみようか、、ん? おう、おはようやっぱラフィは朝早いなぁ」
エルフからすると不思議な絵面だったのかキョトンとした顔で少し間を置き、、一気に表情が明るくなる
「おおお!おはよう巫女殿、早いじゃないか」
「あ? あぁ、寝てね~からな」
「どうした!不安な事でもあったのか? どうした?相談に乗るぞ!?」
「あ~くそ、朝からうっせぇな~」
気だるそうに眉を寄せ、ぐいぐいと肩を揺らすエルフの頬を摘まむ
「いひゃいいひゃい、むぉ?ふぉ~みえもぁ かへぃんろのは?」
摘ままれながらも周りに目線を向けいつもの赤鬼の姿を探している
「部屋にもいなかったので飲んでいるものと思ったのだが」
本来? 大抵朝早くに店が開いている場合はカセンかジンだけしかいない
ラフィが早起き体質なのとは別だが赤鬼は必ずいる印象なのでエルフの頭の上にはクエスチョンマークが浮かんでいる
「あ~、カセンは多分アルと寝てるんじゃない?シエルがまだ起きてるから」
「ふむ?そうか、出る前に顔を見たかったのだが、、出発までにはアルも起きて来てくれたりしないだろうか」
「早いしどうだろうな~、なんか飲む? あったかいのが良い?」
ジンが先程まで使っていたのか、少しぬるくなったお湯を温めようと火の準備をする
「いや、少し動いて来たので喉が渇いている! わざわざ火を付けなくても、、あ、あぁ!そうだ」
きっと途中で入って来たから、、だろう
残念美人がカウンターに腰を掛け
「じゃあ私もダイジョブソーダと言うのをもらおうか」
「「ダイジョブソーダと言うのを」」
「「「ダイジョブソォダトイウノヲォ」」」
頭の中で二度程響いた
パワーワードだ
お馬鹿を見るこの二人からはその後も馬鹿にされる事になる事件である
・・・・・・
「はぁ~マジで!朝から腹痛ぇ、いや 可愛いよ可愛い、大丈ぶふぅ」
煽っている訳では無く素直にツボってしまったジンがまだケラケラしている
「私が最初に言ったみたいになるからいい加減止めて、やれ」
とか言っている巫女の口角も上がり、ひくひくと堪えているのが分かる
「そそそ、そうだったのか、じゅーすじゃないのだな?」
「やっめ! そうだったのか! ふ!あははは、狙ってる様にしか思えね~」
飲み過ぎてはいないのだが、、ナチュラルハイである
「な!なら あれじゃないか わ、わわ私はその が、頑張れソーダだな!」
(いや、そんな恥ずかしそうな顔してまで言わなくても)
真っ赤な顔をしたエルフにシロップを炭酸で割った物を出してやる
「おぉ!頑張れソーダ」
嬉しそうに綺麗な色のグラスを眺めている
「そうそう、ラフィさ~もし!もしだけど、、ディーン王国を攻めるとしたらどの辺からどう攻める?」
「む?」
「ライア隊の情報なんだ、もう始まってる可能性だってある、お前も普通の道で帰ろうとしてないんだろう?」
巫女は自分用のコーヒーに口をつけながらしっかりとラフィの目を見る
「そう、だな そんな事は無いと願いたいのだが」
シエルの目を見てから立ち上がり、地図の方へと向かう
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます