128 特殊

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい



12/1 6:50


「   ロ」



「、、ーロ」



「キーーローー」

目の前で犬耳っ子が手の平、肉球を横に振る


「! あ、ごめん 考え事してた、食べよう食べよう、ほら!ルイもこっち座ってってあれ?」

意外、気付くと小さなテーブルを囲むようにキーロの横にフェリス、その横にはルイが座っている


「オウ ルイハオレノトナリ コレデチョットダイジョブ」


「ふ、はは そっか、ありがとうありがと~」

キーロは立ち上がり二人を撫でる


「キーロ! サワルダメ ルイ アッチイケ」

「あ~あ~もう、良いの良いの 大丈夫だから  さぁ!食べよう」


肉球でルイの顔を押すフェリスの両手を掴み万歳のポーズにさせ、もう一度座らせる




この子達は普通の獣人族やエルフの子では無い


魔力とは別に特殊な能力がある


その力がまだ上手く制御出来ない為、常に『首輪』が付けられている

この『首輪』は自らの魔力で取れる様になるらしいのだが僕には魔力が無いのでその感覚は良く分からない


一日3時間程の訓練を行いながら日々データを取っている

僕も偶に休憩中覗きに行くのだが、データの採取には眼を背けたくなる



例えばルイ、この子の能力は


『寄生』

他の生物から栄養 すなわち体力、命を奪い自分のモノにすると言う恐ろしい能力だ



ソレのデータ採取方法


どれ位の距離まで、どれ位の数の、どれ位の生物の、どれ位の量を吸うのか



そして




どれ位の傷なら治るのか




・・・・・・




結果

『首輪』をした状態ではほぼほぼ能力が使えなくなると言う事が分かった


それはフェリスも同様


どうにか、何か出来ないモノだろうか





「クッタ ウマカッタナ」


「はい、ご馳走様でした」


「、、ごちそうさまでした」

小さな声だがルイからも声が聞こえた



「あ!そうだ今日休みになったんだけどさ、二人は何かしたい事とか無いかな?」

キーロはテーブルの上の食器を重ねながら二人の顔を見る


「ホントカ ホントカー!オレハ オレ   ハナミタイ」


「お花? この前も言ってたよね」

(植木鉢でも買ってこようか?)


「デカイ オオキイノ」


「ひまわりとか? 今の時期は難しいんじゃないかな?」


「デカイノガイイ」


「そっかぁ、、じゃあお花屋さん行って聞いてみるよ、ルイは?何か欲しい物とかあるかな?」



「鳥、、大丈夫なら、、、小鳥を飼いたい」

少し間を空けてからキーロを見る


「うん、そっか じゃあ飼いやすそうなの見つけたら買って来るね?」

にこっと微笑み一塊にした食器類を持ち扉を開ける




昼までの訓練、データ採取を過ぎれば二人は自由だ

だがそれは、部屋の中だけの話で、、、

与えられた玩具や本を読み、日々を過ごす

「データではもう十分」と室長も言っていた、、きっともう少し、もう少しで外にも出られるのだろう



キーロは部屋へ戻ると一人身支度を済ませ、最後の一枚防寒着を羽織る


「じゃあ、お昼前には戻るから 二人も頑張ってね」


「オウ」


「、、、」

ルイは何も言わないが申し訳程度に小さく手を上げている


扉を閉めて部屋を出てから

長い廊下をしばらく歩き

給湯室を通り過ぎて


小さな小部屋の中に入る


(あ! そうだ、上手くは無いかも知れないけど二人の髪を切る様にハサミとか買ってこようかな)

そんな事を考えながらボタンに指を近づける


!?


(危ない、いつも通り研究所に向かう所だった   えっと地上の、、1階 っと)


B9と言う表示が点灯を始め、静かに重力が備わる


(他にも何かしてあげられないものだろうか)








チーン








目の前の扉が開きラボと似た作りの光景が広がる





此処は








キドナ研究施設




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