108 懸念

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい



8/29 15:10


「コレ、、か  マジか」


喫茶店のマスターは異世界に似付かわしくない丸々とした球体の前にいた


「ナニコレ、カ〇セルコーポ〇ーション?」

ついつい某有名企業の様な建物を目にし言葉が出る

(いや、異世界だけどもさ)


扉を開けるとすぐ正面には受付があり、きっちりとした姿の女性と目が合う


「えー、こちらにお勤めのキーロさんにお会いしたいのですが」

(勤め、、で良いんだよな?)


「アポイントメントは、お済みですか?」

受付の女性はにっこりと微笑む


「いえ、何時来ても大丈夫だとお聞きしていましたので」

大嘘である

(待遇されてるらしいからこれくらい平気でしょう)


「、、少々お待ち下さい?」


女性は机に置かれている資料をめくり、何かを調べている


(あれ、ヤバかったかな)



・・・・・・



「大変お待たせ致しました、キーロなのですが当ラボを本日付けで移動していますね」


(タイミングよ!)

「あー、、移動先の場所とか教えて貰えたりとか~?」


「申し訳御座いませんが」


「デスヨネー」

つい営業口調から素が出てしまう

「どうしたもんk!?」

顎に手を当て考えながら周囲を見回し、、ジンは目を疑う



「アレって」


視線の先 入口を入ってから左側、会議スペースがあり何人かの白衣を着た者達が真剣に話をしているのが見える


その中で最も中心にいる女性から目が離せない

青髪碧眼の美女

髪はロングで毛先には緩くパーマがかかっている




(エバ?  だよな)




「あぁ、本日は室長自ら講義後の対応をされています」

ふと目の前から返答が来る


「あ、え、あぁー そうなんですねー」

(やっべ声に出てた、、ん?室長?)


「もうすぐ終了の時間なので残念ですが」


「そうでしたか、ハハハ そうか~残念残念」

頭を掻きながらちらりと同じ部屋を見る




距離があるのだが



目が合ってしまっているのが分かる




(なんだ?)




(鳥肌が立つ)




此処にいてはいけない、そんな気がする


「あ、では! また本人と連絡を取って来ますね」

目を見開きながらの挨拶を交わし急いで出口へと向かう




はぁはぁ   はぁはぁ




はぁ、、はぁ  はぁはぁ




外に出てからは全力で走った



カセンの待つ


噴水の目立つ公園へ



そんな中




コォーーー    キィン




キューン



(え!?)


何かあった時には『空へ向けて矢を放つ』

巫女が決めた合図である


シエルは空に向けて魔法を放つ

ラフィは弓で救難信号を送る

カセンは、、「いらんだろう」と言われてた



その救難信号が真逆の位置から被って、同時に上がって来たのである


(シエル、、とラフィ  か)

少し足を止め、上がった位置を目に焼き付ける


(まずは、カセンと合流か? ラフィは比較的近い位置に居たはず)


男は目的地を決め足を急がせる











8/29 14:40


(やっぱりか)

随分と可愛らしい格好の少女?には似合わない深いため息を吐く


(時間も経ってる、魔力感知も意味無いだろうな)

そう考えながらバリケードの様な板を強く蹴る


不機嫌な顔の巫女は貼り紙の張られた一軒家の前にいた

、、アルから確認して欲しいと言われた場所だ



(中に入った所で、か)

シエルは捜索を諦め路地の方へと歩き出す


(犯人は魔族、、それなら容赦無く浄化してやる   だが)




巫女は赤鬼に言わなかった事


もう一つだけ懸念していた事がある




少女?はしばらく歩くと足を止め大きな声を出す


「うわ~ん、迷っちゃったよ~ パパー! ママー!! お兄ちゃ~ん」



少しすると品の悪そうな男達がぞろぞろと巫女を囲む

「うおお! 上物発見」




急激に発展した国だ


絶対に綻びがどこかしらに出て来るものである




「可愛い! どうする?」


「こんなん、もったいないけど高く売れるだろ」



(相手が)



「では」


「山分けと言う事で!」




(人間だった場合)




柄の悪い10人程の男達が一斉に飛び掛かる



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