107 役割

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい



8/29 14:00


「お~、まさかあっしがこんな格好する事になるとはのぉ」

いつものポニーテールをツインテールに変え、袖の短いメイド服を着たカセンが少し恥ずかしそうにコーヒーショップから出て来る


「え!? 良いじゃんマジで!」

(カワイイ!)


「馬子にも衣装ってやつだな」

盛った髪と大きめのカチューシャ、通称餃子で上手い事角を隠せているのが腕の見せ所なのか巫女は腕を組みドヤ顔である


「あ、あのの巫女殿? 私も、どうせ着るならカセン殿みたいなのが着たいのだが」


「お! ラフィも着替えおわ、、ぶふぅ!」

咄嗟に下を向きジンは口にしていたアイスココアを地へと吹き出す



どこぞのコスプレイヤーですか?もしくは露出狂の方ですか?

と言ってしまう様なお腹と背中がぱっくりと露出したキャミソールに短めのフレアスカート



だが


張りのある背中、引き締まった細い腰


イイ!


「ぇっふ、いやいや可愛いよ凄い なんだ? え~っとセクシーで! 大丈夫大丈夫、、夏だし!」

明らかにエロい顔にはなっているだろうが知らん!  だって夏だもの


「そ、そうか? 可愛いか」

モジモジとしていたエルフの表情が明るくなる

「あ、だが、その、あの めいどさんと言うのが着たい気もしなくもないのだが」


「他にも服はあったんだがどっかのキチガイが意味分からんタイミングで髪を落とすから、、」

巫女がエルフの手を引き装飾を付け加え始める



「いや~でも凄いな、みんな可愛い けど、良くこんな衣装持ってんな? サイズとかも」


「ぁ?」

ジンの言う『サイズ』に反応したのか一瞬手を止めるが再びラフィの装飾を整える

「全部使用人のだ」


「え!シフの!? そんな趣味あんの? あ~いや、あれか!させてるとかそういうのか?」

(いや、まぁ似合いそうだけども)


確かに服装次第で女性にも見える様な従者の顔立ちなら着こなせそうだが


「馬鹿か?以前いた連中のだ   まさか お前、そういう趣味も?」

巫女がわざとらしく目を大きく開き二、三歩後退りをする


「なんじゃジンそっちじゃったんか」

赤鬼もわざとらしく空けた口に手を当てる


「色々!色々だよ ヤメロォ」


エルフは恐らく意味が分かっていないのだろう、赤鬼と巫女をチラチラ見てから口を大きく開ける




「で! だ、お前は出来るだけ喋るな  あとエルフの武器なんだが、、、」

シエルが作戦の説明を始めている


「とりあえず俺はキーロに会って来ちゃって良いんだよね?」


「ぁ?、、そうだな、その後これに着替えて赤鬼と合流しろ」

巫女は質の良いジャケットをジンに押し付ける


「え? 俺も着るの?」


「何の為のメイドだ、普通に考えて浮くだろが」


「あ~なるほどね、本当のメイドさんなのね  凝ってんな~」



どうやら全員が全員おとりをして確立を上げる手法らしい

シエルは子供目当て

ジンとカセンで金目当て

ラフィは、、色目当て?

実際被害にあっているのは女子供が7割、男も成人を含めて3割はあるらしいのでシエル一人でおとり役をするよりは良いのかもしれない



・・・(あれ? 俺も狙われる対象なのか!?)



「ジン! キーロと会えたら馬車に乗せてあるからちゃんと触らせとくんじゃよ」


「ん、あぁ それは分かってるよ」

(カセンがいないと動かせないし馬車まで行くしかないわな)


「じゃぁ~あっしはあの噴水のある所で待っとるよ」

カセンが軽く手を振る が

「まて馬鹿、酒も没収だ」

巫女がカセンの左手の酒瓶を奪い取る


「お~なんでじゃ!?」


「どこに酒瓶片手に主人を待つメイドがいんだ? ぁ!?」

さらっと残り少ない中身を飲み干し空き瓶をジンに放る


「その捨てとけ、、みたいのやめぃ」

(シフ、いつもこの立場なんだよな 尊敬するわ)


「む~、しんどい仕事じゃの~」


「言葉!」


「、、む、むぅ」




「む、難しいお仕事 ですわ、ね~?」





吹き出しながらもとりあえずはジン一人で『キドナ総合ラボ』とやらに向かう



そして女性陣も各自持ち場へと





・・・・・・






「ちっ」








(嫌な予感しかしねぇな)

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