106 演技

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい




カツ カツ カツ カツ



一人の男が公園のベンチに座る



「お仲間さんがお亡くなりになられた様ですよ?」



・・・



「何も感じませんか?」



・・・



「アナタだけは流石 と言うべきでしょうかね」



・・・



「失礼しました  いつもの所に準備してありますので」



・・・



カツ カツ カツ カツ















「相変わらず傲慢な男だ」





年配の男は起き上がると足元に転がる小銭とパンくずを拾い、公園を後にする














8/29 12:50


「え、、なっ」

目の前の光景に中々言葉が出て来ないでいる




南門を入り関所を越えてすぐのひらけた通り

馬屋の近くのコーヒーショップ前 巫女との合流地点だ


「うん、そう! うんうん、お兄ちゃん達を待ってるの」


「そっかぁ~、でも一人じゃ不安だろうからお兄ちゃん達が来るまで一緒にいてあげるからね」


フリルが特徴的な白いワンピースを身に纏う可愛らしい少女が中年の男と話している


「ん~ん大丈夫だよ!」


「じゃ、じゃあジュースを買ってあげるよ、何が良いかな?」


「   シェリー お小遣い持ってるから」


「良いの良いの! オレンジかな? あ!ミルクが良いか」


「こ! 、、し、知らない人から物をもらっちゃいけないって言われてるから~」

胸元の水色のリボンを指で弄る


「大丈夫大丈夫、ここのお店で買って来るから変な物じゃないって分かるでしょ? ほら、行こう」

中年の男が少女の手首を掴む


「あ! あぁ! お兄ちゃん達だぁ」


少し離れた距離だがギルドの三人と目が合う


・・・


「アレは、、誰だ」

ジンの開いた口が塞がらない


「こりゃまた、すっごいのぉ」

流石の赤鬼も目を丸くしている


「ふおお! 可愛いな!」

エルフは、、相変わらずだ


「お兄ちゃ~ん」

少女は男の手を振り払い、綺麗な銀色の髪を揺らしながらこちらへと駆けだす



いつもより高い声、包帯の巻かれた細い右腕を力一杯に振る

ジンを見るその天使はそれはもう愛らしい笑顔


、、、から


距離が近づくに連れて


【おっせぇ! 殺すぞ!?】

と言う言葉が直接脳に突き刺さる目付きに変わる


(え、ちょっとマジで普通に怖いわそんな顔からのそんな顔なんて出来んの!?)

「ア、、アアア、イモウトヨ~」


「シェリーずっと待ってたんだよ~」

抱けとばかりに両手を広げながら  あと5メートル程


(待って! 怖い怖い怖い、絶対八つ当たりするでしょ? 刺す?刺される!?)

「シェ、シェリー↑?偉かったね~   っしゃぁ」


(くっそ、お腹に週刊少年誌入れとくべきだったか)

後半の小さな声で覚悟を決め、バッチコイとばかりに中腰に構える



ポスッ

と柔らかく軽い巫女の身体が密着した


と思った後にはやっぱり


ドムゥ

と力の入り易い腹部、腹筋にアッパーが入る


「んっぷむん」

不思議な声を出すがしっかり笑顔を崩さないジンは男気を見せたと言えるだろう


「あ、ああぁ、お兄さん来たならオジサンは行くね~ ははは」

ジンがわざわざ乗った意味は無く中年の男はそそくさと去って行く








「えっへええ いってぇ~な~も~ ゲフ、八つ当たりにも程があるだろ~」

腹を擦りながら着いていた膝を払う


「あ?てめぇらがもうちょっと早ければ巫女様の手は汚れなかったんだぞ?」

巫女はエルフの買って来たアイスココアを受け取る


「カカカ、まぁしっかりと力入れたとこを狙ってたあたり可愛いもんじゃないか  今日はアレじゃな!おなごの肌に触れ放題じゃないか」


「ヤメロ 無駄に殴られそう   あ、俺にもあるんだ、、ありがと」

ジンもエルフからアイスココアを受け取る


「しっかしその格好、おとり作戦と言うだけはあるのぉ   ん?あっしはコレがあるからいらんぞ?」


「約束通り豪遊、ギルドの酒飲み放題はさせてもらうからな」


「してね~よ! 駄賃に釣られたのお前だろ」


「、、ぁ? 今から止めても良いんだが?」


「えぇ~逆によ シエルが受けた様なもんなのにひどくな~い? ってか依頼とかはマジなやつなんだからツッコミに困るんだよ、、はぁ」




(あぁ~本当に、先が思いやられる)




喫茶店の亭主は二人分のアイスココアをニコニコと美味しそうに飲み干すエルフを





いや、エルフの太ももをついつい眺める



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