92 部隊

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい



「あっしらは味方じゃ!さっさと全員下りてこんかい」

赤鬼が周りに手招きをする



「見慣れた赤毛がいると思ったら、カセンさんでしたか」



シュ  シュタ


シュタ


タッ


タタン



「ほれ、並べ~ 整列整列」


手招きしていたカセンが大きく手を叩く中



「フー!」

一人だけ動けずに足元でバタバタと藻掻いている

だがそんな事はお構いなしだ

「そんな強く踏んどらんから待っとけ~」

ギュギュっと少し力を入れなおす



「これまた獣人族? 猫族ですかね」

バルが整列した4人、、と足元の猫耳に目をつける


「ふおお!か、、かわいい」

エルフは目を輝かせながら一番小さな獣人にゆっくりと近寄る



「あ~ほんで? ライアはどこじゃ、一緒なんじゃろ?」


「先程の化け物と交戦中です、私達は相性が悪いので邪魔が入らない様に、、それより、その~姉さんを放してあげてもらえますか?」

キジ柄の娘が報告と共に足蹴にされている『姉さん』に手を伸ばす


「ももは放した所ですぐ逃げるじゃろ?」


「大丈夫ですよ ね?姉さん 逃げないなら放してくれるって」


「シャー!」


「ダメみたいです、落ち着くまで踏んでても良いです」


薄情な妹分である




ライア隊と呼ばれた5人はくノ一の格好をした獣人、、猫族である


警戒心の塊で茶トラのもも


餅肌でキジ柄のきび


マイペースなぶちのちよ


甘え上手で三毛のりん


一番小さいのが分からん柄のあず



カセンが雑な印象と毛並み、名前だけで紹介をする




「お~言うても、ライア一人で何とかなっとるんか?」


「えぇ、何やら縮んでしまったのでソレを追跡していると思います」


「あの状態でもワンワン言われたらうるさくて」

ちよが嫌そうな顔で耳を塞ぎ舌を出す


「あたしらは耳が良いのであ~ゆ~のは敵いません」

りんはしれっと懐から櫛を出すと長めの髪を撫で始める


「うるさいもんね~  !? 」

分からん柄と言われた少女も緊張感無く座り込むと何やらエルフにおやつを与えられ尻尾を動かす



(自由だな~、流石猫族と言うべきか)

「ってかラフィは混ざんないで、説明とかめんどくさくなる」

バルはエルフの腕を引き元の位置へと戻す



「縮んだって言うと、、デカかったって事か?」

カセンは自分の想像していた通りの絵に少し顔を歪める


「あ、え~ えぇ、まさにあの~巨獣って感じでした」

先程から一生懸命説明しているキジ柄の娘も飽きて来たのかそれとも他の猫達の自由行動が羨ましいのか半分上の空にも見える


「そうか、、巨大化するって事じゃな   ライアなら問題無いかもしれんが少しだけあっしも様子を見て来るとしよう バル、巫女に合流して説明して来てくれるか?」


「良いですけど、、え~と、じゃあラフィもリッツさんも一旦ここで待ってて下さい」

第二の苦労人の様にカセンのざっくりした指示にしっかりと対応する


「お前らも少しじっとしておくんじゃよ」

赤鬼が一声だけかけ、山道へと足を向けると同時に茶トラが別方向へと全速力で駆ける

「あ、もも   忘れ取ったのぉ」



先程までフォローしていたハズのキジ柄はもう『姉さん』には目もくれず

一番小さなあずと言う娘に与えられたお菓子を凝視している


「大丈夫だぞ! ほ~れほれ、まだあるからな~」

ソレの元凶がまたも腰元の袋から何かを取り出し、余計に場を荒らす




先程まで殺気を放っていた猫達は難なくエルフの手に堕ちる事となった




「あ~え~お~、こやつ等 実力は確かなハズ、、なんじゃがのぉ」



珍しく赤鬼が苦笑いを浮かべる

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