89 猪突
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい。
8/23 14:20
「ゴロロォォ」
飛び掛かる魔物の声
シュッ ガシュ
素早く、飛んで来た魔物の左下へと滑り込むと同時に刃を腹に突き立てる
ブシュ ビシャシャ
横へと払った剣が肉を割く
「ふぅ、多くなって来ましたね~」
魔物の血を浴びない様、薙ぎ払ったと同時に前へと転がり体勢を整え 服を払う
「おい、お前の得物は剣だけしかないんだろ? 積極的に前に出るな」
「いえ、これくらい平気ですよ」
爽やかに巫女へと返答する
「視覚は退化したのか無くなっているがソイツらの嗅覚と顎の力は異常だ、躱せなかった場合あっという間に肉を持ってかれるぞ」
「まだ見える速さですし、この類の魔物は慣れてますから」
「ぁ? 、、エラは固く毒性も高い、血液に触れりゃ火傷だ 掠っても治さね~ぞ?」
「あ、、はは すいません、気をつけ ますね」
(あれ?すっごい怒ってらっしゃる?)
バルは早めの謝罪を済まし、辺りを見渡す
カッ! カッ! ドスン!
ラフィの弓は一本も外す事は無く、正確に頭部を狙い仕留めている
「わっと、、こっちく ん なぁ!!」
ゴオォン!
飛び掛かる魔物の前に左足をおとりの様に出し、噛んだと同時に右足で地面に叩きつける
その両足は『異常な顎の力』にも傷一つ付かず太陽の光を反射している
「アル、お前もリーチが短い! 出来るだけ後ろにいろ」
巫女はツインテールの少女にも忠告する
「だって!こっち来るんだもんしょうがないじゃん」
「逃げとけ、わざわざ仕留めなくて良い」
「だ~いじょうぶだって、コレ 頑丈だもん」
「また怖い夢見て漏らしても知らねぇからな」
「な˝ぁっ! も、漏らしてないもん!」
口がねじ曲がりながら巫女の後を付いて行く
バルの目から見ても
この前の人形戦と良いアルは経験値が薄い割にかなりの身体能力がある様に見える
、、それとは別に目を見張るのは
「しっ」 「はっ」 「だっ」
先頭で長物を振り回し的確に魔物の動きを封じているのは巫女の従者だ
彼が振り回す得物は決して武具では無く、行事等で神父が扱う祭事用の槍 錫杖の様な物だ
鼻を突き、足を払ったかと思えば心臓部を抉る
複数で飛び込む魔物を捌きながらも巫女の周辺だけには漏れの無い様にしっかりと辺りを警戒している
「いや~、ゼブラ様に借りて来て正解でしたね~」
ニコニコと息一つ切らさずに次の部屋へと足を向ける
(凄いとは思っていたけども、本当に何者なんだろうか)
「なんで私も振り回されてるんですかぁああああ」
「あ~なんじゃ~? 近くで見学したいって言うとったじゃろ?」
「こういう、意味 じゃ、、ぐぇ」
「なぁ~に、あっしの近くが一番安全じゃよ?」
「う、おっぷ う、うえええ」
「お~! ばっちぃのぉ~」
(なんか、自信 失いそう)
バルは最後に商人と謎の砲台を両手に振り回す和装の赤毛をチラ見だけすると巫女の歩む近くまで駆け足で進む
「これだけの魔物がうようよしてるって事はやはり統括しているのは知恵持ちですかね」
「さぁな、ただ魔力持ちが1体いる 喋れるなら尋問したい所ではあるな」
(知恵があるからといってこの数を従えるものか? 同種と見るのが自然だが、、、)
「アルー も、もう機嫌は治ったか?」
エルフがツインテールに駆け寄る
「え~? 別に~、ラフィ自体の性格に怒ってる訳じゃないし~」
アルは悪戯半分でエルフをからかう
「何が気に障ったのか教えてくれ~、頑張って治して見せるぞ?」
「ふふ、嘘だって気にしすぎ、、治せる『モノ』でも無いし」
「む、むぅ」
ラフィはエルフ達の中ではやられた事の無い弄り方に困った顔をする
「あはははは、あ~それにしてもあっつ~ こう動き回ってると髪の毛って邪魔よね~?」
「そ、そうか?」
「そうじゃない? 森とかでは枝に引っかかったりしなかったの? あたしは切っちゃっても良いんだけど、、リボン結べなくなっちゃうしな~」
「ふむ、確かに動きやすそうではある か」
ラフィは巫女の後ろ姿を確認すると腰元に手を伸ばす
「あれくらいだと涼しそうだしね~ あたしはツインだけどさ~ラフィもカセンみたいにポニー、、、」
パサッ
「いいいいいいいいい」
「む?」
「いいいやあああああああ!」
アルの悲鳴に全員が振り返る
「何かありましたー」
「、、、えー」
「何やってんだあいつ等」
「お~、こりゃまた」
「う、うぅ」
リッツだけは違う意味で瀕死になっている
「どうだろう? 似合うだろうか」
「なんで! ラフィはなんでこうも、こんななのおおお」
エルフの右手には短剣
左手には金色の糸
ラフィの綺麗な髪がサラサラと風に舞う
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