86 身体

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい



8/23 11:40


「ふぅ、、ふぅ~ 」

アルは真っ赤な顔をしながら巫女に手を引かれる


「お前はバカか、それともやはりドエムなのか?」

一度落としたキャンディを公園の水道で水洗いする




アルはあの後も下品な事を言われ続け

売り言葉に買い言葉でしばらく言い合いを続けていた



「あ~ゆ~奴は相手にするだけ無駄だ」

水洗いしたキャンディをアルの口に入れる


「むぁ ふぁ、ふぁって!」


「だってじゃねぇ、変なのは沢山いる アタマノオカシイ奴から会話の通じない奴 獣以下の死んだ方が良い奴  いちいち相手にするな」

しゃがみ込むアルの頭に手を置き溜息をつく

「それにあ~ゆ~物言いは変態共が喜ぶだけだ」


「む、、む~ん」



・・・



「はぁ、ちょっと待ってろ ソコで適当に見繕って来る」

公園から目の前にある服屋にシエルは一人で足を向ける


(なんで私がこんな事)



あれやこれやと何枚かの候補を立てていると奥から兎の耳が付いた獣人の女性、ここでも店員が声をかけて来る

「こんにちは~、一人でお洋服選びかな~」

うさ耳の店員はニコニコとシエルの顔を見ると膝を折る


(コイツは中々人の良さそうな人相だな、めんどくせぇコイツに選んでもらうか)


「あぁ、あそこの」

シエルは公園のベンチに座るアルを指差す


「あぁ、お姉ちゃんとお洋服買いに来たのかな~?」


!?


「ごめんね~、お嬢ちゃんのサイズのお洋服は無いんだ~ もうちょっと大きくなってから来てね~」












「ほら!アレはしょうがないよ? 小さい服とか、、無かったし」

アルがフォロー出来ずに巫女の手を引く


「ちっ、クソが」

新しくソフトクリームを買い与えられ大人しくアルの後を歩く



「ふふ、あの子可愛い~」

「エルフじゃないよね? 可愛い! 姉妹かな~」

「持って帰りた~い!」



その姿だけで街中からも『そういう』声が聞こえ アルが咄嗟に手を放す

「な、、なんかごめんね?」


「、、、別に 今更ソコまで気にしてねぇからさっさとてめぇの服探せ」

巫女は静かに、、ソフトクリームのみを見つめる


「ぁ、うん   アリガト」



再び手を繋ぐ、と言う事は無かったがこの数分で何か分かち合えた気がした二人だった



そして



その思いはもう少し強固なモノになる



「ほら! 絶対似合うって!」

「これ!あげるから うちの広告になってよ! ねぇ」

「あの子が食べてたお菓子はうちの商品だよ!買った買った」

「お嬢さん! 是非ちょっと お嬢さん!!」


繁華街からは物凄い騒音が聞こえる


「あ、あぁすまんが手持ちがそんなに無くてな」

「ん?貰えるのか?ありがたい、、こうこく?とはなんだ? 分からないし、だ、大丈夫だ!」

「あぁ美味かったぞ?うんうん  うん?」

「あ、、あぁあのの 人を探していて、申し訳無い急いでいるんだ  すまない」


「ん?」

知った顔が2人の目の前に現れる

「お! おぉアル、巫女殿~」




・・・




「何、、この格差」


「ちっ」



大きな溜息と大きな舌打ちが聞こえる











8/23 12:50


「え、何? お前ら喧嘩でもしたの?」

ジンは焼きたてのパンを齧りながら三人を見る


「あのの 私が何かをやったみたいなのだが」

エルフだけが慌てながらお得意の身振り手振りをする


「別に?」


「そんな事よりソレを半分よこせ」

巫女はいつもと変わらず無表情にジンのパンを見上げている


「いや、当たり前みたいに言ってるけどあげないよ?」


「ちっ、、、!?  アル、あそこに売ってるみたいだから買って来い」


「まだ食べんの!?」

「ダッシュ!」


「もぉ~、シエルのお腹の中何飼ってるのよぉ」

今日一日でどれだけ食わせたのかは分からないが、どこか嬉しそうにも見える


「アル! 私が、私が2人に奢ってやろう」

エルフが小走りでアルを追う


「良いよ、あたしは食べないから」


「じゃあ~アレを ジュースを二人で飲もう! なぁ」





(まぁ、、あれか  ラフィだけがなんか残念な感じって事か?)



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