85 身形

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい。



8/23 11:10


ギルド一行は全員揃って王都の繁華街に来ていた


「いや~、ギルドの皆さんの活躍が再び目の前で見れるなんて光栄ですよ~」

(、、、なんで連れて来られたんだろう)

茶髪の青年が先頭を行く


「お前は今日見た事を周りに広める為の広告だ、主に『巫女』よりあの『ギルド』を宣伝するようにな!」

不機嫌な巫女が商人リッツを睨み付けている


「あ、、はははは 宣伝くらい全然しますって~」



シエルの狙いは炙り出し

リッツの登場するタイミングにも懸念しており信用し切っていない為そのまま連れて来たのである





「じゃあみんな用事があるって事だし13時にでもここの噴水に集合で良いか?」

ジンが皆に呼びかける


「自分はゼブラ様と情報共有して来ますね?」


「あ、じゃあ私も明日の仕入れ関係のお店に顔出しちゃいます」


「あっしはとくに王都に興味無いからのぉ、ココで飲んどるから馬車は任せぃ」


「俺はちょっと会いたい人がいるのでその辺ウロウロしますね?」


ジン、シフ、リッツ、カセン、バルが各自動き出す中



「あ、あのお店  なぁ?アル?」

エルフがキラッキラの瞳でアルを見る、、が


「ねぇ、先に買い物行っちゃおうよ?」

アルは巫女の手を引き服屋の集まる通りへと姿を消す


「むぅ、先客があったのか」


ラフィは誰を誘うでも無く、少し寂し気に一人繁華街を歩く事にする





「おい、そんな急ぐな」

巫女が躓きそうになりながらアルを追う


「だって絶対ラフィ来ちゃうもん」


「アイツも連れて行けば良いだろう?」


「気付いたの!」


「は? 何が」



アルは足を止め、シエルを真剣な眼差しで見る



・・・



「あの子もある側だって」




・・・




「てめぇ殺すぞ?」











二人は一軒の服屋の前で足を止めた


「ねぇ、高そうなトコだけど そんなに持って無いからね?」

拳骨をもらったアルは頭を擦りながら店の看板を眺める


「あぁ、私の服は大抵ここらしいからな」

(ここなら服くらい巫女の名で卸してくれるだろう)

ロリポップを買ってもらい先程までムスッとしていた機嫌はすでに治っている




二人は店内へ入ると目に付く物を物色する



「うわ、たっか こんなんいつも着てるの?」


「あぁ」

巫女は一枚、二枚見ると適当にアルのサイズの物を持って来る

「こんなんでいんじゃね~の?」


「き、黄色とか 派手じゃない?」


「ちっ、めんどくせぇ」

明らかに興味無さそうに持って来た服をかけなおす


「ちょっとだけでも興味持ちなさいよねぇ!」

アルはグレー、青  と自分に重ねながら鏡を何度も見返す



「あのさ~ お嬢ちゃん達~」


店員なのだろう、高そうな身形の男が二人の後ろから声をかける


「ごめんなさい 煩かったですか?」

アルが反射で頭を下げるが


「あのね~、ここのお店は君達みたいな子供が買える物は置いてないの かの有名な巫女様に献上しているお店なの、分かるかな? だからべたべた触らないでくれるかな~?」

アルの手から強引に服を取り上げる



「な、、、 ぁ ごめんなさい」


「てめぇ天下の巫女様を知らねぇ様だな」

シエルがアルの前に出る


(くそめんどくせぇがバラすか・・・)



「あ~だからさ~」

男は呆れた様子でシエルを見下す


「あ?」



「毛も生え揃って無さそうなガキが来るところじゃないんだよね」



「~~~~!? け、、、け って」


「ちっ」


シエルは舌打ちをすると眉間にしわを寄せ、入口へと向かう


「おい、行くぞ こういうのは相手に、、」






のだが






「け! 毛ぐらい、生えてるわよぉ!!」









「ぉ  ぉ~ぅ」


巫女の口元が緩み


キャンディが落ちる


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る