84 討伐

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい。



8/22 12:00


「あ、あた、しと  ちょっとつ! つつう  つき、付き合ってもらえにゃいかしら?」



・・・



「、、で? 報酬的には?」

巫女はアルを完全にスルーで話を続ける


「シカト!? ジンみたいなポジションヤダ なんでスルーするのよ!!」



・・・



巫女は向かいに座るシフの奥の席を見る がもちろん誰かがいる訳では無い


「アンタに言ってんの! なんで目の前にいるのにそんな清々しい嫌がらせ出来るのよ!?」


「めんどくさそうだから」

顔を斜め上にあげて明らかなゲス顔をする


「ご飯奢るから! 話くらい聞いてよぉ」

「良いだろう」

即答である


(チョッロ)

亭主が耳を傾けていたのだろう、右手を口元に置き笑いを堪えている



「ジン!」

アルがカウンターを見る

「Aセット一つ ここの巫女まで!!」


「はいは~い  Aセットね~  あ~首痛い!!」

昨日アルが捻った首をわざとらしく擦る


「それ~! 言っちゃダメだからね!!」




昨日の全裸事件は三人しか知らない事になっている








「ん、うまいうまい」

小さな手でフォークを持ち、Aセットのハンバーグを齧る


「良かったですね~シエル様」

従者はいつも通りに頬張るシエルを眺めている



「、、で何? お前、私の事苦手だろう?」


「ぇ、ぁ  そ、そんな事、、無ぃ」


「間があったぞ」


「ありましたね」


アルは二人席の横に自分で椅子を持って来て座りながらも追い詰められている




「あ、あの あのね 服を  買いたいの」


「は?」


「だ、だから! 付き合って欲しいの」


もぐもぐ


「エルフか鬼に言えば良いだろが  むぐむぐ」

Aセットのオムライスを頬いっぱいに含む


「だって! カセンみたいに  その、、胸、無いし   ラフィはちょっと変わってるし」

さらっとエルフをディスりながら巫女を見る


「、、お前、それ私の胸が無い事もディスってるからな?」


「ぶふっ、、あ!痛い 痛い」」

目の前の従者の脛を容赦なく爪先で行く



「王都でも、甘い物とか 買ってあげるから!」

「ほぉ」


「選んでくれるだけで良いから! お金は出すから」


「随分都合良い女だな、もしくは便利な女だな」


「言い方! 言い方気を付けなさいよぉ!!」



巫女は少し考えると一枚の手紙を少女に渡す

「じゃあこの依頼、赤鬼を口説いて来い」


「え? 王都から巫女宛? 王都の、、南街区   魔物討伐?」

ひらりと手渡された手紙の中からはギルドの依頼表とは別のしっかりとした用紙が入っている


「城から援助は来ない上に思いの外大量らしい だがしっかり報酬も出るぞ」


「え!? じゃあ全員で行こうよ」

カウンターからジンが声を上げる


「は?」


「いや、ギルド需要も見込めるし報酬出るなら尚更だろ、そんなんすぐ言えよ」

(店内用に色々買いたかったから王都には行く予定だったし)



巫女は溜息をつく

「、、、お前らホントに懲りて無いのな  罠って事も考えられんだぞ?」


「懲りるも何も、シエルは行く気だったんだろ?じゃあ最初から力合わせたら良いだろ~?  お~い!カセン!  あ!あとラフィも魔物討伐頼むわ~」

ジンが小窓から呼びかけると少し遠くから声が聞こえる


「ぉ~   分かった~」



「だってさ?」




・・・




「でも今回のは元々聖堂に足を運んでいた方からも聞いていたので、普通の魔物討伐でしょうし、、大丈夫なのでは?  あ! 痛い、なんで!?」



巫女は口をへの字にしながら従者を何度も蹴りつける



「あ~! 分かったよ、明日朝から出発だからな!!」

フォークでウインナーとエビフライを刺しムスッとしながら口へと運ぶ









巫女は気付いていない












Aセットがいつかのお子様ランチを模した物だと言う事を


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