81 砲台

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい



8/21 20:20


「お~? なんじゃこの乾物の山わ!」

倉庫から赤鬼の声がする

「ちょっとジン、これなんとかせい」


「え~、やっぱソレなんかに使うんだったの? 勝手に人んとこの倉庫に置くから~ はぁ ちょっと待っとけ~」

店の亭主が頭を掻きながら小走りで声の方へと向かう



・・・



「ちっ、しまんね~な~」

巫女は舌打ちをして机の上の酒に手を伸ばす


「あ、先に考察なんですけど聞いて下さい。」

バルもカウンターに置いた酒をグラスに注ぐ




【この『破滅』に関してだが 一つ思い当たる事件がある】


【今から二十年程前、東の国に巨大な光が放たれた事がある】


【原因はとあるウィルスを死滅させる為と言われている】


【その国は現在  不死者が蔓延る『死者の国』と呼ばれている】


王子の言っていた事だ、コレをバルの言葉で巫女に伝える




(あぁ、東の国か)

「行った事は無いが記憶にはある 過去の記事でも見た、ウィルス全滅させる為に仕方が無く、、だったか? ちっ」

巫女はイラついた様子で自分の酒を空にすると立ち上がり、カセンの席の一升瓶に手を伸ばす

「やったのは確かディーン大国だったな 自国の近場だったからうつるのが嫌だったって所か?」



「、、っで! ソレに使われたのがコイツなんじゃないかって事じゃの  ってあ~あっしの酒~」

赤鬼が例の砲台を片手に倉庫から出て来る


「あ? そんなので国一つ潰されてたらたまんね~だろ」


「お~お~酒の方は無視か? まぁ、あっしもそう思ったんじゃがな 本物はもっと軽くてもう少し大きいんじゃと、エバが言うにはコレは試作品なんだとか言うとったぞ?」


「ふ~ん、で? ソレは魔力を詰めて撃つ媒体か何かか?」

巫女は気にせずカセンの酒を煽る


「惜しいのぉ! ほれ、ジンちょっと来てみぃ」

赤鬼が亭主に手招きをする



「え? 俺?」


「持ってみぃ」


「いや、無理だよ! さっき動かそうとしたけどピクリともしなかったし」


「なっさけないのぉ、じゃあちょっとここ  ここに手を置いてみぃ」

ジンの手を掴み砲台の一部へと置く


「胸 当たってっから胸! って何だこりゃ」

何かが計測されている様な数字の様な緑色の文体が浮かび上がる

「プログラム? か なんかか?」



「やっぱりジンにはなんか見覚えがあるんか?」


「いや、専門分野じゃないから詳しくは分かんないけど~ あれこれしたら勝手に処理してくれるとかそんなトコか?」


「ぜんっぜん分からんの!」


「デスヨネー」

(俺も自分で言ってて訳分からね~もん)



一同はしばらく緑色の浮かび上がった何かを見つめている



「なんか、ちょっと綺麗じゃない?」

アルが触ろうとしてみるが見事に透ける


「魔法、、では無いな」

巫女が感知魔法を試すが反応は無い



「、、え? で? 俺もう動いて良いの」

(柔らかいのが当たってるのでこのままでも良いんですけどちょっと気まずいじゃないですか? ねぇ)


「お~、そうじゃの で! コレを使うのにジンが必要なんじゃと」



!!?



「マジで!? やっと俺のチート能力来たの!?」

半分諦めてはいたが『自分だけ』と言うのに弱いのは転生者の性(さが)だろうか


「チートってのが何なのか未だに分からんがのぉ、それでエバから借りて来たんじゃよ」


「お~! ありがてぇな~」


「キーロにも手~乗っけてもらおうと思うてのぉ」


「そっちかよ!!」

ついカセンの肩にツッコミを入れてしまう


「そりゃ~そうじゃろ」



「あ~まぁ? 条件としてはそりゃそうか 転生者に反応があるのならキーロにも反応するかもだしな~、、ん~自分で持ち運べないのはアレだな~  でもコレでようやく俺もなんか強者ポジになれる?  的な!?    けど装備が砲台ってなんかカッコ悪くない? ねぇ、どうよ?」

やっと見つけた専用装備と酒も入っているせいかついついテンションが上がってしまう



「ジン何か勘違いしとる様じゃが」


「すまんすまん ちょっとウザキャラだったか」


「この砲台、いやこの兵器を使うのにジンが必要なんじゃって」


「あ~、強力過ぎる! 的な?」


「いや! じゃから~」
























「弾丸として」


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