80 密会
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
8/21 19:00
「カセンさん、、もう勘弁して下さい~ う、うぷ」
茶髪の青年がトイレへと駆け込む
「カカカカ、もったいないのぉ んっくんっく」
大分ハイピッチで飲まされた様だ、、初回にしては良くやった方なのかもしれない
「ぁ?私の酒が飲めないってのか?」
「じゃあわたしのののお茶飲む? 勇気があるってのか~」
こっちでは何故か巫女とエルフが謎の言い合いを始めている
(え、何 そのお茶なんか入ってんの?)
「バル、、あの子、ラフィ 大丈夫なのかな?」
亭主が心配そうな表情で指を指す
「あ~、確かなんか聞いてた様な気がしないでも無いんですが、、すいません」
(王子~寝相だけじゃないじゃん)
「ラフィーもう寝ときなよ~」
ツインテールの少女がエルフの腕を掴み座敷へと引きずって行く
「ぬ~ん? あ、あぁ あ!にゃんにゃんだあ」
タイミング悪く店に入って来た黒猫のルトを見つけ抱き抱える
「にゃ~ん」
「なによ~ネコみたいなこえだしちゃって~ ほら~あ らひぃっていってごらーん」
「あにゃにゃ」
黒猫は嫌がる様に身体をうねらせると
「にゃう」
見事に脱出する
「ぁ~ん ある~」
「も~こっのバカエルフっ! 酒癖悪いな~」
座敷に転がし座布団を上から3、4、5、6枚と雑に乗せる
・・・
(何アレ? 魔〇宅かな?)
「あれはあれで、、良いのかもね ほれ ルト食え食え」
用意しておいた茹で肉を小皿へと移す
「え、ジンさん泥酔者可愛いと思う派ですか、やっぱり変わってますね」
「美女による!」
三十路は腕を組みながら一人で頷く
「今ってもしかして、話するには良いタイミングなのでは? あの様子だときっとリッツさんトイレから出て来れないでしょうし」
ふと従者が言葉に出す
「なっ、、き、気付いてました?」
「ふふ、バル君は日頃から警戒心が高過ぎるので、、あれだけチラチラ見てれば結構重大な事なんだろうな~くらいには」
「凄いですよね、身のこなしも含めてですが シフさんも只者じゃないですよね?」
「一応は巫女様の従者ですからね~ あ、呼び捨てで構わないよ? ジンさんと違ってそんなに変わらないと思うし」
「え、今明らかに言わなくても良い事付け足したよね? ね!?」
「ははは、じゃあ俺もバルでお願いします ラフィの話は俺が掻い摘んで説明しますね」
(正直、その方が都合良いし)
バルは自分がモーズである事、それとバル王子の事は隠し説明をしていく
1 まず、エルフ達が戦争をしていると広まっている原因は日々 異形の者、魔物、稀に死者の国からの彷徨いし者と戦っている為である事
2 世界に『破滅』が起ころうとしている事
3 巫女の手紙に書いてあった文章をバルは確認していないがエルフの長であるラフィはソレを読み解き『破滅』回避の為、協力体勢を取りたいので直接会いに来た事
4 そこで今回の巫女暗殺を阻止する為に遺跡へ向かった事
5 そして『破滅』を起こそうとしている人物は「恐らく」著名人の『キドナ』である事 エバが言うマスターも同人物であった為、遺跡地下施設もキドナが作ったと推測出来る それは「恐らく」から「確信」になった事
・・・
「結構ざっくりとした説明ですがこんな所です」
「あ~、じゃああの時小太りカエルにキドナの事聞いてたのって?」
アルもしっかり話について来れている様だ
「そう、暗殺の依頼主と関係あるのか聞きたかったんだけど」
「へ~、でも、、キドナ? な~んか聞いた事ある様な気がするんだけどな~」
「いくつか聞いて良いか?」
巫女が割って入ってきた
「ひっ、あ、あたしの説教?」
「あ? ドエムなのか? もう相当効いてそうだから良い、めんどくせぇ」
「え! 良いの」
分かりやすく表情と声に明るさが増す
そんなツインテールをスルーしながら巫女はバルの方へと体を向ける
「座敷で寝てる天然エルフが手紙を読み解けたってのも若干気になるがまぁソコは良いとして、それよりも、、」
グラスの中身に口をつけながらでマナーは悪いが目付きは真剣そのものだ
「まず異形が集団で出て来ている段階で異常だってのは分かってたさ だが、その物騒な 『破滅』 って言うのは一体何だ?」
「流石ですね 『破滅』に関してですが、、」
「お~、じゃあそろそろあっしが話そうかの ちょっと待っておれ」
おかわりを持って来た赤鬼は席へは着かず
ギルド内の倉庫の方へと歩き出す
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