73 行商

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい



8/15 13:50 【別パート】


「ありがとう御座います!」




「毎度ありがとう御座います! 今後もご贔屓(ひいき)に宜しくお願い致します」



(さ~てと、次はあの人の所に行ってあるだけ買っておかないとな~ 王都には今日までしかいないって言ってたし     昨日の喫茶店には~どうしよう、何買って行けば正解だったのかな~)


行商人は眉間にしわを寄せながら自分のメモ帳とにらめっこをしている



行商人リッツ

彼は前日ギルドへ顔を出しジンに大量の食料を渡してからは王都へ滞在していた


(あの人はお酒で良いって言ってたから運べるだけは持って行ったけど、、流石にお酒と食料だけじゃ悪いもんな~)


「う~ん」

(大分儲け話も頂いちゃったし、今度寄る時は少し金銭も置いていくか)


一旦自分を納得させると王都の中央広場へと向かう







「こんにちは、どうですか~売れ行きは!」

リッツは大きな帽子を被った露店商の女性に景気良く話しかける


「あははは、ぜんっぜんだよ~ さっきサンドイッチは売れたんだけど、自慢の小物が売れないよ~」


「本当ですか!? 良かった~、じゃあ残ってる物全て売って下さいよ! 一部ではすっごい人気なんですよ~」


「えぇ! 本当? 嬉しいな~ でも良いの? 結構な量あるよ?」


「あぁ、そんなにあるんですか~? 手持ちも少ないので少しでも値引いてもらえると助かります」


「良いよ良いよ、オッケー!」




何て事の無い商人同士のやりとりである




カッ カッ カッ




「ふぅ あ、良かった~ まだお店閉めてないですよね?」

義足の青年が露店を覗き込む


「はいはい!いらっしゃい あ!いつも本買ってくれる子じゃないか 大丈夫だよ~  リッツ君この子の後でも良いよね?」


「はい、全然 待ってますので」


「あ、すいませんすぐ終わりますので  えっと~、可愛らしいぬいぐるみが欲しいんですけど」


「今回もプレゼントかな?」


「えぇ、年下の女の子になんですけど」


「うわ~! 良いね良いねぇ!」


「あはは いや、そういうのじゃないですよ?」


「そうなの~? いつも年下の子に~って 妹ちゃんとかなのかな? じゃあこの子なんてどう? うさうさを嫌いな女の子はいないよ!たぶん!」


「あ! 可愛いですね じゃあこの子下さい」


「まいどあり~」



「何か包装はする?」


「あ~、、、いえ、だいじょうぶです」


「そう? 何か可愛い袋とか付けるよ?」


「大丈夫ですよ~ すぐそこにいるので」


「う~! 良いね~ 若いね~!」


「あ、、はは」












「あの、、チエさん? あ~やるから若い子がよりつかないんじゃないです?」


「ええええええええええ!?」

リッツの発言に大きな帽子が頭から少しズレる


「いや、商品は別の国でも若い子に爆売れだし多分そうですよ?」


「本当!? う~ん、もう少しだけ抑えるかな~」




商人同士の他愛ない話をすると商品を馬車へと積みこむ




「じゃあ これで全部だね、ありがとう! 助かるよ」


「いえいえいえ、本当に人気なんですよ? 特にお薬とか」


「薬は本業! ってか赤字だもの   え!もしかしてこれ欲しさに買って無いよね!?」


「ははは、どうでしょうね?  あ!すいません、そろそろ別件があるので行きますね?」


「あぁ~、ごめんごめん 頑張ってね~私は今日で帰っちゃうから」


「はい! また王都に来たらご贔屓(ひいき)にお願いします~」




その後もリッツは王都内をあっちに行ったりこっちに行ったりと馬車を走らせる





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