60 覚醒

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい



8/20 17:05


「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおお」

バルは人形達の持っていた筒状の武器を拾うとイチかバチかの思いでボタンを押す









バヅン!










勢いよく発射された弾丸は蛙の腹を貫通した









ビジャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!















通路中に血飛沫が撒き散らかる










「ぎゃあああああああああああああああああああああ」

化物は貫かれた腹を押さえる為にアルを放り投げた



そして



バルの隣を金色の影がとてつもない速さで通り過ぎる



その影は片手で少女を抱き


身体に似合わぬ大きな剣を振り回す



細腕で扱われるその剣、それはまるで小枝を手首で振る様な有象無象の動き


速度は今までのソレでは無く


巨大な蛙はあっと言う間にバラバラに刻まれた




「ラ、フィか、、良かった   いっつぅ」

バルは力尽きた様にうつ伏せに突っ伏す


「モーズ、すまなかった、、、どうやら剣に 呑まれていたみたいだ   アルにも酷い事をしてしまった」

エルフは片手に抱いていたボロボロの少女を一度床に寝かせる


「ぅ、ぅ」

アルの呼吸は浅く、ところかしこが酷く腫れ異常なくらいの熱を持っている


「くっ、本当に申し訳無い事をした」


「頭も打っていたかもしれない、早くここを出ないと」


「私の荷物に鎮痛用の薬草がある、少し待っていてくれ」

ラフィは元の部屋へと足を向ける


「ラフィ、ついでに俺の荷物も持って来て、色々入っ、、」



ギリギリギリギリ カタカタタ


ガチャガチャ カチャカチャ



バルはうつ伏せのまま顔だけを起こすと


30m程の位置に機械人形の集団を目にする




「こんな 時に!」

急いで先程の、筒状のボタンを押すが反応は無い

「くっそ、、ラフィ!?」


エルフは剣を構えるが神妙な顔をする


(人形達からは  血液が出ない)

「今度こそ、、、呑まれてしまうかもしれない  すまないが頑張ってアルを連れて逃げてくれ」




ガジャン! ガジャン!


ガジャン! ガシャャ




人形達の方向から煩いくらいに機械音が響く


「ふぅ」

エルフは一度呼吸を整える



のだが



不思議と人形達は一行から目線を変え

別の方向に首を向ける


!?


人形達の反応はバルとラフィにもすぐに分かった

「なん、だ?」




ガジャン! ガチャゴシャア!


ガッシャァ ガッッジャチャャャ




足音とは別の音が徐々に近づいて来ると

目の前にいた人形達が一気に粉砕されていく

武器を構える隙すらも与えず、それは爆発でもしたかの様に四方八方に飛び散らかる













「まぁ~にあったかの?」


聞き覚えのある声と共に見覚えのある和装姿の女性が現れ

片手に持った大きな砲台の様な物と先程掴んだ機械人形を振り回している


「一度扉を閉めます!まだまだいるかもしれないので通路周辺の殲滅はお願いします  ジンさん! 早く!!」

中性的な顔をした外はねの青年が大分後ろを走る男に声をかけている


「ちょ、ちょっと!  ぜぇ  俺   はぁ  守られて ないんだけど」

まさかの一般人、亭主の声がする




そして




「クソガキが! なんでてめぇがこんな目にあってんだ」

銀髪の少女?がツインテールの少女へと駆け寄る


「ぅ ぐぅ」

少女?はアルを優しく抱き詠唱を始めた


「え あ?う? なんだ? なんだ?」

目を丸くしたエルフは一度大きな剣を床に突き立てる


「た、助かった~」

一気に力が抜けたのか膝を付いていたバルはそのまま仰向けに倒れこむ



「なんでここで治療始めちゃうんですかっ、安堵の所悪いんですが全員急いでそっちの部屋まで入って下さい!」

従者は少女らを一緒に掬い抱えるとそのまま先程ラフィ達のいた部屋へと駆け出す



「え!」


「え!?」


最後尾を走るギルドの亭主

その奥を目にしたラフィはすぐに負傷しているバルを抱えると扉へと走った



「まって! まってぇ~」


「なっさけないのぉ」

その台詞のまま、、情けない声を出す三十路の方へと赤鬼が向かう








それもそのハズ


全力疾走のジンから後ろには先程壊した倍以上の人形達が迫り来ている

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