61 訪問

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい



8/20 8:00


「朝早すぎたああああ」

喫茶店のマスターは暇を持て余している

「いい加減お客増えても良くないかな~ ね~ ね~ってばぁ」


「お~?ジンよ、流石にみっともないぞ?」

三十路の亭主を冷ややかな目で見るのは和服を着崩した赤鬼だ


「あんな朝早くに起きなきゃ良かった~ 暇!暇暇~」




コンコン  キィ




「お!? え」

まさかの訪問者にジンは急いで姿勢を正す



「早くから失礼します、ディーン王国から来ました ニールと言います」

ツンツンした青い髪のイケメンが扉を開け一礼をする


「あ、えっといらっしゃいませ ディーン 王国?」


「噂は伺ってます、依頼の件もありましたが一度様子を見ておこうと思いまして」

ニールと名乗る騎士はジンの目の前、カウンターへと腰を掛ける


「噂?ですか?」

(え、何? カセン達が港でなんかやったってやつ?)


「えぇ、とても強豪な方々が集っていらっしゃるとか」


「あぁ~、それなら多分そこの娘の事ですよきっと」

ジンは赤鬼をチラリと見る


「ん、お お~あっしになんか用かの?」

カセンは珍しく難しい顔付で騎士を見ていた  気がする



「レッドナイトとは貴女でしたか? 思っていたより、なんというか、、ラフな格好ですね?  ではここのトップと言うのは?」

描いていたイメージとよっぽどの差があったのかフォローにならない会話で逃げた様に思えた


「トップ、は俺? になるのかな」


「え?」

騎士は軽く眉を細める


「え、いや ハハハ、一応店の主なんで」

亭主は愛想笑いを浮かべながらもささっとコーヒーを置き話を進める

「あのあれっすか? 懸賞金の女の子の話とか?」



アルの話だ



「ありがとうございます  えぇ、その件の進みは如何でしょう? 情報は何か入りましたか?」


「あぁその件なんですけど」

「調査中じゃ、毎日一生懸命探しておる」

赤鬼が会話を遮る


「、、そうですか、何か進展があればすぐに教えて下さい、手紙でも構いませんので」

連絡先を記載した紙をジンに渡す


「あ、えぇうちらで何か分かれば連絡しますよ」


「またいつ被害が出るか、出来るだけ急務でお願いします」

騎士の目はどこか刺さる様だった








「カセン、せめてシエル達が動いてるって事を話せば良かったんじゃない? どっちみちディーン国と話するって言ってたじゃん」

亭主はカウンターに置かれたカップを片付ける


「そうじゃが、折角ロリっこが動いておるんじゃから下手に動けんじゃろ」

赤鬼は保冷庫からいつものを持ちいつもの席へと戻る


「そういうもんなのか?」

(仕事でも上を伺ってからってのはよくあったけど、そういう事か?)


「あ~それにの~ニールとか言ったか あの男、恐らく一般兵では無いぞ?」


「まぁそうだろうな、わざわざ自分で様子見に来る様な人なんだし あの真剣そうな目、仕事出来る組でしょう」


ジンの発言にカセンは少し驚いた顔を見せてから豪快に笑い出す


「あっはっは、ジンはやっぱり面白いのぉ  ふふふ、そうかそういう見方もあるんじゃの~」


「え、何 俺馬鹿にされてんの?」







今日の訪問者は珍しくこの一回に収まらなかった









8/20 10:00


ニールがギルドを出て約一時間程

ガチャっと扉の音が鳴ったと同時に声がする


「腹減った、飯よこせ」


「あれ!? え~、完全にあの人すれ違いじゃん?」


「お~お~?思ってたよりもずいぶんと早いおかえりじゃのぉ~」


「おはよう御座います皆さん、今日も変わらずのメンバーなんですね」






巫女と従者のコンビである

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る