44 夜盗

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい



8/14 21:40


タッ タッ タッ タッ タッ タッ




ダッダ  ダダ  ダッタタ!



バン!


バタン





バチン!!


バタン!  ズシャアァァ






「あ~いたた いっつぅ~   ラフィ? 無事?」

手首を擦りながらエルフの姫を探す


「むご もごごぉ    ぶっは! ぺっっぺっ!  む!むじだ!大丈夫だ」


土壁まで勢いよく下った二人は大分下の方まで来てしまった様だ


「眼を凝らしてて良かったよ」


「な?  ぺっぺ、そのくせ手を離したじゃないか!?」

土壁へと衝突間際に受け身はしたものの

そのまま勢いよく地面にヘッドスライディングした為エルフの長は泥まみれである



「なんかごめん、、いや、でも俺よりはこの辺慣れてるんでしょ?  ってかなんで声上げちゃうの!?」


「しょ!しょうがないだろう ちょっと、ん?って思ってしまったじゃないか? あんなもの」


「アー ウン、イイヤ 詳しく聞くのは落ち着いてからにしよう  ちなみにこの状態だと、どうするのが適切かな? エルフのオサ的には」

半分呆れ、面倒になったのか真面目な話に戻す


「ん? あぁ! 大分下ってしまったからな、すぐには来ないだろう  茂みで少し休んで日が出たら安全な道を行こうか」


「来ないだろうと言うか多分常人なら『来れない』だろうね」

(これだけ暗い中この速度で来たら自殺行為だ   むしろ俺ら 良く無事だったよ)


「恐らく日が昇るのは、、まだ   まだ   多分    5~7時間?」

徐々に声が小さくなり自信が無いのが分かる


「、、、分かった、ラフィ 先に横になっておいて  二時間くらいで交代しよう」


「いや!それなら先にお前が!」


「あ~、、ちょっとトイレにも行っておきたいから   恥もあるんだからさっさと休んでおいて!」


「あ、あ  アァ!  トイレ ナ!  うむ 二時間だな!了解したぞ」

エルフの姫は目を逸らし休むのに丁度良さげな場所を踏み探す








(さっきのラフィの反応  戦争は人間相手じゃないのか?   じゃあなんで人間がエルフを狙うんだ?  山賊か?   前にラフィの言っていた「追って」と言うのも気になる)



(対 人間か    それなら、、、)










「こんな斜面下ってったのかよ!?」


「やめときません? 先が良く見えねぇ」


「あ  ああ        あああああああああああああ」

「うわ、ちょ掴むなああああああああああああ」

何人かが坂を転げ落ちる



「くそ!  少し遠回りで行くぞ」











8/15 00:40


「フィ   ラフィ」





「おい! ラフィー」





「お~い!  もしもーし!」





「嘘でしょ?」






エルフの姫は目を覚まさず熟睡している

(二時間も何も無いな)



辺りは変わらず 静寂のままだ



(ん~作戦共有しておきたかったんだけど、、来ないに越した事は無い  だがどうだろうか)



「ぁぁぁ」

少し遠くから声が聞こえた


!?


(来たか)

「ラフィ! 起きて!!   さ~す~が~にぃ~」

頬を軽めに叩き引っ張る


「んむぅ? まゃぬ?む~?」


「キミ! 結構ポンコツだな?  敵襲だよ!!」


「むぁ? お!  おぉ そうか」

目を擦り辺りを探り、、、モーズを見る




「アー、アノ   ワタシノブキワ?」





「嘘でしょ!?」

モーズのツッコミに反応される


「あの辺だ!!   あ、わ!うわあああ」

声が聞こえる距離までは来ている様だ



「むぅ? どれくらいいる?」


「分からない、けどあの声量で叫んでるのなら結構いると思う  ラフィ 作戦がある」













「何やってんだ間抜けな奴らが!」

大柄の男が落ちて行く部下に暴言を吐いている


「残り何人いる!?」

すぐ隣の男が点呼をとる



「右  10    2  3程」

「左  6   10はいません」



「マジかよ どれだけ使えね~んだ」


「ゆっくり進め! 最悪もう松明を使え」


「りょうか、、、あ、、あああ  あーーーー」

「うあああああ」



「クソが!  アイツラなんなんだよ」

大柄の男が木の根を掴み下の足掛けに体重を乗せた途端手元の根が崩れ出す



「な!」




近くの『何か』にすがるが手の届く範囲には 砂以外に無い

(くっそ!  くそがああああ)




全員が戦姫達の休んでいた付近まで落ちて来る







「ボス!  大丈夫ですか」


「大丈夫か、全員いるか?」


「警戒しろ」



声が轟く

ありがたい事に焚火が一つ

「焚火がある!  この辺りにいるぞ!?」


「全員固まれ!」



その声に 散らばっていた30人程がボスと言う男の周りに固まった












「動くな! そこまでだ!!」











力強く、凛々しい声が響き渡る





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